第1544回 サンテチエンヌ、32年ぶりのタイトル (1) 初戦でパリサンジェルマンとマルセイユが対戦
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■国内タイトルで最初に行方が決まるリーグカップ
今年もまた4月初旬で国内タイトルだけが関心事となってしまったフランスのサッカーシーン、フランスリーグ、フランスカップ、リーグカップという3つのタイトルの中で最初にその行方が決まるのがリーグカップである。フランスのリーグカップの決勝戦はスタッド・ド・フランスで行われ、3月の末から4月の中旬にかけて行われており、今年は4月20日、リーグ戦はあと6節残し、フランスカップはベスト4が出そろった段階で国内最初のタイトルの行方が決まる。
■8月初めに始まった予備戦、2部勢5チームとメッスが本戦へ
1部20チーム、2部20チームに加え、ナショナルリーグからも4チームが出場し、予備戦の1回戦は8月7日に始まっている。予備戦1回戦には2部以下の24チームが出場、勝ち上がった12チームは8月28日に予備戦2回戦を行い、6チームに絞られる。すなわち、フランスカップでは年末に行われることがリーグカップではその4か月前の8月に行われるのである。現在のフランスの2部リーグにはビッグネームが並ぶが、今年のフランスカップではかなり苦戦している。その前哨戦にあたるリーグカップであるが、予備戦の1回戦と2回戦で連勝して勝ち上がってきたのは2部勢のカーン、アンジェ、アルル・アビニョン、モナコ、オセールとナショナルリーグのメッスの6チーム。いずれも1部でプレーした経験があり、特にモナコ、オセールはリーグ、フランスカップで優勝経験もあり欧州で大暴れしてきたビッグネームである。また唯一のナショナルリーグ勢のメッスもフランスカップ優勝経験があり、欧州カップにもしばしば出場している。
■モナコ、オセール、2回戦進出
これら6チームに1部勢が加わって本戦の1回戦が行われる。本戦1回戦はベスト16決定戦に相当する。本戦1回戦から登場する1部勢は欧州カップに出場する6チーム(モンペリエ、パリサンジェルマン、リール、リヨン、マルセイユ、ボルドー)を除いた14チームである。
9月の末に行われた本戦1回戦の組み合わせはオープンであり、オセール-アンジェという2部勢同士の対戦もあったが、それ以外は1部勢同士の試合が5試合、2部対1部が3試合、ナショナルリーグ対1部が1試合となった。この段階で2つのジャイアントキリングが起こる。アルル・アビニョンがアジャクシオを下し、モナコが延長戦の末にバランシエンヌを突き放す。この2チームと2部対決を制したオセールが2回戦(ベスト8決定戦)に進出、残る2回戦進出チームはバスティア、レンヌ、ニース、サンテチエンヌ、ソショー、トロワ、トゥールーズである。
■欧州組でシードから漏れたボルドーとマルセイユ、対照的な対戦相手
これら10チームにいよいよ欧州組の6チームが参戦し、2回戦(ベスト8決定戦)が行われる。ここからファンの関心も高まっていくと言えるであろう。
2回戦が行われたのは10月の末である。万聖節の休暇の週の平日に行われたが、欧州組についていえば、ちょうどチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグはグループリーグの前半戦を終えた第3節と第4節の中間の週であり、チャンピオンズリーグに出場しているフランス勢で順調なのはパリサンジェルマンだけであり、モンペリエとリールは苦戦している。またヨーロッパリーグに関してはマルセイユ、リヨン、ボルドーとも好調であり3週連続での試合も苦にならないであろうと思われた。
2回戦の抽選は昨年のリーグ順位が1位から4位までのチームがシード扱いとなり、昨季首位のモンペリエ、2位パリサンジェルマン、3位リール、4位リヨンは対戦しないように考慮された。しかし、数か月前の歓喜も遠い昔、モンペリエ、リールは欧州での国内でも低迷し、この状況であれば、進んで対戦したい相手であろう。そして欧州組でシードから外れたボルドーは首尾よくモンペリエと対戦することになったが、マルセイユはパリサンジェルマンと対戦することになってしまったのである。(続く)