第808回 リーグカップ4強出揃う(5) カップ戦が苦手なリヨンは敗退、得意なパリサンジェルマンは勝利
■すべての試合が生中継される準々決勝
ベスト8全てが1部勢となった今季のリーグカップ、ベスト8が出揃った11月1日から2月半のインターバルをあけて、1月中旬に準々決勝が行われた。
準々決勝の組み合わせはルマン-リヨン、パリサンジェルマン-バランシエンヌ、ランス-ナンシー、オセール-マルセイユであり、ルマン-リヨン戦だけが火曜日の1月15日の夜に行われ、それ以外の3試合はその翌日の水曜日に行われるはずだった。このリーグカップの特徴として、テレビ中継が挙げられる。原則としてフランス代表の試合はTF1で放映され、フランスカップやリーグカップはフランステレビジョンで放映される。国営放送であるフランステレビジョンはリーグカップに関しては1つでも多くの試合を放映すると言う至誠であり、準々決勝は全ての試合を生中継する。したがって、準々決勝以降は全ての試合のキックオフは時間をずらして行われ、3試合が集中する16日も、パリサンジェルマンの試合は17時キックオフ、ランスの試合は19時キックオフ、オセールの試合は21時キックオフと2時間ごとに行われ、さらに延長戦やPK戦も想定して別々のチャネルで放映すると言う段取りであった。複数チャネルを有するフランステレビジョンならではの中継体制である。
■強風のため、平日の15時キックオフとなったルマン-リヨン戦
ところが、15日にルマンでアクシデントが起こった。それはルマンが強風のため、試合ができる状態になく、試合が延期されてしまった。もちろん、各チームともスケジュールが詰まっているため、翌週などに試合を延期するわけには行かず、翌日に試合を行うことになったが、フランステレビジョンの「全ての試合を生中継する」と言う方針にのっとり、延期された試合は平日の15時キックオフとなったのである。
王者リヨンは当初の試合日の前日である月曜日にルマン入りしたが、人工芝の室内練習場での調整だけにとどまった。さらに、この1日の延期、そして平日の昼間のキックオフで観衆はわずか3000人というと言う変則的な時間が影響したのであろうか、動きは良くなく、前半にルマンの松井大輔に先制点を許してしまう。攻撃陣は何とかして同点に追いつこうとするが、コンディション不十分のイレブンには重過ぎる1点であり、リヨンは準々決勝で姿を消してしまう。昨年のリーグカップでは決勝に進出したリヨンであるが、カップ戦は苦手のようであり、フランスカップ、リーグカップとも全くいい成績を残していない。そしてこのカップ戦に対する苦手意識はチャンピオンズリーグも同様であるが、そろそろ国内外でのカップを高く掲げるシーンを見たいところである。
■カップ戦のスペシャリスト、パリサンジェルマン大勝
一方、カップ戦を得意とするのがパリサンジェルマンである。リーグカップでの優勝は1回だけであるが、フランスカップでは過去10年間に3回も優勝している。さらに、欧州の舞台でも1996年にはカップウィナーズカップで優勝を果たしている。一方、リーグ戦では1993-94シーズン以来優勝から遠ざかっている。そのパリサンジェルマンはパルク・デ・プランスにリーグ4位のバランシエンヌを迎えた。パリサンジェルマンの監督はポール・ルグアン、バランシエンヌの監督はアントワン・コンブアレといずれもパリサンジェルマンの最後のリーグ優勝を知るメンバーである。パルク・デ・プランスは今季最低となるわずか1万8000人しか観衆が集まらなかったが、カップ戦のスペシャリストであるパリサンジェルマンはゴールラッシュで4-0とバランシエンヌを一蹴し、4強入りを果たしたのである。
■リーグ戦では不振なチームが揃った4強
19時にキックオフされたランス-ナンシー戦はランスが3-0と勝利、そして21時にキックオフされたオセール-マルセイユ戦はオセールが1-0とそれぞれ勝利した。終わってみればこの準々決勝はすべてホームチームが勝利したのである。また、いずれの試合もリーグの順位では低いチームが勝利した。4強のリーグ戦の順位はルマンが7位、パリサンジェルマンが11位、オセールが16位、ランスが18位である。リーグ戦で苦しむこれらのチームのうち、UEFAカップ出場権獲得と言う春を迎えるのはどのチームであろうか。(この項、終わり)