第804回 リーグカップ4強出揃う(1) 真夏に行われた1回戦と2回戦
■リーグ戦も再開、リヨン首位固め
前回までの本連載では、フランスカップのベスト32決定戦を紹介してきた。このフランスカップのベスト32決定戦は、年末年始の中断明け最初に行われる試合であると紹介した。そしていよいよリーグ再開となり、目下種のリヨンはフランスカップでパリFCに敗れたトゥールーズを下し、2位ナンシーがカーンと引き分けたために、1位と2位の勝ち点の差は6に開いた。また3位ボルドーはオセールに勝利し、勝ち点で2位ナンシーと並び、逆転優勝への可能性を残した。
■昨季から実施された大会方式の変更
そのリーグ再開の直後に行われるのが、今回から紹介するリーグカップの準々決勝である。リーグカップはフランスリーグ、フランスカップに続く国内第3のタイトルであるが、近年は主催者の努力により、そのステータスを向上させてきた。本連載第661回から第663回で昨季の同時期のリーグカップについて紹介したが、昨季に主催者であるフランスプロサッカーリーグは、いくつかの変更を行った。そのうちの1つがスケジュールの前倒しであり、準々決勝を年内に行い、従前は4月に行われてきた決勝を3月の末に行った。リーグカップの参加チームにとっての最大のモチベーションは優勝チームに与えられるUEFAカップへの出場権であり、フランスリーグやフランスカップの優勝や順位の決まる2月前に欧州へのチケットを確保することができる。今季も決勝は3月29日と前年を踏襲したが、昨季は12月に行われた準々決勝が今季は1月中旬となった。
昨季行われた変更はスケジュールの前倒しだけではない。まず、チャンピオンズリーグの本選に直接出場するチーム(今年の場合リヨンとマルセイユ)はベスト8決定戦からの参戦となり、通常の1部リーグのチームが登場するベスト16決定戦を免除される。これらの2チームに加え、前年のリーグ戦で4位までに入ったチーム(トゥールーズとレンヌ)はシード権が与えられ、準々決勝まで対戦することがないようになっている。これらの変更は有力チームに対する便宜ということで中堅以下のチームからの反発もあったが、今季も継続されている。
■45チームが参加したリーグカップ
リーグカップへの出場チームは1部20チーム、2部20チームに加え、3部に相当するナショナルリーグに所属するチームのうち、プロのステータスを持ったナショナルリーグの5チーム(クレテイユ、イストル、ツール、セート、ラバル)が出場する。ナショナルリーグ勢のうち、クレテイユ、イストル、ツールは2部から降格したばかりのチームである。
■2部勢9チームに混じって2回戦を突破したラバル
8月14日に行われた1回戦はナショナルリーグのチームと同数の2部のチームが参加した。1回戦から参戦する2部のチームは2部に昇格したばかりの3チームと2部には残留したものの前年の順位の低かった2チームが対象となる。真夏からリーグカップを戦わなくてはならない2部のチームは昇格したばかりのクレルモン、ブローニュ・シュール・メール、アンジェの3チームに加え、昨季17位のリブルン・サンスーランと16位のニオールである。シード権のあるチーム以外の抽選は無作為に行われることになっており、これら10チームを2部とナショナルリーグに分けずに1回戦の組み合わせ抽選を行い、5試合のうち3試合は2部勢対ナショナルリーグ勢となったが、残る2試合は2部勢同士、ナショナルリーグ勢同士の戦いとなった。
1回戦ではリブルン・サンスーランに勝利したセートとナショナルリーグ勢同士の戦いを制したラバルの2チームがナショナルリーグ勢として2回戦に進出した。
2回戦は8月末に行われた。1回戦に出場しなかった2部勢15チームと1回戦を勝ち上がってきた5チームの20チームが2回戦10試合を戦った。1回戦を勝ち抜いてきたチームは好調であり、セートがブレストにPK戦で敗れた以外の4チームはベスト16決定戦に駒を進めた。ナショナルリーグから唯一ベスト16に入ったラバルはこの段階でのリーグ戦は3分1敗と未勝利であったが、リーグカップでは2戦2勝している。実はラバルは、リーグカップが1994年に現行の大会形式になる前に行われていた1980年代に2回リーグカップで優勝したことがある。
シーズンが始まって1月の段階でリーグカップは2回戦まで終わり、この段階で2部のチームで残っているのは半分以下の9チームになってしまったのである。(続く)