第1206回 ファイナリストが決まったリーグカップ (4) 4強はオセール、パリサンジェルマン、モンペリエ、マルセイユ

■順調に8強入りしたシード勢の過密日程

 今年のリーグカップは、2部以下のチームで争った1回戦と2回戦、そして1部勢の中位以下のチームが参戦したベスト16決定戦ではジャイアントキリングが続出した。しかし、欧州カップに出場しているシード勢が参戦したベスト8決定戦ではそれまでとは逆に上位陣が勝利し、ベスト8の顔ぶれはすべて1部勢となった。そして、シード6チームのうち、シード勢同士の戦いに敗れたリヨン以外の5チームがベスト8に残った。
 準々決勝は11月9日に1試合、10日に3試合行われる。ベスト8決定戦前後からのサッカーカレンダーを見てみると、欧州カップに出場し、リーグカップを戦うチームにとっては過酷なスケジュールになっている。10月18日の週の中間にはチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグのグループリーグ第3節、10月25日の週の中間にはリーグカップのベスト8決定戦、11月1日の週の中間にはチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグのグループリーグ第4節、11月8日の週の中間にはリーグカップの準々決勝となっている。さらにその翌週の11月15日の週の中間にはフランス代表のイングランド戦が控えている。そしてこの間の週末にはリーグ戦が開催されており、これらのチームの選手は4週連続で週2回のペースで試合を行うことになり、さらに代表選手の場合は5週連続となる。

■控え選手たちの活躍の機会となるリーグカップ

 したがって、リーグカップには控え選手を出場させざるを得ないということにもつながってくる。日本のリーグカップも若手選手の登竜門としてニューヒーロー賞を設けているが、アンダーエイジの大会にするという日本サッカー協会の犬飼基昭前会長の案は実現していない。リーグカップに関する悩みは東西共通のようである。
 ただしフランスのリーグカップがまだ恵まれているのは準々決勝以上になれば全試合が地上波で生中継されることである。テレビの生中継を実現するために、平日の夕方から行われる試合があるが、学校が半日の日に行われるようにしている。

■国内外で好調なオセール、控え選手が活躍したパリサンジェルマンが勝利

 最初の準々決勝は11月9日の夜に行われ、オセールがサンテエチエンヌを迎える。オセールは4週連続の週の半ばの試合となるが、リーグカップのベスト8決定戦のバスティア戦、チャンピオンズリーグのアヤックス(オランダ)戦に続き、3週連続して平日の夜のホームゲームとなる。多くの控え選手が出場するとあって、観衆は前週のアヤックス戦の半分にも満たない7900人である。しかし、国内外で好調なオセールは手堅く試合を進め、前後半に1本ずつPKを獲得し、着実に決めて2-0と勝利しベスト4一番乗りを果たしたのである。
 翌日は17時45分からバランシエンヌ-パリサンジェルマン戦が行われた。主力メンバーで戦うバランシエンヌが、控え選手を多く出場させるパリサンジェルマンを倒すのではないかという期待が地元では高まった。しかし、活躍したのはパリサンジェルマンの控え選手たちであった。ブラジル人のセアラは、今季は控えに回ることが多かったが、リーグカップではベスト8決定戦に続いて活躍し、パリサンジェルマンが3-1と勝利している。

■若手起用のモンペリエ、南仏決戦を制したマルセイユも4強に

 バランシエンヌの試合のハーフタイムになると、18時45分からはモンペリエ-リール戦がキックオフされる。モンペリエはシードチームであるが、7月から8月にかけて行われたヨーロッパリーグの予備戦で敗れており、シード6チームの中では唯一秋の欧州カップを戦っていないチームである。したがって日程的にはリールよりも恵まれている。しかし、モンペリエは若手選手を多数起用し、リールに2-1と勝利した。
 そして、最後の準々決勝に登場するのが人気チームのマルセイユである。相手はモナコ、今シーズンは低調でリーグ戦18位であるが南仏のライバル同士の戦いということでベロドロームは1万8000人の観衆が集まる。モナコがPKで先制したがマルセイユはアンドレ・アユーがギャンガン戦と同じ時間帯の前半終了間際に同点ゴール、そして後半に入って60分にセサール・アスピリクエタが決勝点をあげて最後の4強の座を射止めたのである。(続く)

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