第3015回 2021-22フランスリーグフィナーレ(1) 混戦となった来季の欧州カップ出場権争い
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ファンの関心は来季の欧州カップ出場争いと降格争いに
前回までの本連載ではフランスカップを取り上げ、5月7日に行われた決勝ではナントがニースを1－0と破って22年ぶり4回目の優勝を果たした。一方、もう1つの国内タイトルであるフランスリーグは4月23日にパリサンジェルマンが2年ぶり10回目の優勝を決めており、タイトルの行方は決定した。ファンの注目は来季の欧州カップ出場権争いと降格争いに移った。
フランスリーグから欧州への道は1位と2位がチャンピオンズリーグのグループリーグ、3位がチャンピオンズリーグの予備戦3回戦、4位がヨーロッパリーグ、5位がヨーロッパカンファレンスリーグに参戦する。そしてそれ以外にフランスカップの優勝チームがヨーロッパリーグの出場権を得る。
■残り3試合の段階で上位10チームまでに来季の欧州カップ出場の可能性
フランスカップの決勝と同時期にフランスリーグは第36節が行われ、残り3試合となった。第36節が行われる段階の上位の順位を確認しよう。首位はパリサンジェルマンで勝ち点79、2位はマルセイユで勝ち点65、3位はレンヌで勝ち点62（得失点差＋41）、4位はモナコで勝ち点62（＋22）、5位はニースで勝ち点60（＋15）、6位はストラスブールで勝ち点57（＋19）、7位はリヨンで勝ち点55（＋14）、8位はRCランスで55（＋11）、9位はナントで勝ち点51（＋7）、10位はリールで勝ち点51（－1）となり、ここまでのチームに欧州カップ出場の可能性がある。
■リーグ戦の6位チームに欧州カップ出場権は与えられず
リーグチャンピオンはパリサンジェルマンの独走で決まったが、上述の通り2位以降の順位は混戦である。3位までに与えられるチャンピオンズリーグのチケット争いは混戦となった。第36節の上位勢の結果であるが、マルセイユはアウエーでロリアンを3－0と下し、2位をキープした。3位のレンヌはフランスカップで優勝したばかりのナントに1－2と逆転負けを喫した。4位のモナコは昨年覇者のリールをアウエーで2－1と下し、3位に浮上、リールは欧州カップの可能性が消えた。5位のニースはスタッド・ド・フランスで行われたフランスカップ決勝では惜敗であったが、ホームのニースに戻ってきて降格圏内のサンテチエンヌと対戦する。前半に2点を先行され、フランスカップ決勝での敗戦が尾を引いているかと思われたが、後半に入って一挙に4点を奪い、見事な逆転勝ちを収め、順位を1つ上げて4位になった。このニースの勝利によって、ナントが5位以内に入る可能性はなくなった。もしナントが5位以内に入れば、ヨーロッパカンファレンスリーグへの出場権がリーグ戦で6位のチームに移動したが、ナントの5位の可能性がなくなったため、リーグ戦で6位のチームには欧州行きのチケットは準備されないことになった。近年はパリサンジェルマンに代表されるようにリーグ上位チームがフランスカップで優勝していたため、リーグ6位のチームにも欧州カップのチケットが準備されていたが、今季はそれが途絶えた。レンヌが5位に転落、6位のストラスブールは勝利して順位をキープし、リヨンは降格圏内のメッスに敗れ、欧州カップの出場権を獲得できなかった。
フランスカップ決勝もあり、10試合のうち7試合がばらばらの時間に行われた第36節は上位陣は優勝を決めているパリサンジェルマンがトロワと引き分け、レンヌとリヨンが敗れたが、それ以外のチームは勝利した。
残り2試合となった段階で2位のマルセイユから5位のレンヌまでの勝ち点の差は6、5位のレンヌと7位のRCランスの勝ち点差は4である。チャンピオンズリーグ出場の可能性は6位のストラスブールまで残され、ヨーロッパカンファレンスリーグについては7位のRCランスまで可能性がある。
■2位のマルセイユが5位のレンヌに敗れた第37節
第37節と第38節は10試合すべてが同じ時刻にキックオフされる。この中で最も注目を集めた試合が前節で一歩後退したレンヌと一歩抜け出た感のあるマルセイユの対戦である。レンヌのホームであるロアゾンパークは、今季最後のホームゲームで人気チームを迎えた。得失点差ではパリサンジェルマンに次ぐ数字を残すレンヌは、マルセイユとの直接対決で勝利すれば、2位の可能性もある。そしてファンの期待通り、レンヌは前半に2点を奪い、マルセイユを2－0と下し、マルセイユのチャンピオンズリーグ出場に待ったをかけたのである。（続く）
