第2203回 2部から昇格した3チーム(1) ストラスブールが優勝、2位はアミアン
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■1部18位と2部3位が入れ替え戦に代わったシステム
前回の本連載では日系三世のガエル・カクタがアミアンに移籍したことを紹介したが、アミアンは1部に昇格してきたチームである。今回は新たに1部に昇格した3チームを紹介しよう。
1部と2部の入れ替えについては昨季からシステムが代わり、それまでは1部の下位3チームと2部の上位3チームが自動入れ替えであったが、昨季は1部の下位2チームと2部の上位2チームが自動入れ替えで、1部の18位と2部の3位はホームアンドアウエー方式での入れ替え戦を行うこととなった。
■最終節の段階で6チームに昇格の可能性
そして2016-17シーズンの2部リーグは劇的な展開となった。前半戦を終えた段階の順位は首位がブレスト、2位がスタッド・ド・ランス、3位がRCランスであった。結論から言うとこの3チームは最終的にはいずれも上位3位に入ることができなかった。ブレストは4月まで首位に立っていたが、そこから失速、スタッド・ド・ランス、RCも春に入って順位を落とす。結局、5月12日の最終節を迎える時点での順位は首位がストラスブール(勝ち点63、得失点差+15)、2位アミアン(60、+14)、3位トロワ(60、+13)、4位RCランス(59、+13)、5位ブレスト(59、+9)、6位ニーム(58、+15)となり、ストラスブールは3位以内が確定し、それ以外の5チームは1部昇格の最低条件となる3位以内の可能性がある。
■昇格の可能性のある上位チームはそろって先制点をあげる
最終節の試合は20時30分にフランス国内各地で同時にキックオフされた。首位のストラスブールはニオールとアウエーで対戦、アミアンは最下位でナショナルリーグ降格が決まっているラバルをホームに迎える。トロワは7位で1部昇格が消えてしまったスタッド・ド・ランスとホームでの対戦、RCランスはGFCアジャクシオとアウエーでの対戦、ブレストもブール・アン・ブレスとアウエーで対戦、ニームはACアジャクシオを本拠地に迎え、サスペンスたっぷりの夜となった。
これら上位のチームはそろって得点をあげた。10分にアミアンとニーム、そして11分に首位のストラスブールが先制点を奪う。15分にRCランスが先制点、27分にトロワとブレストも先制点をあげる。昇格争いを行うチームはすべて先制点を奪い、アミアン、トロワ、RCランスは前半のうちに追加点をあげる。一方、前半のうちに追いつかれたのがニームとストラスブールである。結局上位6チームはタイスコア以上で後半を迎える。
■ストラスブール、逆転されるもスーパーゴールで追いついて優勝
そして後半に入り、首位のストラスブールは62分にニオールに逆転を許す。勝ち点3差で追うアミアンとトロワはいずれもリードしており、このまま試合が終われば勝ち点63で3チームが並ぶことになり、得失点差の争いとなる。得失点差も上位3チームは接近しており、ストラスブールがニオールに逆転を許した段階で、ストラスブールの得失点差は+14、アミアンは+16、トロワは+15となり、ストラスブールはプレーオフ出場の3位におちてしまった。
窮地に陥ったストラスブールであるが、68分にスーパープレーがチームを救う。ステファン・バオカンがオーバーヘッドキックでシュート、このシュートがニオールの選手の頭に当たり、そのままコースが変わってゴールに吸い込まれる。ストラスブールは追いつき、暫定首位の座に復帰する。しかし、追うアミアンとトロワはホームで2点のリードを保っており、ストラスブールはニオールに勝ち越しを許すようだとまた3位になりかねない。ストラスブールは終了間際に勝ち越しのチャンスはあったものの、相手GKと1対1の局面でゴールを決めきれず、結局2-2のドローで最終戦を終え、優勝を果たした。
勝ち点63で並ぶアミアンとトロワの2位争いであったが、後半にも追加点をあげたアミアンが得失点差を+17まで伸ばし、2位になる。後半は無得点に終わったトロワは得失点差+15にとどまり、3位となってプレーオフに回ったのである。(続く)