第2664回 フランスリーグ打ち切り (3) 異議申し立てをした3クラブ、来季の2部は22チームで実施
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■パリサンジェルマンとマルセイユ、史上2回目のチャンピオンズリーグ出場
フランスリーグの打ち切りが4月30日に決定し、1試合当たりの平均勝ち点で順位も決定した。前回の本連載で紹介した通り、来季のチャンピオンズリーグのグループリーグには優勝したパリサンジェルマンと2位のマルセイユが出場する。パリサンジェルマンとマルセイユがそろってチャンピオンズリーグに出場するのは2013-14シーズン以来7年ぶり2回目のことである。パリサンジェルマンはそれ以降もチャンピオンズリーグに連続出場しているが、マルセイユはこれを最後にチャンピオンズリーグには出場することができず、久しぶりの復帰となる。
■欧州カップ出場が23年連続で途切れる危険性のあるリヨン
これ以外には3位のレンヌがチャンピオンズリーグの予備戦に出場し、4位のリールはヨーロッパリーグに臨む。フランスからはこれ以外にフランスカップとリーグカップの優勝チームにヨーロッパリーグのチャンスが残されているが、これらはファイナリストが決まっているものの、決勝戦が行われる見込みは立っていない。そもそも9月までフランス国内ではプロスポーツ、特にサッカーは実施できないわけであり、翌季のヨーロッパリーグの開幕に間に合わない。そうなるとリーグ5位、6位のチームにチャンスが巡ってくるわけであるが、ここで黙っていられないのがリヨンである。
リヨンはリーグカップでは決勝に残っているが、この決勝戦が行われなかった場合はリーグ戦の順位でヨーロッパリーグの出場チームが決定すると想定されることから、来季の欧州カップへの出場権を失うことになってしまう。リヨンは欧州カップには1997-98シーズンから継続して出場しており、この記録が23シーズンで途切れてしまうのである。
■リヨン、アミアン、トゥールーズの異議申し立ては裁判所で棄却
本連載の第2637回で紹介した通り、リヨンのジャン・ミッシェル・オラス会長は今季の成績はなかったことにして来季の欧州カップも今季と同じチームが出場することを主張していた。このオラス会長の動きには中断時点で5位だったニースのジャン・ピエール・リベール会長も同調した。他方、上位のパリサンジェルマンのナセル・アルケライフィ会長は冷ややかない対応であった。結局、4月末に順位が決定してしまった。
リヨンと同様の位置にあるのが2部に降格する19位のアミアンと20位のトゥールーズである。リーグ戦が第28節で打ち切りとなってしまい、第28節まで消化したチームは9チームと2回戦い、10チームと1回戦っている。アミアンは上位のパリサンジェルマン、マルセイユと2試合対戦している。18位のニームはパリサンジェルマンとは対戦していない。アミアンとニームの勝ち点差は4、もしも対戦相手の順番が違っていたら、という思いは消えないはずである。アミアンは来季の1部リーグは今季の20チームに加え、2部kら昇格してくる2チームの22チームで戦うことを主張した。
そして、リヨン、アミアン、トゥールーズはフランスリーグの早期打ち切りに対して異議申し立てを訴えたが、これは5月22日に裁判所で棄却された。
■大混戦の2部、降格なしで来季は22チームで実施
1部の3チームの申し立ては裁判所で退けられたが、一方2部については変更があった。2部リーグは上位2チームのロリアンとRCランスが1部に昇格、本来ならばプレーオフに出場できた3位から5位のACアジャクシオ、トロワ、クレルモンは1部昇格の可能性が消えた。2部の上位は大混戦で、1位から5位までは勝ち点1ずつの差で並んでいた。また19位のルマンと20位のオルレアンがナショナルリーグに降格し、ナショナルリーグからポーとダンケルクが昇格することになっていた。19位のルマンと18位のニオールが同勝ち点で並び、ルマンとニオールは1試合しか対戦していない(ルマンがホームで1-0で勝利)ため、得失点差でニオールが上回り、残留となったが、ホームとはいえ直接対決で勝利しているルマンには納得しがたい。
5月20日にフランスプロサッカーリーグはテレビ会議による総会を行い、2部からの降格はなく、来季は通常より2チーム多い22チームで2部リーグを行うことになったのである。(この項、終わり)