第3222回 再構築を進めるパリサンジェルマン(3) 着々と新戦力を補強
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■気になるキリアン・ムバッペの動向
クリストフ・ガルティエ監督の後任は元スペイン代表監督だったルイス・エンリケに決まったパリサンジェルマンであるが、新監督の仕事はチームの再構築である。
すでにシーズンが終了した時点でリオネル・メッシとセルヒオ・ラモスが退団している。そして気になるのはキリアン・ムバッペである。ムバッペは来年、契約満了を迎える。すなわち来季が終了すれば、移籍金なしで移籍することができる。パリサンジェルマンはこれを見越して契約の延長を申し出るが、ムバッペ側はこれを断る。すなわち、クラブ側にとっては来年に移籍金なしでムバッペを失うのであれば、この夏にムバッペを移籍させて、移籍金を獲得する方が得であるというそろばん勘定も働く。これまでも「欧州で優勝できるチーム」ということでレアル・マドリッドへの移籍が噂されてきたムバッペの動向は来季のチーム作りを考えるうえで最も大きなポイントであろう。
そして、長らく負傷で戦列を離れていたネイマールも7月の中旬から練習を再開している。ネイマールも移籍の話は絶えないが、ルイス・エンリケ監督はネイマールを貴重な戦力であると就任直後に表明、新シーズンでは帰ってきた背番号10を見ることができるだろう。
■レアル・マドリッドのマルコ・アセンシオとインテル・ミラノのミラン・シュクリニアル
主力クラスの状況は、現時点ではこの程度であるが、新戦力の補強について紹介していこう。レアル・マドリッドで契約が満了となったマルコ・アセンシオを獲得した。レアル・マドリッドでは数々の栄光を獲得しているFW、ここぞというところで決勝点をあげる力を持っており、勝者のメンタリティーをパリサンジェルマンに吹き込むことができるだろうか。また、ルイス・エンリケ監督がスペイン風のチームを構築しようとしているのがわかる。
イタリアのインテル・ミラノに所属していたミラン・シュクリニアルはスロバキア代表である。シュクリニアルはDFであり、インテル・ミラノも3バックシステムで戦っており、セルヒオ・ラモスの後任見合いでの獲得となる。また、スロバキア代表では主将も務めており、これまでセルヒオ・ラモスがつけていたキャプテンマークをムバッペが譲り受けるかどうかもファンの注目の的である。パリサンジェルマンにとっては初めてのスロバキア人の選手に期待したい。
■初の韓国人選手となる李康仁
そして韓国人選手も初めての獲得となる。スペインのマジョルカに所属していた李康仁である。10歳の時にスペインに渡り、同じ2001年生まれの日本の久保建英と比較されてきた。李康仁はバレンシアの下部組織で成長し、17歳でプロデビューした。これは韓国人選手の欧州での最年少プロ記録である。バレンシア時代はチャンピオンズリーグでも活躍、マジョルカでは2シーズンを過ごした。左サイドのMFまたはウイング、これもムバッペの移籍を想定した戦力の補強とも考えられる。
李康仁と並んで日本の皆様にとって身近なのがマヌエル・ウガルテではないだろうか。日本の鎌田大地の所属するスポルティング・リスボンのチームメイトである。ウルグアイ代表のMFである。ウガルテはウルグアイのオリンピックチームにも所属し、東京オリンピックを目指したが、南米予選で敗れている。
■負傷からカムバックしたルカ・エルナンデス
そしてこの時点で最もビッグネームはルカ・エルナンデスである。バイエルン・ミュンヘン所属のフランス代表選手である。弟のテオ・エルナンデスもフランス代表、2人の父親のジャン・フランソワ・エルナンデスもサッカー選手であり、父親がマルセイユに所属していた時にルカは生を受けた。昨年のワールドカップでは初戦の豪州戦の前半9分に負傷、そのまま長期離脱となり、テオ・エルナンデスがその後の試合で兄の分まで奮闘した。ワールドカップ期間中にオーストリアで手術を受けており、回復した姿に期待したい。(この項、終わり)