第2947回 リーグ戦を独走するパリサンジェルマン(2) 開幕8連勝したパリサンジェルマン、追うニースとマルセイユ
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■パリサンジェルマンの開幕からの連勝を止めたレンヌ
前回の本連載では欧州カップでは好成績を残しながら、国内リーグ戦では首位から離されているリヨン、リール、モナコについて紹介したが、今回は首位争いについて紹介しよう。
今年のリーグ戦はパリサンジェルマンの独走である。開幕から8連勝という快進撃を見せた。前半戦を終えた時点では、14勝4分1敗で勝ち点46、2位のニースに勝ち点13の差をつけている。得点は39、失点は17、得失点差も+22となっている。これらの数字を見れば安泰かというとそうでもない。それは9月末までは国内リーグは全勝、チャンピオンズリーグでも無敗であったが、10月以降は国内外で取りこぼしをしている。リーグ戦では10月3日のアウエーのレンヌ戦、この試合は中国向けの中継を意識して13時にキックオフ、ロアゾンパークは2万8000人の満員の観客が集まる。試合はパリサンジェルマンがパスをつなぎ、ボール支配率でも7割と圧倒する内容であった。しかし、パリサンジェルマンはキリアン・ムバッペが大ブレーキ、シュートが枠に飛ばず、2点をリードされた後半にシュートが決まったかと思われたが、オフサイドでノーゴール、初黒星を喫した。レンヌにとってはパリサンジェルマン戦の2点差の勝利は2008年3月以来14年ぶりという歴史的勝利となった。
■10月以降、特に12月はペースの落ちたパリサンジェルマン
10月から12月までの国内リーグ戦の成績は6勝4分1敗であり、特に12月は1勝3分と明らかに下降気味である。12月の低迷のきっかけとなったのは11月24日のチャンピオンズリーグのマンチェスター・シティ(イングランド)戦であろう。この試合は0-2と敗れたが、パリサンジェルマンの出来が悪かったわけではない。パリサンジェルマンらしい試合をしながら敗れたことは選手にとってショックであろう。前半戦最後のアウエーのロリアン戦も90分になったころで0-1と敗れていたが、後半アディショナルタイムにようやくマウロ・イカルディが得点をあげて引き分けに持ち込んだ。前回の本連載で紹介したリヨン、リール、モナコが同時期に調子をあげているのとは対照的であり、2位の勝ち点13の差も安心できない。
■ファンのトラブルが残念な2位ニース
そして2位はニース、10勝4分5敗という前半戦の成績であり、古豪の復活と喜ぶファンは少なくない。29得点、17失点で得失点差+12という数字は、僅差の勝利をものにしている勝負強さを物語っている。また、ニースは後半戦に向けて練習を12月28日に再開、わずか5日間のクリスマス休暇で後半戦への意欲は高い。しかし、ニースは8月22日のホームのマルセイユ戦で汚点を残した。1-0のリードで迎えた75分、マルセイユはCKのチャンス、キッカーのディミトリ・パイエに対してニースのファンがペットボトルを投げつけた。パイエはペットボトルをスタンドへ投げ返す。ニースのファンは次々とグラウンドに物を投げ入れ、ついにニースのファンがグラウンドに乱入し、選手と乱闘を始め、マルセイユの選手は負傷した。試合はこのまま打ち切りとなり、ニースは勝ち点1を剥奪し、10月に再試合が無観客で行われ、この試合はドローとなった。
今季のフランスのサッカーではファンによるトラブルが相次ぎ、前回の本連載で紹介した11月21日のリヨン-マルセイユ戦、第2940回の本連載で紹介したフランスカップのパリFC-リヨン戦は試合が打ち切りとなり、残念である。
■試合消化数が1つ少ないマルセイユはニースと同勝ち点、首位奪回を狙う
また、ニースと勝ち点で並んでいるマルセイユはリヨン戦が打ち切りとなったため、試合消化が1試合少ない。前半戦最終戦は本拠地ベロドロームに5万5000人のファンが集まり、期待の高さをうかがわせる。終盤にリードを許したが、後半アディショナルタイムにPKを獲得、パイエが決めてドローに持ち込み、後半戦での首位奪回をファンに誓ったのである。(続く)