第1205回 ファイナリストが決まったリーグカップ (3) パリサンジェルマン、リヨンを延長戦の末下す

■リーグ戦では不振なリヨン

 前回の本連載ではシード6チームが参戦したリーグカップのベスト8決定戦で、シードされたマルセイユ、オセールそしてモンペリエの3チームが2部以下のチームを下してジャイアントキリングを阻止したことを紹介した。
 このベスト8決定戦にはシードチーム同士のリヨン-パリサンジェルマン戦という組み合わせもある。このようなビッグチーム同士の早期の対戦は往々にしてファンの期待を裏切る内容となるケースが多いが、今回は素晴らしい試合となった。
 フランスサッカー史上最高の7連覇を果たしたリヨンも2季連続でリーグチャンピオンの座から遠ざかっている。さらに、今季はチャンピオンズリーグのグループリーグでは好発進したが、国内のリーグ戦では序盤で負けが続き、一時は18位まで順位を落としている。リーグカップ初戦を迎える段階で10試合消化し、3勝3分4敗で14位、直前の試合では最下位のアルル・アビニョンと引き分け、ホームでの初得点を献上している。この成績ではクロード・ピュエル監督の更迭が噂されるのも仕方のないことであろう。

■リヨン、苦しい展開の中で前半終盤に先制点

 しかしながら、このパリサンジェルマン戦へのファンの関心は非常に高かった。平日の夜に行われるリーグカップのベスト8決定戦、しかも前週と翌週にはチャンピオンズリーグのグループリーグが行われる、という条件でありながら、リヨンのジェルラン競技場には2万5000人を超える観客が詰めかけた。両チームはその大観衆の期待に応えた。
 リヨンの前半は決していい出来ではなく、パリサンジェルマンが優勢であったが、リヨンは39分にジミー・ブリアンが先制点を入れる。1-0で折り返した後半、同点を狙うパリサンジェルマンが前半に引き続いて試合を支配する。

■終盤にクライマックス、パリサンジェルマンが延長戦を制す

 そして残り試合時間が15分となったころから試合は異様な盛り上がりを見せた。75分にリヨンのDFが明らかなハンドを犯したが、審判は笛を吹かず、試合は続行する。その直後にパリサンジェルマンはギヨーム・オラオがシュート、ポストに当たり得点ならず。80分にはリヨンのジェレミー・ピエがミドルシュートを放つが、バーをたたく。そして83分にはミラレム・ピヤニッチのFKがポストに当たり、リヨンは追加点を奪えない。そして86分には今季リヨンからパリサンジェルマンに移籍してきたマチュー・ボドメールが見事なシュートを決める。ロスタイムにはルドビック・ジュリーがヘディングシュートを放つが、リヨンのGKレミ・ベルクートルがスーパーセーブを見せ、試合は延長戦へと突入する。
 延長戦に入ってからも試合はスリリングなものとなったが、決勝点をあげたのはロスタイムにヘディングシュートを阻まれたジュリーであった。延長前半の101分、セアラのFKがまたもやバーに当たり、そのこぼれ球をペギー・リュインデュラが繋ぎ、最後はジュリーがボレーシュートでゴールネットを揺らしたのである。
 ビッグクラブ同士の対戦はパリサンジェルマンが2-1で勝利し、リーグ戦で不振のリヨンはリーグカップでも初戦敗退となったが、リヨンのジャン・ミッシェル・オラス会長はピュエル監督の続投を明言したのである。

■ベスト8はすべて1部勢が占める

 これ以外のベスト8決定戦の結果であるが、1部勢同士の戦いとなったのが、サンテエチエンヌ-ボルドー戦、モナコ-ロリアン戦、リール-カーン戦の3試合であり、いずれもホームチームが勝利し、サンテエチエンヌ、モナコ、カーンが準々決勝に進出した。
 そして2部リーグのチームと対戦したのがバランシエンヌである。バランシエンヌはブローニュ・シュール・メールを4-0と圧倒してベスト8に勝ち残る。
 この結果、準々決勝進出8チームはすべて1部勢となり、1回戦、2回戦そしてベスト16決定戦でジャイアントキリングを繰り返してきた下位リーグ勢は姿を消したのである。(続く)

このページのTOPへ