第3373回 2023-24フランスリーグ終了(3) 重要な試合の終盤で失点し、4位となったリール
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■ヨーロッパカンファレンスリーグ準々決勝でアストン・ビラと対戦したリール
前々回と前回の本連載では来季のチャンピオンズリーグリーグフェーズに出場する3チーム(パリサンジェルマン、モナコ、ブレスト)を紹介してきた。今回からはそれ以降の欧州カップ出場チームについて紹介しよう。
チャンピオンズリーグの予備戦3回戦に出場するのが4位のリールである。昨季は5位になり、ヨーロッパカンファレンスリーグに出場、本連載では準々決勝に進出したところまでしか紹介できなかったが、準々決勝ではイングランドのアストン・ビラと対戦した。
■アウエーの第1戦では1点を返し、ホームでの第2戦に望みをつなぐ
4月11日の第1戦はアストン・ビラの本拠地、バーミンガムのビラパークで行われた。ホームのアストン・ビラはいずれもセットプレーからの得点で2点をリードして終盤を迎えた。リールはガブリエル・グドムンドソンのゴールが、VARの末、オフサイドの判定で取り消されたこともあり、無得点。しかし、84分にレミ・カベラからのCKをバフォデ・ディアキテがヘディングで決め、1-2というスコアでホームに戻ってきた。
■終盤に失点、PK戦では名手エミリアーノ・マルティネスに阻まれ、準々決勝で敗退
ホーム、ピエール・モーロワでの第2戦、バーミンガムでの試合より1万人多い4万7000人のファンが後押しする。リールは15分にグドムンドソンからのクロスをユスフ・ヤジシが決める。ヤジシは今季のヨーロッパカンファレンスリーグで5点目となり、観衆を沸かせた。2試合通算スコアで追いついたリールが勢いづく。前半はアストン・ビラはボール支配率で上回るものの、シュートすら記録できずにいた。
後半に入ってもリールのペースで試合は進み、アストン・ビラは56分になるまでシュートを放つことができなかった。攻勢のリールは68分に左サイドからのクロスをバンジャマン・アンドレがヘディングで決めて、2試合通算で勝ち越す。このまま準決勝進出かと思われたが、87分にアストン・ビラは右サイドDFのマッティ・キャッシュがゴールをあげる。アストン・ビラの4本目のシュートが2試合通算スコアをタイに持ち込んだ。
延長戦に入り、延長後半の114分には殊勲のキャッシュがペナルティエリアでハンドをしたか見え、VARとなったが、リールにPKは与えられず、両チームのスコアは動かず、PK戦に突入した。
PK戦はアストン・ビラの先蹴で始まった。アストン・ビラのトップのユーリ・ティールマンスは成功させる。リールのトップはナビル・ベンタレブ、対するアストン・ビラのGKはエミリアーノ・マルティネス、2022年のワールドカップのアルゼンチン代表である。フランスとの決勝ではPK戦で活躍し、優勝メンバーとなった。また、この大会の準々決勝のオランダ戦もPK戦となり、2つのセーブを記録し、勝利に貢献した。マルティネスはベンタレブのシュートをセーブする。その後は両チームとも成功させたが、アストン・ビラの4人目のレオン・ベイリーのシュートをリールのGKルカ・シュバリエが止めて、リールが追いついた。5人目で明暗が分かれた、アストン・ビラが成功させたのに対し、リヨンはアンドレが失敗する。試合終了間際に失点したリールはPK戦に持ち込まれて敗れ、準々決勝敗退となったのである。
■リーグ最終節でも終盤に失点し、4位に陥落したリール
欧州の舞台から降りたリールはこの時点で国内リーグは6試合残しており、他のチームより1試合消化数が少なかったが4位であり、3位モナコとは勝ち点3差、2位ブレストとは勝ち点4差である。アストン・ビラ戦の直後のストラスブール戦は勝利したが、アストン・ビラ戦のために延期された第29節のモナコ戦が4月24日に行われた。勝てば来季のチャンピオンズリーグの出場権を獲得するモナコにリールは0-1と敗れてしまい、3位浮上はならなかった。そして第33節ではアウエーでナントに勝利し、勝ち点でブレストと並び、得失点差で上回って3位に浮上する。しかし、最終節では前回の本連載で紹介した通り、終盤にニースに追いつかれてしまい、4位になってしまう。アストン・ビラ戦の第2戦と同じ展開となり、来季のリールはチャンピオンズリーグの予備戦3回戦から再び欧州に挑戦するのである。(続く)