第3198回 終盤を迎えたフランスリーグ(1) 中断前までは国内外で無敗だったパリサンジェルマン

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■中断を含み10か月にわたって行われるリーグ戦

 昨年のワールドカップ開催は各国のサッカーカレンダーにも大きな影響を与えた。ワールドカップによる中断期間のあったフランスリーグは昨年8月5日に開幕し、11月中旬から12月下旬まで中断し、12月末に再開し、最終節は6月3日に行われる。開幕から10か月、史上最長のリーグ戦となった。今季までは1部は20チーム体制であるため、各チームが38試合戦うが、その長いリーグ戦もいよいよ終盤を迎えた。

■カタール資本になって別のチームとなったパリサンジェルマン

 このフランスリーグのリーダーがパリサンジェルマンであるのは衆目の一致するところである。昨年のワールドカップには7か国の11人の選手が出場した。リオネル・メッシ、キリアン・ムバッペ、ネイマールとスター選手がそろい、世界的に見ても最高級の選手がそろっている。これを可能にならしめたのは2011年のカタール資本の経営参画である。カタール・スポーツ・インベストメントの資金力により、大型補強を繰り返し、それまでとは全く別のチームになった。
 カタール資本の参画以降、パリサンジェルマンは国内ではリーグ戦で8回優勝、フランスカップでは6回優勝、リーグカップ(2020年で終了)では6回優勝している。パリサンジェルマンは1970年創立と欧州の中でもひときわ歴史の浅いクラブであるが、創立以来カタール資本になるまでのタイトルはリーグ戦では2回、フランスカップ8回、リーグカップ3回である。カップ戦のスペシャリストの異名を持ち、カップ戦はカタール資本以前もかなりの成績を残しているが、カタール資本になってからのタイトル占有率は明らかに高くなった。
 国内では無敵であり、チャンピオンズリーグも毎年出場しているが、2020年に決勝に進出した以外は決勝トーナメントの序盤で敗れることが多い。欧州での成績だけを比較すれば、1990年代半ばにカップウィーナーズカップで優勝した時は現在とは欧州カップの構成が異なるが、3年連続でベスト4に入っていた。前回の本連載でフランスリーグがUEFAインデックスでかろうじて5位を守ったことを紹介したが、当時のフランスのUEFAインデックスは2位であった。

■新監督を迎えシーズン前の日本遠征でチームビルディング

 そのパリサンジェルマンであるが、今季は新監督としてフランス人のクリストフ・ガルティエをニースから獲得する。これまでは選手同様、外国人のビッグネームが指揮を執っていたが、チャンピオンズリーグではことごとく勝負どころで敗退していた。国内のチームの経験しかないが、中堅以下のチームで実力以上の成績を残してきた勝てるフランス人監督を招聘した。8月初めのシーズン開幕前にパリサンジェルマンは日本遠征、日本のファンの皆様はスター軍団のプレーに歓声をあげたが、ガルティエ監督は新チームの構築のためにこの遠征を活用し、3バックシステムを採用し、日本の強豪クラブ相手には失点を重ねたが、チャンピオンズトロフィーを経てシーズン開幕を迎えた。

■今季初黒星となった2位RCランスとの直接対決

 日本遠征での収穫があり、好調な滑り出しを見せる。開幕戦から3連勝したが、いずれも5点以上を奪う大勝であった。他のチームを寄せ付けず、ワールドカップ開催による変則日程で11月中旬にシーズンが中断した時点の成績は国内リーグ戦は13勝2分、チャンピオンズリーグのグループリーグは4勝2分であった。公式戦無敗で選手たちはカタールのワールドカップにステージを移したのである。カタールでの活躍は改めて書くまでもないだろう。
 ところが、年末に再開してからは明らかにそれまでのパリサンジェルマンではなくなってしまった。中断時点のリーグ戦の順位は首位のパリサンジェルマン(13勝2分、勝ち点41)をRCランス(11勝3分1敗、36)が2位で追っていたが、再開後の第2戦、62年ぶりに1月1日に行われた直接対決でRCランスが3-1と勝利し、パリサンジェルマンは今季初黒星を喫し、ここから黒星が目立つようになったのである。(続く)

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