第1661回 リーグカップ、ファイナリスト決定(3) 4強はパリサンジェルマン、リヨン、ナント、トロワ

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■1部勢は年が明けて3試合目となるリーグカップ準々決勝

 前回の本連載ではチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグに出場した欧州組が参戦してきたベスト8決定戦の模様を紹介し、いわゆる欧州組が順当に勝ち進んだ。準々決勝は年明けの1月14日と15日に行われた。1部のチームにとっては年明け最初の週末にフランスカップのベスト32決定戦を戦い、その翌週末にリーグ戦の後期最初の試合となる第20節、この2試合を終えた週の半ばにこのリーグカップの準々決勝が予定されている。

■フランスカップの初戦を勝ち抜いた欧州組

 リーグカップのベスト8のフランスカップの戦績であるが、パリサンジェルマン、マルセイユ、リヨン、ボルドー、ニースのいわゆる欧州組はフランスカップのベスト32決定戦を勝ち抜いているが、それ以外の3チームはすでに敗退してしまっている。ベスト32決定戦で1部勢と対戦したナントはニースに、エビアンはSCバスティアに、それぞれ敗れている。また、唯一の2部勢のトロワは12月に行われた8回戦で同じ2部のルアーブルと対戦して敗れている。このように比べてみるといわゆる欧州組の成績が秀でていることがわかる。欧州組をシードしたことによって人気と実力を兼ね備えたチームが上位の戦いで残ることはジャイアントキリングとは逆の意味でファンの注目を集める。

■古巣相手にゴールが奪えなかったギヨーム・オアロ

 準々決勝はまさにファンが喜ぶカードが目白押しであった。初日の14日はボルドー-パリサンジェルマン戦、2日目の15日はナント-ニース戦とトロワ-エビアン戦で始まり、リヨン-マルセイユ戦で終わる。チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグでグループリーグを戦った4チームが直接対決するという夢の組み合わせとなった。
 初日のボルドー-パリサンジェルマン戦の注目選手はボルドーのギヨーム・オアロである。レユニオン島出身のフランス代表経験もあるFWはパリサンジェルマンで活躍したが、ズラタン・イブラヒモビッチなどの加入により出場機会が少なくなり、2013年1月に中国の大連阿爾濱へ移籍する。大連では高給が用意されたが、思うような活躍ができないこともあり、1年でフランスに戻ることを表明する。この冬の移籍市場ではフランスの複数のクラブが獲得に動いたが結局ボルドーに加入することになった。移籍後のフランスカップでは出番がなく、次のリーグ戦のトゥールーズ戦では後半に途中出場、そしてこのリーグカップでは古巣相手に先発ということで盛り上がりを見せた。
 オアロをCFに据えたボルドー、直前の週末に行われたリーグ戦よりの多くのファンが集まったが、先制点をあげたのは前半ロスタイムのパリサンジェルマン、このところメンバーから外れることの多かったハビエル・パストーレがゴール。ボルドーも後半立ち上がりに追いつくが、パリサンジェルマンは終盤にアドリアン・ラビオとブレーズ・マツイディが連続ゴールをあげて、3-1とボルドーを振り切り、チャンピオンズリーグ出場チームの意地を見せたのである。

■ヨーロッパリーグ決勝トーナメント進出チームの力を見せたリヨン

 翌日はナント-ニース戦は壮絶なゴールの奪い合いとなり、終了3分前に勝ち越し点をあげたナントが4-3と準決勝に進出、2部のトロワは1部のエビアン相手に前半に2点を先行し、3-1と勝利して2部勢で唯一の4強入りを果たす。
 注目は20時55分キックオフのリヨン-マルセイユ戦である。多くのファンが集ったジェルラン競技場で、リヨンはマルセイユを圧倒する。前半にヨアン・グルクフ、後半にバフェタンビ・ゴミスがゴールをあげ、終盤にマルセイユにPKを献上して1点を失ったが、さすがヨーロッパリーグでグループリーグを首位突破したと感じさせる強さを見せた。
 この結果、4強はチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの決勝トーナメントも戦うパリサンジェルマンとリヨン、欧州カップには出場せず、フランスカップではすでに敗れ、リーグ戦ではタイトルが難しく、残されたタイトルがこのリーグカップだけとなったナントとトロワになったのである。(続く)

このページのTOPへ