第805回 リーグカップ4強出揃う(2) ラグビーワールドカップの影響を受けた4チーム

■ラグビーのワールドカップと日程が重なったベスト16決定戦

 8月に1回戦と2回戦が行われたリーグカップ、1部勢の参戦は9月下旬のベスト16決定戦からとなる。このベスト16決定戦ではチャンピオンズリーグのグループリーグに直接参戦するリヨンとマルセイユが免除され、それ以外の18チームと2回戦を勝ち抜いてきた10チームのあわせて28チームが16強入りを争う。
 この時期フランスはラグビーのワールドカップが開催され、このリーグカップのベスト16決定戦にも影響を与えた。ラグビーのワールドカップについては本連載の第762回、第763回、第765から第772回、ならびに第779回で紹介したが、1998年のサッカーのワールドカップと同じスタジアムで行われた。サッカーのフランス代表が欧州選手権予選をスタッド・ド・フランスを離れてパルク・デ・プランスやナントのボージョワール競技場を利用したことは本連載第759回、第775回などで紹介した。サッカーのフランスリーグはあらかじめ日程を調整していたこともあって本来の本拠地を離れて試合を行うことはなかったが、9月26日に行われたリーグカップの試合では、ワールドカップ開催都市の4チームが本拠地以外でホームゲームを行うことになった。

■100回目のライバル対決となったランス-リール戦9

 リーグカップのベスト16決定戦の日にラグビーのワールドカップの試合が行われたのはランスである。この9月26日にフェリックス・ボラール競技場にはグルジア-ナミビア戦が行われ、32,451人の観衆が集まり、グルジアがワールドカップでの初勝利を飾っている。このためランスはホームゲームをアミアンのリコルネ競技場で行った。ランスが迎え撃つのは北部のライバルであるリール、実はランスとリールの対戦はこれが100回目である。この記念すべき試合をランスでもリールでもない都市でわずか6000人の観衆の前で行うことになってしまったのである。この試合は立ち上がりの6分にランスが奪った1点を守りきり、記念すべき試合で勝利を収めるとともに、ベスト16入りを決めたのである。

■前回優勝のボルドー、2部陥落のナント、ともに敗れる

 ボルドーのシャバン・デルマス競技場は前日の25日にカナダ-日本戦が行われたばかりであった。ディフェンディングチャンピオンのボルドーはリブルン・サンスーランの本拠地でメッスを迎える。本拠地を離れたボルドーの試合には1部勢同士の顔合わせとはいえ、2400人しか観衆が集まらなかった。この時点でメッスはリーグ戦では1勝しかしておらず、その元気のないメッス相手にボルドーは3分に先制するが、49分に追いつかれ、77分に勝ち越し点を許す。連覇を狙ったボルドーであるが、初戦で敗れてしまったのである。一方、メッスに関しては第800回の連載で昨年最後の勝利は9月26日のことであると紹介したが、このようにボルドーが本拠地を離れて戦ったということも影響しているであろう。
 そしてナントのボージョワール競技場では9月22日にイングランド-サモア戦、29日にウェールズ-フィジー戦があるため、グラウンドコンディションを考慮してナントはアンジェで試合を行った。ナントの相手はモナコ、このところ良い成績を残してはいないモナコであるが、久々のタイトルを狙いたいところである。一方のナントは2部に降格したが、名門の意地を見せたいところである。しかしナントは2-3と敗れてしまう。

■ラグビーチームの本拠地で戦ったトゥールーズ

 トゥールーズの場合は本拠地を離れたとは言ってもボルドーやナントとは異なり、市内の他の競技場を利用した。本来のトゥールーズの本拠地はスタジアムと呼ばれる市営競技場であるが、3万5000人を収容するこの競技場はラグビーのワールドカップに使用される。9月25日にはルーマニア-ポルトガル戦、29日にはニュージーランド-ルーマニア戦が行われる。トゥールーズにはラグビーの強豪スタッド・トゥールーザンがあり、このラグビーチームはアーネスト・バロン競技場を本拠地としている。トゥールーズはこのラグビーチームの本拠地にカーンを迎えた。この試合はラグビーのように点の取り合いとなり、90分を終了した段階で2-2、延長に入って双方1点ずつ取り合い、結局PK戦となる。カーンがPK戦が制して、ラグビーの都トゥールーズのラグビー場での戦いで勝利をあげた。
 このようにラグビーのワールドカップの影響で本拠地を離れて戦ったチームの成績は1勝3敗と芳しくなかったのである。(続く)

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