第2832回 リール、10年ぶりにリーグ優勝(3) リール、パリサンジェルマンとの直接対決を制し、首位返り咲き
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■1位から4位までが勝ち点4差にひしめく4月初め
3月19日から21日にかけて行われたフランスリーグ第30節、首位のリールが敗れ、2位と3位の対決で勝利したパリサンジェルマンが首位になる。ここでワールドカップ予選のため、リーグ戦は中断し、第31節は4月3日と4日に行われる。
4月にカレンダーを変える時点の順位を確認すると、首位はパリサンジェルマン、2位は勝ち点63で並ぶリール、3位のリヨンは勝ち点60,4位のモナコは勝ち点59と首位から4位までの勝ち点の差はわずか4である。
■同勝ち点の首位決戦、パリサンジェルマン-リール戦
この第31節、注目のカードは4月3日のパリサンジェルマン-リール戦である。パリサンジェルマンは2節連続して首位争いを行うチームとの直接対決になる。モナコまでを4強と定義すると、パリサンジェルマンは四強相手に前節のリヨン戦まで勝つことができなかったが、ようやく勝利、1勝1分3敗という成績であり、これが最後の上位勢との対戦となる。対するリールの四強相手の戦績は1勝3分と無敗であり、アウエーのパリサンジェルマン戦とリヨン戦を残している。
パリサンジェルマンはリールに対してパルク・デ・プランスでは1996年4月に敗れたのが最後である。相性のいい相手に勝利して首位をキープしたい。パリサンジェルマンは引き分け以上であれば首位を守ることができるが、敗れてしまえば首位を陥落するばかりか、リヨン、モナコに肉薄されることになる。モナコは第31節では最も早くキックオフを迎え、メッスに4-0と勝利、暫定ではあるが3位になり、首位と勝ち点1差である。このリール戦を終えれば、パリサンジェルマンのイレブンはチャンピオンズリーグの準々決勝の第1戦のため、ドイツのミュンヘンに移動することとなる。4日後にも大一番を控えていることから、マウリシオ・ポチェッティーノ監督はリソースの配分に頭を悩ませたが、攻撃陣は1トップにモイス・キーンを配置し、それを支える形としてネイマール、キリアン・ムバッペ、アンヘル・ディマリアを起用した。ネイマールはほぼ2月ぶりの先発である。
■主力が新型コロナウイルスで離脱したリールが先制
一方のリールであるが、この大一番にユスフ・ヤズジュが新型コロナウイスルで陽性反応が出たため、メンバーから外れ、同じトルコ代表のゼキ・チェリクも外れる。リールはこの直前に行われたフランスカップのベスト8決定戦でパリサンジェルマンに0-3と完敗している。そして前節では19位のニームに敗れている。リールが連敗を喫したのは今季初めてのことである。主力が欠場で、このところ負けが続いているリールに勝機はなく、ここで一気にパリサンジェルマンが頭一つ抜けるのではないかという戦前の予想であった。 予想の通り、立ち上がりからパリサンジェルマンは積極的に攻める。このリールのピンチを救ったのがフランス代表では第3GKとなったマイク・マイニャンである。パリサンジェルマンの攻撃陣のシュートをセーブする。最後尾のマイニャンの活躍に応えたのが1トップのジョナタン・ダビッドであった。リールは右サイドをドリブルで駆け上がったイコネがクロス、この試合初めてつかんだ得点チャンスにダビッドが右足で振り抜いたシュートがケイロス・ナバスの守るゴールネットを揺らす。その後もマイニャンはムバッペのシュートをセーブするなどの活躍で、前半はリールが1点をリードして折り返す。
■リールの守備陣が健闘、1節で首位の座を奪い返す
押し気味に試合を進めながら、リードされたパリサンジェルマンは後半も攻める。リールはゴール前に白い壁を作り、壁を抜けたシュートはマイニャンが止める。リールはカウンターアタックも仕掛けたが、決定的なシーンはナバスがセーブした。そして試合終盤、左サイドをドリブルで駆け上がったネイマールがティアゴ・ジャロにファウルされる。ネイマールはジャロを突き飛ばしてしまい、これが2枚目のイエローカードで、退場となる。またジャロのファウルも警告となり、こちらも2枚目で退場する。試合終了直前のパリサンジェルマンはCKを得て、ナバスも最前線に上がったが同点に追いつくことができず、リールが1-0と勝利して首位を奪還したのである。(続く)