第3372回 2023-24フランスリーグ終了(2) クラブ史上最高の3位になったブレスト

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■4位までチャンピオンズリーグ出場の可能性

 5月19日の最終節でフランスリーグは終了し、優勝は3季連続12回目のパリサンジェルマン、2位には6年ぶりにモナコが入った。来季はチャンピオンズリーグの大会形式が変更となり、本大会(グループステージ)の参加チームが32から36へ増加する。UEFAインデックスで5位のフランスリーグからの出場チームがこれまでの2ないし3から3ないし4となり、リーグ3位までが従来のグループステージに相当するリーグフェーズ、リーグ4位はリーグフェーズに出場するための予備戦3回戦に出場する。したがって、昨年まではチャンピオンズリーグ出場権をめぐる2位争い、3位争いに注目が集まったが、今年はそれが1つ下がって3位争い、4位争いに目が行く。

■ブルターニュの軍港、ブレスト

 そのチャンピオンズリーグ出場権争いでファンを驚かせたのがブレストであり、最終順位は3位に入り、クラブ史上最高の成績を残した。現在の1部18チームの地理的分布とであるが、最大勢力はブルターニュとグランテスト(東部)の3チームである。ブルターニュ勢はレンヌ、ロリアン、ブレストであるが、注目はブルターニュの都と言われるレンヌ、そして上位の成績を残したこともあるロリアンである。ブレストにはフランス最大の軍港があり、日本の横須賀市と姉妹都市である。また英国のプリマス、ドイツのキールという港湾都市、軍港のある都市とも姉妹都市となっている。そしてパリ・ブレストという洋菓子も日本ではよく知られているであろう。これはパリ・ブレスト・パリというパリとブレストを往復する自転車レースにちなみ、自転車の車輪の形をした形の洋菓子が考案されたものである。パリとブレストを往復するパリ・ブレスト・パリは現在でも行われ、130年以上の歴史を誇っている。

■1990年代から低迷したブレスト

 このように軍港、洋菓子、自転車レースで有名なブレストであるが、そのサッカーチームはこれまで目立った成績を残していなかった。ブレストにあったクラブが合併して現在のクラブ原型となるクラブが発足したのが第二次世界大戦後の1950年である。このクラブが初めて1部に昇格したのが1979年である。1980年代は1部に定着した。この時期に在籍した選手はイボン・ルルー、ポール・ルグアン、バンサン・ゲラン、ベルナール・ラマ、コランタン・マルティンス、ダビッド・ジノラなど多士済々である。
 1991年に財政面の不正が発覚、クラブは3部に降格、そこからの復活の道は険しかった。ようやくプロのステータスである2部に戻ってきたのが2004年、1部に復帰したのは2011年であった。その後2部に降格したこともあったが、2019年に1部に復帰してからは二桁順位が続くが、1部に残留している。

■4位で折り返し、最終節はアウエーで勝利し、リールを逆転して3位に

 このブレストが突然変異ともいえる活躍をしたのが今季であった。開幕から2連勝、途中3連敗を喫したものの、前半戦の終盤は5連勝、4位で折り返した。
 後半戦も白星でスタートしたが、第2戦はアウエーのパリサンジェルマン戦、この試合を2-2のドローに持ち込み、チームに勢いがついた。2月に入ってマルセイユに勝利して2位に浮上する。モナコに抜かれたが、3位をキープして終盤を迎えた。真骨頂は最終節(第34節)であった。直前の第32節、第33節はいずれもホームゲームであったが、ナント、スタッド・ド・ランスと連続して引き分け、リールに抜かれて4位に落ちて最終節を迎えた。
 5月19日21時、9試合が同時にキックオフされる最終節、勝ち点58で得失点差が+18の3位のリールはホームに勝ち点54で5位のニースを迎える。同じく勝ち点58で得失点差が+16で4位のブレストはアウエーでのトゥールーズ戦、3位争いはリールが優勢と思われた。ブレストは得失点差も考慮して攻撃を仕掛け、アウエーで3-0と勝利する。リールは2-1とリードして後半アディショナルタイムを迎えた。しかし、ニースが同点に追いついた。ブレストはリールを逆転し、3位となる。そして、クラブ史上初めての欧州カップ出場がチャンピオンズリーグとなったのである。(続く)

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