第3375回 2023-24フランスリーグ終了(5) 最下位クレルモンと17位ロリアンが2部降格

 平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■2チームが自動降格、1チームが入替戦というシステムに戻る

 前回までの本連載は出場チーム数が増えた欧州カップへの出場権をつかんだ7チームを紹介したが、逆に2部への降格チームがあることも事実である。昨季は1部のチーム数が18に削減されることから4チームが自動降格、2チームが2部から昇格となったが、今季はそれ以前のように2チームが自動降格(自動昇格)、1チームが入替戦で降格と昇格を争うことになった。すなわち1部は18チームのうち、過半数の10チームが欧州カップ出場、2部との降格に関与することになり、優勝争い以外に終盤までファンにとって目が離せない仕組みになった。
 降格争いであるが、10月から12月にかけてはリヨンが最下位に沈んだこともあったが、12月に入ってから盛り返し、降格圏内から欧州カップ出場をつかんだことは前回の本連載で紹介した通りである。前半を終えた時点で最下位はクレルモン、17位はロリアン、16位はトゥールーズであった。トゥールーズは折り返しを前に黒星が続いて降格圏内にあったが、その後は盛り返し、最終的には11位に落ち着いた。

■最終戦を待たずして2部降格が決まったクレルモン

 終盤になって降格争いをしていたのはクレルモン、ロリアン、メッス、ルアーブルであった。開幕から常に降格圏内の順位に低迷していた最下位のクレルモンは4月28日の第31節でスタッド・ド・ランスとホームで戦う。ここまでホーム15試合で2勝5分6敗、わすか10得点というクレルモンは勝利しなければ2部降格が決定するが、スタッド・ド・ランスに退場者が出たこともあり、4-1と大勝して、サバイバルした。ところが、続く第32節はモナコ、第33節はリヨンと上位勢との対戦が続いた。5月4日にモナコとアウエーで対戦、チャンピオンズリーグ出場をかけて戦う2位モナコはクレルモンには高すぎる壁であった。2週連続して日本人選手の所属するチームと対戦したが、クレルモンは南野拓実に先制点を奪われ、一旦は追いついたものの、突き放され、1-4と敗れる。そして5月12日にはホームにリヨンを迎えた。フランスカップの決勝に残り、リーグ戦でも順位を上げて欧州カップ出場を目指すリヨンに対し、クレルモンは0-1と敗れ、2部降格が決まった。クレルモンは2021年に1部に初昇格したが、1部在位3季で2部に降格することになった。

■最終節でメッスはアウエーでパリサンジェルマン戦、ロリアンとクレルモンは直接対決

 クレルモンが1試合を残して2部降格が決まったことが降格争いをする他チームに影響を与えた。最終節を迎える時点の下位の成績は、最下位がクレルモン(勝ち点25、得失点差-29)、17位がロリアン(26、-28)、16位がメッス(29、-21)、15位ルアーブル(32、-10)であり、クレルモンは17位以下が確定している。ただ、最終節の組み合わせが実に微妙である。勝ち点1を確定すれば16位が確定するメッスはアウエーでパリサンジェルマン戦であり、勝ち点をあげることは難しい。他方、メッスを勝ち点3差で追う17位のロリアンはホームで最下位のクレルモン戦である。2部降格の決まったクレルモンもロリアンに勝利すれば最下位を脱出できる。

■パリサンジェルマンに敗れたメッスと大勝したロリアンが勝ち点、得失点差で並ぶ

 5月19日21時に全国各地でキックオフされた試合、本拠地で最終戦を迎えるパリサンジェルマンはキリアン・ムバッペをベンチからも外しながら、開始早々に2点を連取、試合を決めてしまう。
 この試合展開はブルターニュにも届く。ホームでファンの声援を受けたロリアンは前半の終盤に2点を奪い、後半もゴールを重ねて5-0と勝利する。パリでの試合、パリサンジェルマンは序盤の2点だけで、残りの時間はパスをつないで終わる。
 この結果、メッスとロリアンは勝ち点29で並び、得失点差も-23で同じになる。得失点差で並んだ場合は、2016-17シーズンであれば、総得点で優劣が付けられ、66得点のロリアンが58得点のメッスをかわすところであったが、現在は直接対決の結果による。ロリアンではメッスが3-2と勝利、反対にメッスではロリアンが2-1と勝利し、直接対決でも勝ち点、得失点差が同じであったが、アウエーゴールのルールが残っており、メッスが16位を確保し、ロリアンが自動降格となったのである。(この項、終わり)

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