第2672回 2019-20フランスリーグ回顧 (8) 18位争いをするサンテチエンヌ、ディジョン、ニーム

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■1点に泣いたリヨン

 前回の本連載は結果的には今シーズンのリーグ最終戦となったリール-リヨン戦でリールが勝利したことを紹介した。この試合のスコアは1-0、しかもボール支配率はアウエーのリヨンが圧倒しており、リールの試合巧者ぶりが、勝利を引き寄せた。
 もし、この試合でリヨンが引き分けていれば、前日に勝ち点で抜かれたスタッド・ド・ランス、ニースと勝ち点で並び、得失点差で大きく上回ることから5位に返り咲くことができた。試合を行った時点では、この試合がシーズン最終戦となることなどは神ですら知りえないことである。アウエーゲームとはいえ、リヨンには引き分け狙いという選択肢はなく、ひたすら勝利を目指して、勝ち点3を取りに行った結果として、負けてしまった。今季の順位、来季の欧州カップ出場権に対するリヨンの異常なこだわり、悔しがり方は、この1点に泣いたリール戦に起因しているといってもよいであろう。

■入替戦出場となる18位を争う3チーム

 さて、ここまでは欧州カップ出場権をめぐる上位チームについて紹介してきたが、ここからは2部降格をめぐる物語を紹介していきたい。
 もともとのリーグの規定によると、19位と20位の下位2チームが自動降格、18位のチームは2部でプレーオフを勝ち抜いてきたームと入替戦を行うことになっていた。結果的には18位のチームは入替戦が行われず、残留となったが、シーズンが中断してからその決定がなされるまで、18位のチームの選手、スタッフ、ファンは新型コロナウイルスの感染拡大による精神面の影響に加えて、大きな心配事を抱えた状態であったであろう。
 第28節が始まる時点で17位以下になる可能性のあったチームであるが、16位サンテチエンヌ(勝ち点29、得失点差-16)、17位ディジョン(27、-11)、18位ニーム(27、-14)、19位アミアン(22、-19)、20位トゥールーズ(13、-35)である。第28節の結果によって、19位と20位の順位は変動しないが、16位から18位までのチームには順位の変動の可能性がある。入替戦にさらされる18位争いという観点で3月7日と8日の試合を振り返ってみよう。

■最下位のトゥールーズと得意のホームで戦うディジョン

 18位になる危険性のある16位サンテチエンヌ、17位ディジョン、18位ニームのうち、ディジョンとニームは3月7日20時にキックオフを迎え、逃げる立場の16位のサンテチエンヌは3月8日に試合が行われる。つまり、これまで紹介してきた5位争いと同様、7日の試合でディジョンとニームが勝利すれば、サンテチエンヌは暫定で18位に後退することになる。ディジョンとニームが勝利した場合、得失点差でサンテチエンヌは劣ることから、勝ち点で並ぶ引き分けだった場合、18位にとどまる可能性が強い。
 ディジョンは最下位のトゥールーズとホームで対戦する。順位では3つしか離れていない両チームであるが、勝ち点では14、得失点差では24の差があり、力の差は歴然としている。さらに、ディジョンは今季の初めはホームで負けが込んだが、ホームでは過去11試合5勝6分と負けなしである。ディジョンが高い確率で勝ち点3を獲得すると思われる。

■どこからでも得点の取れるチームとなったニーム

 そしてニームは15位のメッスとアウエーで対戦する。メッスは前半戦は苦しんだが、後半戦になって持ち直し、前半戦はわずか3勝であったが、後半戦になって8試合のうち4試合で勝利している。しかし、メッスはチーム得点王のハビブ・ディアロは、出場停止処分がまだ解けていない。一方のニームは前節はマルセイユに2-3、前々節はレンヌに1-2と上位陣相手に敗れたとはいえ、接戦を演じ、特にマルセイユ戦ではルカ・ドーが得点をあげ、チームで10人目の得点者となった。この時点でこれは国内ではパリサンジェルマンの11人に次ぐ数字であり、欧州の五大リーグを見渡してもレアルマドリッド(スペイン)の12人しかなく、どこからでも点が取れるチームとなっている。
 降格圏内から脱出しようとする戦いが3月7日20時から始まるのである。(続く)

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