第1083回 マルセイユ、久しぶりのタイトル獲得 (1) ロリアンとトゥールーズが準決勝進出

■例年以上の盛り上がりを見せた終盤のリーグカップ

 前回までの本連載では、欧州カップのベスト8にチャンピオンズリーグではボルドーとリヨンが残り、ヨーロッパリーグではフランス勢が姿を消したことを紹介してきた。国内のタイトルも着々とスケジュールが進んでいる。
 国内の3つのタイトルのうち最も早く優勝チームが決まるのがリーグカップである。リーグカップについては本連載の第1055回から1059回にかけて取り上げ、第3のタイトルとして曲がり角にあることを指摘した。ところが、今年のリーグカップの終盤は例年以上の盛り上がりを見せたのである。

■欧州カップ組に挑むロリアンとスダン

 本連載第1059回まででは上記の問題点とともに、1月下旬に出そろったベスト8の顔ぶれを紹介した。今年のリーグカップのベスト8はボルドー、リヨン、マルセイユというチャンピンズリーグ出場3チーム(マルセイユは決勝トーナメントでヨーロッパリーグに転戦)、リール、ガンガン、トゥールーズというヨーロッパカップ出場3チームが顔をそろえ、人気、実力を兼ね備えたチームが大勢を占めた。そしてこれら欧州カップ勢に交じってベスト8に駒を進めたのが1部のロリアンと2部のスダンである。
 準々決勝は1月の月末に行われる予定であったが、年初の降雪によるフランスカップの順延などの影響を受け、ロリアン-リヨン、ガンガン-トゥールーズ、マルセイユ-リールの3試合は1月27日に行われ、ボルドー-スダン戦は2月2日に行われた。 
 1月27日の3試合は時間をずらしてキックオフされ、全試合がテレビ中継された。ロリアンの試合は17時キックオフ、同じブルターニュのガンガンの試合は19時にキックオフ、そしてマルセイユの試合は20時45分キックオフとなる。

■大観衆の前で1週間前のリーグ戦の雪辱を果たしたロリアン

 まず、ロリアン-リヨン戦であるが、両チームとも直前の週末にフランスカップのベスト32決定戦を戦い、いずれも敗れている。さらに奇しくもリーグ戦では、同じカードが同じ競技場でちょうど1週間前の20日に行われている。このリーグ戦の試合はリーグ5位のリヨンがリーグ8位のロリアンに先制を許したものの、後半に3点をあげて3-1と下しており、地力の違いを見せた。このリーグ戦では15,790人の観衆を集め、平日の夜のロリアンでの試合とすればかなり多い観客を集めたが、その1週間後のリーグカップの準々決勝の同一カードではそれを上回る16,758人の観衆を集めた。
 第1057回の本連載ではトゥールーズ-ナンシー戦やサンテエチエンヌ-マルセイユ戦の例をあげてカードでもリーグ戦の方がリーグカップよりもはるかに多い観客を集めていることを紹介したが、このロリアン-リヨン戦ではその現象が逆転したのである。もちろん観客の大多数は地元ロリアンのファンである。この大観衆の声援に力を得たのか、ロリアンは1週間前とは道かげるような試合を展開する。開始早々の4分にケビン・ガメイロがボレーシュートで先制する。リヨンはカウンターアタックを残り85分間仕掛けるものの、ロリアンのゴールの壁を破ることができず、ロリアンがガメイロのゴールによる1点を守り切り準決勝に進出した。

■欧州カップ敗退組同士の対決を制したトゥールーズ

 続くガンガン-トゥールーズ戦であるが、この段階で欧州カップ勢で残っていたのはチャンピオンズリーグのボルドーとリヨン、ヨーロッパリーグではマルセイユとリールである。つまり、ガンガンとトゥールーズだけが欧州の舞台から去ったチームである。その欧州カップ敗退組同士が対戦するという試合となった。ガンガンは昨年5月9日に50年ぶりに2部チームとしてフランスカップを獲得したが、今季はその面影はなく、降格圏内の17位である。ガンガンの本拠地ルーデュールーは6,000人強の観客しかおらず、照明の不具合がありキックオフが遅れた。さらにトゥールーズの主力でありフランス代表としても活躍しているアンドレ・ピエール・ジニャックは累積警告で出場停止と寒い試合になった。
 後半の55分に、トゥールーズのノルウェー代表のダニエル・ブラーテンからのパスを右サイドDFのアルバン・エボンドがシュートし、これが決勝点となった。
 ブルターニュの2試合は地元ブルターニュ勢の明暗が分かれたのである。(続く)

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