第2491回 パリサンジェルマン、足踏みの末に連覇(6) モナコ戦で復帰するネイマール
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■リーグ戦では難しい自力優勝
サッカーのリーグ戦において意外と難しいのが自力優勝である。ライバルとなるチームの試合結果によって目の前のリーグ戦の試合の結果とは関係なく優勝が転がり込んでくるケースは少なくない。また、テレビ中継の関係で全試合が同時にキックオフされるのは最終節とその前の節くらいである。今季のパリサンジェルマンのように2位以下に大差をつけてしまい、全試合同時キックオフとなる前に優勝決定の試合を迎え、さらに遅い時間帯にキックオフする機会の多いパリサンジェルマンはキックオフ前に他の試合の結果によって優勝が転がり込んでくる可能性が多い。そのようなパリサンジェルマンにとって自力優勝というのは贅沢な望みである。
■3試合連続で自力優勝を逃したパリサンジェルマン
しかし、今季のパリサンジェルマンには同時に行われている他の試合に関係なく自力優勝するチャンスが、4月7日のストラスブール戦(ホーム)、14日のリール戦(アウエー)、17日のナント戦(アウエー)と3試合連続でやってきたが、ことごとくこれらのチャンスを生かすことができず、次の優勝決定のチャンスは4月21日の第33節に持ち越された。すべてのチームが日程をきれいに消化し、残り6試合となり、パリサンジェルマンの勝ち点は81、2位のリールの勝ち点は64、両者の勝ち点差は17である。すなわちリールはもう1つも勝ち点を落とすことができず、残り6試合全勝して勝ち点を82にするしか優勝の可能性はない。一方のパリサンジェルマンは勝ち点2をとればリールは追いつけず、すなわち勝利すれば優勝が決まる。
■自力優勝ではない可能性も出てきたパリサンジェルマン
そしてこの第33節の日程であるがリールは4月21日の15時にアウエーでトゥールーズ戦、パリサンジェルマンは21時にホームでモナコ戦となる。つまり、パリサンジェルマンは自力優勝をできない可能性が出てきた。また、今季は下位低迷で2部降格の危険性も残っているモナコであるが、パルク・デ・プランスでのパリサンジェルマン戦を苦にしていない。これまでのパリでのリーグ戦の対戦成績はパリサンジェルマンが13勝12分17敗と負け越している。また、ホーム、アウエー通して直近の3試合はパリサンジェルマンが勝利しているものの、その前の15試合はパリサンジェルマンが1勝9分5敗と大きく負け越している。開幕前は優勝候補だったモナコも意地を見せたい。
■ノートルダム寺院のイラスト入りのユニフォーム、ネイマール復帰なるか
そしてこの試合はパリサンジェルマンにとっては2週間ぶりのホームゲームである。この2週間の間にパリではノートルダム寺院の火災が起こり、市民は悲しみに明け暮れた。そしてパリサンジェルマンは前面にノードルダム寺院のイラストが描かれたユニフォームを着用した。もともとこのノートルダム寺院のイラスト入りのユニフォームはパリサンジェルマンが募金用に作成したものであったが、試合にも着用することになったのである。
さらにパリサンジェルマンにはビッグニュースが飛び込んできた。それは1月のフランスカップのストラスブール戦で負傷して以来戦列を離れていたネイマールがこのモナコ戦で復帰するということである。リーグ開幕以来14連勝という欧州主要リーグの記録を作ったパリサンジェルマンであったが、年が明けてみれば、チャンピオンズリーグの1回戦で逆転負けを喫し、カップ戦のスペシャリストでありながら、リーグカップは当時リーグ最下位のギャンガンに準決勝で敗れる。そしてリーグ戦では初黒星を喫しただけではなく、これまでの本連載で紹介してきたように自力優勝のかかった試合が3試合連続しながら、3試合とも優勝を決めることができなかった。これらのふがいない結果に終わるたびに「ネイマールさえいれば」とファンが望むのも無理はない。15分限定でネイマールを出場させる、とトマス・トゥヘル監督は発表し、そして同じく負傷で離脱していたエディンソン・カバーニもベンチ入りさせるのである。(続く)