第1273回 リーグカップ開幕(1) ビッグクラブが目白押しの2部
3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■リーグ開幕前に行われる公式戦
女子ワールドカップ、南米選手権とシーズンオフに開催される国際大会について取り上げてきたが、いよいよ8月6日にはリーグが開幕する。各チームは6月の末から始動し、シーズン開幕に向けて調整しているところであるが、シーズン開幕前にいくつかのチームは公式戦に臨む。。
まず、リーグカップについては7月22日から1回戦が始まる。また、欧州カップについてはヨーロッパリーグの予備戦3回戦が7月28日から行われ、フランスからは昨季リーグ6位のレンヌがグルジアのメタルルギ・ルスタビと対戦する。さらに、リーグチャンピオンとフランスカップ勝者の間で行われるチャンピオンズトロフィーは、リールが両方のタイトルを獲得したため、リールとリーグ2位のマルセイユが27日にモロッコのタンジェで対戦する。
■リーグ開幕直後に6チームに絞られる2部以下勢による1,2回戦
今回は多くのチームが出場するリーグカップについて紹介しよう。このタイトルに出場できるのは1部20チーム、2部20チームに加え、3部に相当するナショナルリーグに所属するプロチーム4チームが出場する。7月22日(1試合だけ23日)に1回戦、8月9日と10日に2回戦が行われ、2部以下の24チームが出場し、この段階で6チームに絞られる。第1のタイトルである長丁場のリーグ戦が始まった3日後に、第3のタイトルであるリーグカップは2部チームにとっては4分の1しかタイトル争いに残っていないというのも不思議な気はするが、欧州への道の開かれたれっきとしたタイトルである。
このフランスのリーグカップの特色として、ナショナルリーグに所属するプロのステータスを有するチームが出場することがあげられるが、今季は2部から降格したばかりのバンヌ、ニーム、グルノーブル、そして昨年ナショナルリーグに降格し、ナショナルリーグで4位となり2部復帰を逃したストラスブールの4チームがエントリーしていた。
■戦わずしてトーナメントから去ったストラスブールとグルノーブル
6月24日に組み合わせ抽選会が行われたが、その後、2つのチームが戦わずしてこのタイトルから去った。
まず、ストラスブールは2部復帰を逃したため、1906年設立の名門チームはプロのステータスを放棄し、1933年以来のプロチームとしての伝統に終止符を打った。そしてこのアマチュアチーム化がクラブの財政的な弱体化を招き、7月18日にはクラブが会社更生の手続きに入ってしまった。そして1979年にはリーグ優勝した古豪は、今季は4部に相当するCFA(フランスアマチュア選手権)に所属することになった。もう1つのケースがグルノーブルである。日本の経営ノウハウを導入し、チームを強化してきたグルノーブルであるが、昨季は2部で最下位、そしてクラブが会社清算の憂き目にある。
名門ストラスブール、日本のファンの皆様になじみの深いグルノーブルが組み合わせ抽選後に離脱し、対戦相手のブローニュ・シュール・メール、シャトールーが不戦勝で2回戦に進出した。
■有力チームの2部降格で焦るナント、メッス
このような不戦勝があったものの、今季の2部はビッグネームのクラブが目白押しである。昨季のフランスリーグはビッグクラブのモナコとランスが2部に降格したことは本連載第1255回で紹介したとおりである。それ以外にナント、メッスという欧州カップでも活躍したチームも1部復帰を果たせずに2部に留まっている。過去にリーグチャンピオンとなったチームはナント(8回)、モナコ(7回)、スタッド・ド・ランス(Stade de Reims:6回)、RCランス(RC Lens:1回)と22回の優勝経験がある4チームが2部にそろっている。これだけ2部に役者がそろったのも初めてのことであろう。有力チームの2部降格で火がついたのがナント、メッスと言った2部降格組の先輩クラブであり、シーズン開幕前に行われるこのリーグカップ1回戦も今季を占ううえで重要な試合となるのである。(続く)