第3052回 2部に降格した伝統チームのボルドーとサンテチエンヌ

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■2部に降格したサンテチエンヌ、メッス、ボルドー

 本連載の第3047回から第3050回まで今季のフランスリーグの開幕について紹介したが、昨季優勝したパリサンジェルマンは第1節のクレルモン戦に5-0で勝利したのに続き、第2節でもモンペリエに5-2と連勝し、唯一の連勝チームとなり、11回目のリーグ優勝に向けて好スタートを切った。現在、リーグの優勝回数はパリサンジェルマンとサンテチエンヌが10回で並んでいるが、サンテチエンヌは2部に降格してしまった。サンテチエンヌとともにボルドー、メッスが今季は2部に落ちて、再起を期す。

■フランスリーグの通算勝ち点は2位ボルドー、3位サンテチエンヌ

 これまでの90年近いフランスリーグの歴史の中で、最も勝ち点が多いのがマルセイユである。その次に続くのがボルドーであり、3位がサンテチエンヌである。1970年にチームが誕生したパリサンジェルマンは9位にとどまっている。今季はその2位と3位の伝統チームがいずれも1部から陥落した。
 ボルドーとサンテチエンヌは過去の実績だけではなく、事業規模でも2部リーグでは突出している。多くのチームが事業規模が1000万ユーロ前後の中で、ボルドーは4000万ユーロ、サンテチエンヌは3000万ユーロ、これは1部でも中位以上の数字である。  今季の2部リーグはこの2つのビッグクラブに注目が集まることになった。

■1部復帰に向けて好スタートを切ったボルドー

 昨年1部で最下位となったボルドーは7月30日の開幕戦でバランシエンヌを本拠地マットミュットアトランティックに迎える。2部に降格したとはいえ2万人近い観衆を集める。ボルドーは押し気味に試合を進めたもののスコアレスドローに終わった。
 ボルドーは第2節のロデス戦でようやく力を発揮した。序盤から試合を支配し、序盤に2点を先制し、試合終了直前に3点目を奪って3-0と完勝する。さらに本拠地に戻った第3節では2万人以上の観衆の前でニオールを1-0と下す。第3節を終えた時点で勝ち点7で首位ギャンガンと並び、得失点1の差で2位につけ、1部復帰を目指している。

■プレーオフでの不祥事から苦戦の続くサンテチエンヌ

 一方、昨季リーグ18位で19年ぶりの2部降格となったサンテチエンヌは苦戦している。18位は自動降格ではなく、プレーオフが行われた。サンテチエンヌはオセールとホームアンドアウエー形式のプレーオフを戦ったが、オセールでの第1戦、サンテチエンヌとの第2戦とも1-1のスコアでPK戦となり、オセールが5人全員成功させて、1部昇格を決めた。この試合後にサンテチエンヌのファンが暴徒化し、グラウンドになだれ込み、発煙筒を投げ込む。収拾がつかなくなり、機動隊が出動し催涙弾で鎮圧するという不祥事が起こった。この事件に対してサンテチエンヌはリーグから猶予付きで本拠地では6試合無観客試合、勝ち点6を減算という厳しい制裁を受けることになった。
 結局、無観客試合は4試合、勝ち点減算は3となって新シーズンを迎えることになった。サンテチエンヌはシーズン前の親善試合でも2部勢には勝つことができず、不安の中で開幕戦を向開ける。第1節は7月30日、昨季11位のディジョンとのアウエーゲームである。ディジョンは新監督を迎え、シーズン前の親善試合でも好調であった。試合はそのチーム状態を反映するような展開となった。優勢に試合を進めたディジョンは前半に2点を奪って試合を決める。サンテチエンヌは後半に1点を返すにとどまり、さらに試合終了直前には審判に対する暴言で1人が退場処分を受けてしまう。
 サンテチエンヌの第2戦は8月6日、無人のジェフロワ・ギシャールでニームと対戦する。サンテチエンヌはこれまでこのスタジアムでニームと41回対戦、28勝9分4敗と圧倒的な成績を残している。さらにニームは主力の日本代表の植田直通、マリ代表のママドゥ・ドゥクレを負傷で欠いている。サンテチエンヌは前節よりは動きはよかったが、またこの試合も32分に先制を許してしまう。ようやくサンテチエンヌは前半44分にペナルティエリア内でのファウルでPKを獲得、これを成功させて同点に追いつくが、勝ち越すことはできず、第2節は勝ち点1を獲得するにとどまった。
 さらに第3節もアウエーのクビリー・ルーアン戦では2点を先制され、前半のうちに追いついたものの、勝ち越すことができず、試合終了間際にまた退場者を出す。結局3節を終えた時点でペナルティの勝ち点3を減じて、勝ち点-1で最下位に沈んでいるのである。(この項、終わり)

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