第2487回 パリサンジェルマン、足踏みの末に連覇(2) キリアン・ムバッペのゴールでトゥールーズに勝利

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■4月初めにも優勝が決まるパリサンジェルマン

 今季のフランスリーグではパリサンジェルマンが開幕から14連勝を決めて独走してきた。対抗馬とみられていたチームに代わり2位をキープしているのがリールである。前半戦を終えた時点で首位パリサンジェルマンとの勝ち点の差は15であり、その後もほぼ同じ勝ち点の差を保ってきたが、3月中旬の第29節でリールはモナコに敗れて勝ち点の差が20に広がった。リールの残り試合は9試合、パリサンジェルマンは10試合である。数字の上では4月の初めにもパリサンジェルマンの優勝が決まることになる。しかも4月の中旬にはリールで直接対決があり、それまでに優勝を決めさせないこと、さらには直接対決の試合でパリサンジェルマンの優勝が決まることはリールにとって最も避けたいことである。

■3月末に行われたナント戦で2点差を逆転したリール

 フランス代表の国際試合が3月下旬に行われたこともあり、2週間あけて第30節が3月30日に行われた。パリサンジェルマンもリールもアウエーでの試合となる。リールはナントで17時から、パリサンジェルマンはトゥールーズで21時キックオフとなる。
 ナント-リール戦は前半は両チーム無得点、後半に入ってフランスカップでも勝ち残っているナントが畳み掛ける。54分にビデオ判定の末、PKを獲得する。これをバランタン・エイセリックが決めて先制、さらにその2分後にはカリファ・クリバリーが追加点をあげる。
 2点のリードを許したリールであるが、ここから大逆襲が始まる。62分にラファエル・レオンが1点差に詰め寄るゴールをあげると、68分にはPKを獲得してニコラ・ペペが同点ゴールを決める。さらにその1分後の69分にはジョナタン・バンバが勝ち越しゴールを奪う。ナントは81分にPKを得て、同点のチャンスとなったが、今度はエイセリックが失敗する。試合はこのままリールが3-2と押し切り、勝ち点3を獲得する。リールは今季2点差を逆転したのはこれが2回目、あきらめない強さが2位の原動力であろう。

■ベンチ入り16人で臨んだトゥールーズ戦

 キックオフ前にリールに勝ち点差で詰め寄られたパリサンジェルマン、トゥールーズに勝って勝ち点差20をキープしたいところである。しかし、パリサンジェルマンは負傷人が相次いだことに加え、第2485回で紹介したとおり4月3日にフランスカップの準決勝を戦う。したがってネイマール、エディンソン・カバーニ、アンヘル・ディマリア、ユリアン・ドラクスラー、トマ・ムニエなどの負傷者が離脱しただけではなく、フランスカップとのターンオーバー制を採用した結果、このトゥールーズ遠征のベンチ入りは16人で臨むことになり、出場するメンバーの中でもチアゴ・シウバ、マルコ・ベラッティなどはベンチスタートとなった。
 トゥールーズにとっては人気と実力を兼ね備えたパリサンジェルマンが年に1回来訪するとあって、この試合は強気の価格設定、最低価格が70ユーロという異例の高いチケットとなった。その結果、33,000人収容の市営競技場に集まった観客は27,000人にとどまり、空席の散見される中でのキックオフとなった。

■得点王争いを独走するキリアン・ムバッペのゴールで優勝に王手

 パリサンジェルマンが優勢に試合を進めるもののなかなか枠内にシュートを放つことができず、トーマス・トゥヘル監督は少ない手持ちのカードの中から3人の交代枠を使い果たす。3人目の交代の直後、74分にキリアン・ムバッペが右足でシュートを決め、先制する。ムバッペは7試合連続のゴール、今季リーグ戦24試合で27得点であり、得点王争いも独走である。またムバッペは今年になってから国内リーグ以外の試合も含めて14試合で14点目となり、欧州の五大リーグでムバッペを上回るのは15得点をあげているスペインのバルセロナに所属するリオネル・メッシだけである。
 このムバッペのゴールのおかげでパリサンジェルマンは勝ち点3を獲得、次節の結果によってはリーグ優勝が決まるのである。(続く)

このページのTOPへ