第2374回 2018-19シーズン開幕(4) マルセイユ、モナコは白星でスタート

 1998年の「フランス・サッカー実存主義」で連載を始めて、早いもので20年たちました。第2368回が通算して2500回目の連載となりました。記念すべき節目の連載でフランスのワールドカップ優勝をお伝えできたことをうれしく思います。引き続きよろしくご愛読のほどお願いいたします。

■マルセイユに加入したクロアチア代表のドゥイエ・チャレタ・ツアル

 昨季18位でプレーオフに勝利して辛うじて2部降格を免れたトゥールーズを迎えるマルセイユ、昨季4位で今季はヨーロッパリーグに参戦する。昨季はヨーロッパリーグで決勝に進出したが、今季もファンは国内外での活躍を期待している。
 この夏のマルセイユでは移籍の動きは少なく、新戦力として最も注目を集めたのはクロアチア代表としてワールドカップにも出場したドゥイエ・チャレタ・ツアルである。チャレタ・ツアルは21歳、今回のクロアチア代表のメンバーの中で最年少である。2015年10月に代表に初めて招集され、2016年の欧州選手権の予備メンバーにも選出されたが、最後でメンバーから外れ、代表の試合に出場することなく、今回のワールドカップ予選の期間を過ごした。しかし、今回のワールドカップのメンバーに選出され、ワールドカップ開幕直前の6月3日のブラジルとの親善試合で代表にデビューする。ワールドカップでは準々決勝のロシア戦にしか出場していないが、背番号15も銀メダルを授与された。
 オーストリアのRBザルツブルクからの移籍となるチャレタ・ツアルのポジションはストッパーであり、フランス代表のアディル・ラミとコンビを組むことになる。ルディ・ガルシア監督はリーグ戦とヨーロッパリーグを同時に戦っていくに当たり、3バックシステムと4バックシステムを併用していくことも考慮しており、ワールドカップでの活躍で世界的なスターになった酒井宏樹、昨年秋にフランス代表に初招集されたジョルダン・アマビらと組む最終ラインは見ものである。

■今季リーグ初ゴールはVARによるPK

 今季のマルセイユは年間チケットが3万8000枚売れ、ベロドロームでの開幕戦には6万人を超す観衆が集まった。ファンお目当ての新戦力チャレタ・ツアルはメンバーに入らず、ストッパーはルイス・グスタボとブバカール・カマラが組む。試合は6万大観衆の声援を受けたマルセイユが圧倒する。しかしながら守りを固めたトゥールーズのゴールを割ることができない。
 今季のフランスリーグの初ゴールはワールドカップと同じような展開で生まれた。40分にマルセイユはルーカス・オカンポスがクロスをあげる。ニアポストでバレル・ジェルマンと競り合ったトゥールーズのケルビン・アミアンの手に当たったように見えた。ホイッスルはなかったが、マルセイユのルイス・グスタボが抗議し、主審のルディ・ブーケ氏はVARを選択、その結果ハンドが認められ、マルセイユにPKが与えられる。キッカーはワールドカップのバックアップメンバーに甘んじたディミトリ・パイエ、慎重に決めて先制点となる。今季のフランスリーグの初ゴールは新たに導入されたVARから認められたPKによるもの、まさにワールドカップ初戦の豪州戦の再現となった。

■バックアップメンバーのディミトリ・パイエの2ゴールなどでマルセイユが快勝

 パイエは後半の62分にも追加点を決める。その後もマルセイユは攻め続け、シュートを放ち続けるが、なかなか3点目が入らない。ファンも家路を気にし始めた89分にジェルマンがゴールを決める。そしてアディショナルタイムの92分には試合終盤に交代出場したフローリアン・トーバンのシュートがネットを揺らし、マルセイユが4-0と大勝し、遠忌あのフランスリーグでの初勝利を大観衆の見守る地元で決めたのである。

■前週にパリサンジェルマンに大敗したモナコはアウエーで勝利

 翌日の土曜日の11日には5試合が行われたが、注目はモナコである。開幕1週間前のチャンピオンズトロフィーでは中国まで遠征し、パリサンジェルマンに0-4と完敗、その前の練習試合でも負けが込んでいる。さらに今季もファビーニョ、トマ・ルマール、モウチーニョなど選手が流出し、新加入はロシア代表のアレクサンドル・ゴロビンくらいである。
 モナコはアウエーでナントと対戦し、ゴロビンやクロアチア代表のダニエル・スバシッチは出場しなかったが、モンテネグロ代表のステバン・ヨベティッチらのゴールで、3-1と勝利したのである。(続く)

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