第2678回 シーズン終了後に混乱した2部リーグ (2) 来季の22チーム制をめぐって混乱

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ナショナルリーグ1部からポーとダンケルクが昇格

 前回の本連載では、打ち切られて最終節となった2部リーグの第28節でのパリFC、にオール、ルマンの17位から19位までの残留争いについて紹介した。最終戦を同時に戦った3チームの試合は、もしこれが最終節ということが分かっていれば、違った結果になったかもしれない。
 これまで紹介できなかったが、3月6日に行われた第25節で打ち切りとなったナショナルリーグ1部からは1位のポーと2位のダンケルクが2部に昇格することになり、3位のブローニュ・シュール・メールは入れ替え戦を行うことなく、ナショナルリーグにとどまることとなった。なお、ナショナルリーグの上位チームの勝ち点の差は僅差であったが、最終節で順位が変わる可能性はなかった。

■アマチュアリーグであるナショナルリーグ

 そして2部からナショナルリーグに陥落するというのは1部から2部位陥落するのとはまた違った意味がある。1部から2部への降格が、ファンの関心が下がる、収益が下がる、そして競技レベルが下がるということがある。2部リーグからナショナルリーグへの降格も同様の意味があるが、それに加え、クラブがアマチュアのステータスとなる危険性があるということである。ナショナルリーグはアマチュアのクラブのリーグであるが、2部からナショナルリーグに降格したクラブは、さしあたりプロのクラブのステータスを保つことができ、すぐに2部に復帰すれば、こういう心配をしなくてもいい。しかし、ナショナルリーグで複数年くすぶっているようだと、クラブはアマチュアのステータスとなり、活動が大きく変わってくる。

■政府の対応に反発、フランスプロサッカーリーグの総会で22チーム制が承認

 欧州の五大リーグでフランスだけがリーグ打ち切りとなったが、これは4月28日にエドゥアール・フィリップ首相が2019-20シーズンのプロスポーツ、特にサッカーは打ち切りとして、再開をしない、と発言し、これを受けてスポーツ大臣もこれを受けて各プロリーグに指示したわけである。
 そしてこの対象が「プロ」という点で、巻き返しが起こった。すなわち、打ち切りは多数の観客を集めるプロが対象であり、アマチュアは関係ない、という理屈である。そういう点でプロからアマチュアへの降格は今季、2019-20シーズンはなしにしたらどうかという理屈である。そしてナショナルリーグからプロである2部リーグの2チームの昇格を認め、来季は2チームで2部リーグを行うという意見である。
 この2部22チーム制について、5月21日にテレビ会議形式で行われたフランスプロサッカーリーグの総会で議論されることになった。フランスプロサッカーリーグは1部、2部などのプロのクラブの代表が主たるメンバーであるほか、フランスサッカー連盟のノエル・ルグラエ会長もメンバーとなっている。今季の打ち切りに対して、リーグ戦の成績では欧州カップ出場を逃したリヨン、2部に降格するアミアンやトゥールーズが不満を示していることはすでに紹介したとおりである。電子投票で行われ、開票結果は22チームで行うことに賛成が57%、反対が40.75%ということで可決されてしまったのである。

■フランスサッカー連盟の理事会では大差で否決

 トゥールーズのオリビエ・サドラン会長は1部と2部で扱いが異なることに異議を申し立てたが、最大の反対者はフランスサッカー連盟のルグラエ会長であった。1部と2部とで扱いが違うことは論理的ではない。
 結局、このリーグの決定はフランスサッカー連盟の理事会で審議されることになった。フランスサッカー連盟の理事会は1週間後の5月27日に行われた。来季の2部リーグを20チームで行うことが提案され、賛成が11、反対が1、欠席が1という大差で、来季の2部リーグも20チームで行うことになった。なお、降格する当事者であるルマンとオルレアンは残留することは望んでおらず、降格を甘んじて受けるという対応、そして唯一の欠席者はフランスプロサッカーリーグの会長のナタリー・ボワ・ド・ラ・ツールであった。(この項、終わり)

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