第936回 着々と進む国内カップ(5) リーグカップのファイナリストはバンヌとボルドー
■日程消化が早いリーグカップ
リーグカップの準決勝は2月4日に行われた。他のタイトルのこの段階での進み具合を確認すると、リーグ戦は第22節を終えたところであり、38試合行われる全日程の6割が終わったところである。フランスカップについてはベスト16が決まったところであり、1部リーグのチームは優勝するために6試合が必要であるが、そのうちの2試合が終わったところに過ぎない。また、欧州カップについては後半戦のトーナメントはまだ始まっていない。このように日程の消化が早いことがリーグカップの特徴であろう。
■ホームが得意なニースとアウエーが苦手のバンヌ
そのリーグカップ準決勝はまず17時からニース-バンヌ戦、そして20時45分からパリサンジェルマン-ボルドー戦がキックオフされた。ニースは1部リーグで8位、バンヌは2部リーグで7位といずれもリーグ内では中の上という位置づけである。この試合はニースにとってはホームゲーム、バンヌにとってはアウエーゲームであるが、気になるデータがある。ニースはホームゲームを得意としており、年末にリールに0-1と負けた以外はすべて引き分け以上の成績を残しており、リーグ戦ではここまで10戦して5勝4分1敗という成績である。一方のバンヌもホームでの成績はニース同様10戦して5勝4分1敗であるが、アウエーゲームの成績は10戦して3勝7敗である。カップ戦についてもフランスカップのベスト16決定戦を1月23日にアジャクシオとアウエーで戦い、0-2と敗れてしまっている。
■またも延長、PK戦で勝ち抜いたバンヌ、初の決勝進出
このようにホームチームのニースの優勢が予想される中、かつてニースに所属し、フランス代表として活躍したリリアン・ラスランドのキックオフで試合は始まった。実はラスランドは昨年夏にニースを最後に現役を引退した後、ニースのハンドボール部門の選手として登録、そして11月からは現在はボルドーのハンドボール部門に所属していると言う変わった経歴を持つ。
予想通り、試合はニースが優勢に進める。しかしながら、先にゴールネットを揺らしたのは2部でアウエーのバンヌ、60分にバンヌのセイド・キテが先制する。一方のニースであるが、後半終了直前の88分にチュニジア代表のチャウキ・ベンサーダが同点ゴールを放ち、試合は延長戦に突入する。バンヌにとっては今季のリーグカップ5試合目にして4試合目の延長戦である。延長に入ってニースは攻勢を強めるがバンヌは守りきり、試合はPK戦になる。バンヌは準々決勝でもメッスをPK戦で下しており、この準決勝でもニースを下す。バンヌは決勝戦いい樽までの6試合のうち4試合が延長戦、そして3試合で1部勢を下すと言う戦いぶりで初の決勝に進出したのである。
■1月に続きパリサンジェルマンに大勝したボルドー
もう1つのパリサンジェルマン-ボルドー戦は注目の一戦である。1月のリーグ戦ではボルドーが地元で4-0と大勝したばかりであるが、昨年8月にはパリでパリサンジェルマンが1-0と勝利している。パルク・デ・プランスに登場した22人の先発メンバーを見ると1月の試合でも先発していた選手はパリサンジェルマン8名、ボルドー4名であり、本来ならば大敗したパリサンジェルマンが大幅にメンバーを入れ替えてもよさそうなものであるが、ボルドーは国内外のカップ戦用のツープラトン方式を採用しているのである。
1月11日の大敗の借りを返そうと意気込むパリサンジェルマンであるが、出鼻をくじかれる。17分にボルドーのダビッド・ベリオンに先制を許してしまう。前半はこの1失点で切り抜け、後半に勝負をかけたいところであったが、64分に事件は起きた。パリサンジェルマンの攻撃陣の不発に業を煮やしたポール・ルグアン監督がギヨーム・オアロとマテジャ・ケズマンの2人をベンチに下げる。その時ケズマンは自らのふがいなさに八つ当たりしてユニフォームを投げ捨て、万人の地元のファンからブーイングを浴びた。試合は終盤にボルドーが2点を追加し、3-0と勝利する。
実はボルドーはリーグカップの準決勝はこれが5回目であるが、いずれも勝利し決勝に進出している。過去4回の準決勝の中には7年前のパリサンジェルマンとの戦いも含まれている。四冠を狙ったパリサンジェルマンであるが、ボルドーに敗れ、野望は崩れてしまったのである。
決勝は4月25日にスタッド・ド・フランスで行われる。(この項、終わり)