第3204回 パリサンジェルマン、単独最多となる11回目の優勝
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■優勝まで勝ち点1に迫ったパリサンジェルマン
前回までの本連載ではフランスリーグの第36節までの模様を紹介した。首位パリサンジェルマン、2位RCランスとも勝利し、勝ち点の差は6となって残り2試合となった。得失点差でパリサンジェルマンは大きくリードしており、残り2試合でパリサンジェルマンが連敗、RCランスが連勝し、さらにパリサンジェルマンが大敗、RCランスが大勝し、34ポイントの得失点差を逆転すれば、RCランスの優勝となる。現実的には不可能に近いが、パリサンジェルマンの優勝決定は第37節以降となった。
■残留決定まで勝ち点1のストラスブール
シーズンの最終節となる第38節とその前の第37節は10試合すべてが同じ時間、5月27日21時にキックオフされる。パリサンジェルマンはアウエーでストラスブール戦、RCランスはホームでACアジャクシオ戦、パリサンジェルマンが引き分け以上あるいはRCランスが引き分け以下でパリサンジェルマンの優勝が決まる。
対戦相手のストラスブールはこの時点で15位で、降格圏の17位のナントとは勝ち点6の差であり、こちらも残り2試合でストラスブールが1試合でも引き分け以上か、ナントが1試合でも引き分け以下でストラスブールの1部残留が決定する。他力で優勝や残留を決めることもあるが、両チームとも自力で優勝や残留を決めたい。
■ボール支配はパリサンジェルマン、シュート数はストラスブール
ストラスブールを率いるのはフレデリック・アントネッティ、日本の皆様はよくご存じの監督であろう。のラ・メイノー競技場は25000人を超えるファンで埋まった。パリサンジェルマンの攻撃陣はリオネル・メッシとキリアン・ムバッペの2トップ、そのムバッペは11分にストラスブールのGKマット・セルを競り合ったが、セルがボールを収めて先制点はならなかった。試合はホームではパリサンジェルマンを苦にしていないストラスブールのペースとなる。パリサンジェルマンは守備の乱れからゴール前でボールを失うシーンも見られる。パリサンジェルマンがもたついている間にRCランスは先制点をあげる。パリサンジェルマンはボールは支配するもののシュートを打てず、逆にストラスブールは積極果敢にゴールを狙う。30分にはエル・シャダイユ・ビチャブがペナルティエリア内で倒されたのではないかとVARとなったが、ノーファウル。パリサンジェルマンのフラストレーションがたまる。34分に今度はストラスブールの選手がペナルティエリア内で倒され、これもVARとなったが、PKにはならず、スコアレスが続く。38分にはストラスブールのハビブ・ディアロのシュートがポストをたたく。パリサンジェルマンはその直後の好位置からのFKもメッシが蹴るが、ゴールの枠から外れてしまう。パリサンジェルマンが7割のボール保持をしながらも両チーム無得点でハーフタイムを迎えた。
■リオネル・メッシが先制点、ケビン・ガメイロの同点ゴールで両者目的達成
スコアレスドローでも両チームとも目的を達することができるが、両チームとも、特にホームのストラスブールは積極的であった。後半も果敢に攻めたが、逆に59分、左サイドをムバッペに崩され、ラストパスをメッシに渡して、メッシが先制ゴールを決めた。ストラスブールは失点にひるむことなく戦い、66分にはコリン・ダグバに代えて、ベテランのディミトリ・リエナールを投入、スタンドは沸く。さらに76分にはイブラヒマ・シソッコに代えて、かつてパリサンジェルマンで活躍したケビン・ガメイロを投入する。そのガメイロは出場して3分後の79分に同点ゴールを放つ。ストラスブールはこの同点ゴールの後はペースを落とし、勝ち点1、残留を狙う。試合は、ファンお目当てのリエナール、ガメイロの活躍でストラスブールのファンは大満足の1-1のドローとなる。
そして勝ち点1を獲得したパリサンジェルマンは優勝を決定した。これまで通算優勝回数ではサンテエチエンヌと並んでいたが、最多の11回めの優勝となった。また、欧州五大リーグの中で最も遅く優勝が決まったのである。(この項、終わり)