第3131回 年末のリーグ戦再開 (5) 首位攻防の大一番はRCランスがパリサンジェルマンを下す
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■62年ぶりに1月1日に試合が行われるフランスリーグ
ワールドカップ決勝の行われた10日後の12月28日に再開したフランスリーグ、前々回と前回の本連載では中断前の上位3チームでワールドカップにも複数の選手を送り込んだパリサンジェルマン、RCランス、レンヌの戦いについて紹介した。首位のパリサンジェルマンが勝利し、2位のRCランスが引き分けたため、両チームの勝ち点差は7に広がったが、再開2戦目の第17節で両チームが対戦する。
第17節は1月1日に行われる。イングランドでは1月1日には試合が行われることは珍しくないが、フランスにおいて1月1日に試合が行われるのは1961年以来実に62年ぶりのこととなる。1961年と言えば前年に行われた欧州選手権で4位、直近のワールドカップである1958年大会では3位とそれぞれ好成績を残したように見えるが、欧州選手権では東欧勢に連敗、ワールドカップでは準決勝でブラジルに大敗した。そのワールドカップの準決勝のフランス戦で一躍世界にその名が知られることになったのがペレであり、2022年の暮れに亡くなった。謹んで冥福を祈るのみである。会場のランスのフェリックス・ボラール競技場、3万8000人観衆とともに試合前に黙祷が捧げられた。
■ホームで8戦全勝のRCランス、アウエーで7勝1分のパリサンジェルマン
さて、両チームはホームゲーム、アウエーゲームで特徴的な記録を持っている。まず迎え撃つRCランスはホームではここまで8戦全勝、乗り込んできたパリサンジェルマンはアウエーでは7勝1分で負けなし、ホームで最強のチームがアウエーで最強のチームと対戦することになる。
首位攻防戦に臨む両チームであるが、ホームのRCランスはワールドカップに登録した3人の選手全員が先発する。前節のアウエーのニース戦ではベンチスタートだったベルギーのロイス・オペンダがCFの位置に入る。一方のパリサンジェルマン、ワールドカップ組では前節のストラスブール戦で退場となったネイマールが出場停止となる。またリオネル・メッシもまだチームに合流していない。マルキーニョスとキリアン・ムバッペはこの日も先発出場となり、カルロス・ソレール、アクラフ・ハキミ、ダニーロ・ペレイラは先発出場、ワールドカップ組は5人が先発となった。メッシの穴を埋めるのは20歳のウーゴ・エキティケである。エキティケは今季スタッド・ド・ランスから買取オプション付きでパリサンジェルマンにレンタル移籍、来季以降もパリサンジェルマンに在籍するであろうことから、このようなチャンスを得ることは来季以降の自身のステータスを高めることになる。
■ポーランド代表のチェミスワフ・フランコフスキが先制点、若武者ウーゴ・エキティケが同点ゴール
試合はRCランスが開始直後から攻め込む。RCランスは5分にポーランド代表としてワールドカップに出場したチェミスワフ・フランコフスキがパリサンジェルマンのGKジャンルイジ・ドンナルンマがはじいたボールをボレーで決める。フランコフスキにとっては今季初ゴールとなった。
これに対してパリサンジェルマンも反撃する。左サイドのソレールがサイドチェンジ、右サイドのノルディ・ムキエレが折り返し、エキティケが競り合って右足で同点ゴールを決めた。代役組の活躍でパリサンジェルマンは追いついた。
■RCランスが勝利、リーグ戦で昨年3月以来の敗戦となったパリサンジェルマン
しかし、勝ち越し点をあげたのはRCランスであった。28分にオペンダがセルヒオ・ラモス、マルキーニョスというワールドクラスのストッパーを抜き去って勝ち越しゴールを奪った。
さらに後半の立ちあがりの47分にもRCランスはアレクシス・クロード・モーリスが追加点を奪い、2点差とする。リードして守勢に回ったRCランスに対し、パリサンジェルマンはムバッペとエキティケの2人が積極的にゴールを狙ったが、得点をあげることができなかった。パリサンジェルマンは1-3で敗れ、RCランスとの勝ち点差は4となる。パリサンジェルマンが国内リーグで敗れたのは昨年3月の第29節のモナコ戦以来のことであり、メッシのチーム合流をファンは待っているのである。(続く)