第662回 第3のタイトル・リーグカップ(2) オールドファンを喜ばせたランスとサンテエチエンヌ
■優遇措置を受けたリヨンとボルドー
9月19日と20日に行われたリーグカップのベスト16決定戦を勝ち抜いた14チームの内訳であるが、1部リーグ12チーム、2部リーグ2チームとなった。この14チームにチャンピオンズリーグ本戦に出場権を得ているリヨンとボルドーを加えて10月23日と24日にベスト8決定戦が行われた。
ベスト16決定戦を免除されると言う優遇措置を受けたリヨンとボルドーであるが、ベスト8決定戦では思わぬ難敵との対戦となった。リヨンはパリサンジェルマン、ボルドーはオセールと対戦することになった。
国内のリーグ戦で無敵、そして欧州カップでも上位に進出しているリヨンであるが、実は国内のカップ戦ではいい成績を残していない。リヨンはリーグ戦で5連覇中であるが、この間フランスカップもリーグカップもタイトルとは無縁であるばかりか決勝に進出したことすらない。フランスカップを制覇したのは今から30年以上前の1973年、リーグカップ制覇は5連覇がスタートする前年の2001年のことである。方やパリサンジェルマンは最近の本連載で紹介している通り、フランスカップのスペシャリストであるばかりではなく、リーグカップでもこれまでに2度優勝している。
ボルドーが対戦するオセールはパリサンジェルマンと並ぶフランスカップのスペシャリストである。実は過去4年間のフランスカップはパリサンジェルマンとオセールが毎年交代で優勝をしている。
■リヨンはパリサンジェルマンに逆転勝ち
このようにリヨンとボルドーの初戦に注目が集まった。すでにこの時点でリーグ戦でリヨンに大差を付けられていたパリサンジェルマンはリヨンに対し、58分にPKを得て、パオロ・セザールが決めて先制する。パリサンジェルマンはリヨンを決して苦手とはしておらず、2004-05シーズンのリーグ戦でもリヨンで勝利している。このままパリサンジェルマンの勝利かと思われたが、88分と90分にリヨンはシルバン・ビルトールが連続してゴールを決めて逆転する。後半は7分間と言う長いロスタイムとなったが、パリサンジェルマンは同点に追いつくことができず、リヨンが王者の貫禄を見せた。
一方のボルドーはジャン・クロード・ダルシュビルのゴールでオセールをアウエーで下し、ベスト8入りし、昨年のリーグ1位と2位はその面目を保ったのである。
■ランス、モナコをPK戦で下す
そして前回の本連載で紹介したランス(Stade de Reims)とサンテエチエンヌは1990年代のフランスサッカーを支えたチームと対戦した。ランス(Reims)はベスト8決定戦ではモナコと対戦した。実にランス(Reims)が最後に1部にとどまっていた1978-79シーズン以来27年ぶりの対戦である。ランス(Reims)の本拠地オーギュスト・ドローン競技場は超満員の9200人の観衆で埋まる。同日に行われたリヨン-パリサンジェルマン戦ですら8分の入りで満員にはなっていない。準々決勝まで唯一超満員となった試合がこのランス(Reims)-モナコ戦なのである。
試合は、その雰囲気に相応しい熱戦となった。両チーム相譲らす無得点で延長戦に入っても無得点が続き、PK戦で27年ぶりの戦いの雌雄を決することとなる。このPK戦を制してランス(Reims)は準々決勝に進出したのである。
■サンテエチエンヌ、マルセイユに大勝
そしてサンテエチエンヌはマルセイユと対戦した。マルセイユは1990-91シーズンのチャンピオンズカップ決勝でPK戦の末、レッドスター・ベオグラードに敗れ、1992-93シーズンのチャンピオンズリーグ決勝ではACミランに勝利したが、八百長疑惑により剥奪された。マルセイユの前にファイナリストとなったのが1976年のサンテエチエンヌであるが、バイエルン・ミュンヘンに敗れている。時代を超えながらも悔しさを共有する両チームが対戦した。舞台はジェフロワ・ギシャール、日本の皆様ならば中田浩二の欧州でのデビュー戦を思い出されるであろう。この試合、サンテエチエンヌが怒涛のゴールラッシュを見せ、4-1と大勝する。
このようにランス(Reims)とサンテエチエンヌの勝利はオールドファンを喜ばせたのである。(続く)