第1203回 ファイナリストが決まったリーグカップ (1) 夏から秋にかけてジャイアントキリングが続出

■準決勝までの日程消化が早いリーグカップ

 前回までは大荒れとなったフランスカップのベスト32決定戦の模様を紹介した。1部リーグのチームにとって初戦となる試合であり、例年いくつかのチームが2部以下のチームに敗れるが、今年は下位のリーグのチームと対戦した16チームのうち半数の8チームが敗れ去り、1部勢同士の戦いで敗れた2チームを加え、半数の10チームが早々と姿を消してしまった。
 国内の三大タイトルは4月から5月にかけてその優勝チームが決定するが、優勝までのスケジュールは大きく異なる。新年を迎えた段階でフランスリーグは日程の半分を終えているが、フランスカップはこれから始まるところである。このような日程の違いがジャイアントキリングを生むのであろう。そして3番目の国内タイトルであるリーグカップは新年を迎える段階ですでにベスト4が決まっており、1月に準決勝が行われるのである。つまり、1部リーグのチームにとってはリーグ戦が半分を終えた段階で、フランスカップはまだ始まっておらず、リーグカップは大詰めを迎えているのである。今回からは1月の段階でファイナリストが決まったリーグカップについて紹介しよう。

■2部以下で争われる1回戦と2回戦を勝ち抜いた6チーム

 今年のリーグカップはまだリーグ戦が開幕していない7月30日に始まった。7月末の1回戦、8月下旬の2回戦は2部リーグの20チームとナショナルリーグのうちプロのステータスを有するバスティア、ギャンガン、アミアン、ストラスブール4チームで争われる。この1回戦と2回戦で24チームが6チームに絞られる。すなわち、2部リーグのチームにとっては、リーグ戦が始まって4試合しか消化していない段階ですでにリーグカップでは大多数のチームが脱落してしまっているのである。
 その真夏の戦いを勝ち抜いた6チームは、2部のブローニュ・シュール・メール、アジャクシオ、ニーム、ルアーブル、そしてナショナルリーグのギャンガンとバスティアの2チームである。4チームしか出場しなかったナショナルリーグ勢は半分の2チームが生き残っており、真夏のジャイアントキリングと言えるであろう。またアミアンは1回戦でディジョンを下したものの、2回戦で同じナショナルリーグのバスティアと対戦し、PK戦で敗れている。
 すなわち、1回戦と2回戦の段階でナショナルリーグのチームを下した2部リーグのチームは1回戦でストラスブールをPK戦で下したエビアンだけだったのである。前回の本連載で紹介したとおり、エビアンは前半戦を首位で折り返した。リーグカップでナショナルリーグのチームを下したことが今思えば実力の証であったと言えるであろう。

■1部勢を倒したナショナルリーグ勢

 この6チームは9月21日と22日にいよいよ1部リーグを交えたベスト16決定戦にチャレンジすることになる。ベスト16決定戦とは言っても10試合しか行われず、1部リーグ20チームのうちシードから漏れた14チームしか登場してこない。シード以外のチームとは言っても1部勢であり、リーグ戦も10試合近く消化しており、コンディションは上々である。ところがこの2部以下の6チームは次々と上位陣を倒していったのである。
 ブローニュ・シュール・メールは延長戦の末にトゥールーズを2-1で下す。この時点でのトゥールーズは本連載第1197回で紹介している通り、開幕4連勝して保っていた首位から順位を1つ落として2位になったところであり、そのチームを2部のチームが下したことは驚きであった。ナショナルリーグの2チームはさらに驚きであり、ギャンガンはリーグ戦で無敗の3位のレンヌを下し、今季初めてレンヌに土をつけたチームとなった。

■2部以下のチームがジャイアントキリング

 バスティアもこの時点でリーグ5位のソショーをアウエーで2-0と下す。ソショーにとっては今季本拠地での初黒星となった。
 その他、アジャクシオとルアーブルは2部同士の対戦となり、アジャクシオが勝利、そしてニームはバランシエンヌにPK戦の末敗れ、唯一上位リーグのチームに敗れたケースとなった。
 このようにリーグカップの序盤戦では7月末から9月にかけてジャイアントキリングが起こり、新春のフランスカップの前兆となったのである。(続く)

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