第1547回 サンテチエンヌ、32年ぶりのタイトル (4) 初の決勝進出となるサンテチエンヌとレンヌ

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ベスト4だけが越年するリーグカップ

 リーグ戦、フランスカップよりも早く日程の進むリーグカップはベスト4が出そろったところで年が改まる。年の変わり目は他のタイトルでいうならば、リーグ戦は前半戦を終え、フランスカップはいよいよ新年から1部勢が参戦する。そしてチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグはグループリーグが終わり、決勝トーナメント出場チームが決まったところである。
 リーグカップというタイトルを考えるならば、夏から秋にかけて戦力を整え、チームのコンディションをピークに持っていくということも考えられるであろう。

■年が改まって3戦目になるリーグカップ準決勝

 そしてリーグカップの準決勝は1月の半ばに行われる。1月というと先述のフランスカップのベスト32決定戦で始まる。この模様については本連載の第1500回から第1503回で紹介したとおりであるが、1月最初の週末に行われる。その翌週末に後半最初のリーグ戦となる第20節が行われ、その翌週の半ばの1月15日と16日にリーグカップの準決勝が行われる。つまりリーグカップの準決勝は短い年末年始の休暇明けの3試合目であり、ジャイアントキリングを恐れながら戦うアウエーゲーム、後半戦最初のリーグ戦に続けて行われるところからコンディションの調整は難しい。

■リールとの死闘をPK戦で制したサンテチエンヌ

 さて、チャンピオンズリーグでは不振で、グループリーグでいずれも最下位になったモンペリエとリール、準決勝初日の15日に登場したのがリールである。リールは8位でリーグ戦を折り返し、フランスカップのベスト32決定戦はニームと対戦、リールは3点を先行し、ニームに追い上げられたが、3-2で逃げ切る。続くリーグ戦はナンシーとアウエーでの戦いとなり2-2のドローとなる。
 リールと対戦するサンテチエンヌは前半戦は上位で折り返す。フランスカップのベスト32決定戦は2部で3位のカーンと対戦し、3-2と勝利し、リーグ戦ではトゥールーズと2-2のドロー、すなわち両チームとも年明け後同じ成績でこの準決勝に臨む。サンテチエンヌで行われた試合は互角の展開となり、延長戦になっても両チームゴールを許さず、PK戦になった。このPK戦でも5人が終わったところで双方1人ずつ失敗、6人目、7人目も両方とも成功、そして8人目のキッカーはサンテチエンヌが成功させたが、リールは失敗、サンテチエンヌはリーグカップで初めての決勝進出を果たしたのである。

■年明け後の連敗から抜け出したレンヌ

 翌日はモンペリエとレンヌの対戦である。モンペリエはフランスカップでは2部勢を連破してきた上り調子のナショナルリーグのブール・ペロナを下し、続くリーグ戦ではホームにロリアンを迎え2-0と勝利している。年が変わればツキも変わるのであろうか。一方、レンヌはフランスカップではベスト32決定戦で2部のRCランスに敗れ、リーグカップ準決勝進出チームで唯一フランスカップの初戦で姿を消している。また続くボルドーとのリーグ戦もホームでありながら元気なく0-2と敗れている。すなわち年が変わって連敗スタートである。そして両チームはこれまでにリーグカップで2回対戦しているが、いずれもモンペリエが勝利している。
 流れを変えたいレンヌのホームゲーム、前年度王者のモンペリエを迎えるとあってレンヌのロリアン通り競技場には3万人近い観客が集まった。
 試合はレンヌが先手を取る。7分にジュリアン・フェレが先制点を奪う。レンヌはその後も試合をコントロールし優勢なままハーフタイムを迎える。後半に入ってもレンヌの優位は変わらず、51分にメフルト・エルディンが追加点をあげる。年明け以降の低迷から、前年度リーグチャンピオンのモンペリエ相手に快勝したレンヌが決勝に進出する。
 ほぼ3か月後に行われる決勝戦はサンテチエンヌ-レンヌという組み合わせになり、両チームとも初めてリーグカップの決勝戦となる。そして欧州カップ組は決勝に進出することができなかったのである。(続く)

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