第1816回 リーグカップ決勝は第1回と同じパリサンジェルマン-バスティア戦
このたびパリ並びにパリ近郊で起こった銃撃事件の犠牲者の方々のご冥福を祈るとともに、サッカー界での人種差別についてしばしば取り上げている本連載に対する読者の皆様からのご支援に感謝いたします。
■アフリカ選手権中に行われたリーグカップ準決勝
前回まで9回にわたってアフリカ選手権について紹介してきたが、1月中旬から1か月にわたって赤道ギニアで行われたこの大会の間もフランスのサッカーシーンはいつも通りの展開を見せる。
アフリカ選手権中は代表チームもクラブチームも国際試合はないが、クラブチームはリーグ戦に加えてフランスカップ、リーグカップの日程が入っている。リーグカップについては本連載第1802回から第1804回で取り上げ、リール、パリサンジェルマン、モナコ、バスティアが4強に入ったことを紹介した。
準決勝は2月4日にリール-パリサンジェルマン戦、5日にモナコ-バスティア戦が行われた。
■リールの新競技場に最後のチャンスにかけた4万1000人の大観衆
リールで行われた準決勝第一試合、会場のピエール・モーロワ競技場には平日の夜というのに、4万1000人を超える観衆が集まった。もちろん、相手が人気チームのパリサンジェルマンであることも大きな要因であるが、新スタジアムが完成しながら、チャンピオンズリーグではグループリーグで敗退、リーグ戦では中位以下の13位、フランスカップでは初戦のベスト32決定戦でバスティアに敗退、という不本意な成績しか残していないリールに対するファンの最後の期待の表れと言えるであろう。
対するパリサンジェルマン、リーグ戦では首位リヨンを勝ち点2差で追う。マルセイユと勝ち点で並んでいるが、特使点差で2位を譲り現在3位、そしてなんといってもカップ戦のスペシャリストとして安定した力を誇っており、リーグカップは現行の方式になり、第3のタイトルとなった初回の1995年大会で優勝して以来、1998年、2008年、2014年と4回優勝しており、これは最多優勝記録である。またアフリカ選手権期間中であり、コートジボワールのセルジュ・オーリエを欠くが、このポストにはブラジル代表のマクスウェルがおり、戦力的にはほとんど影響はない。一方のリール、セネガルのパプ・スアレ、イドリサ・ゲイ、カーボベルデのライアン・メンデスはグループリーグで敗退したが、メンデスがベンチスタートしているだけでフルメンバーではない。
■マクスウェルの決勝点で6回目の決勝進出を決めたパリサンジェルマン
パリサンジェルマンは1トップのズラタン・イブラヒモビッチがブレーキとなり、得点機会を逃す。リールのゴール前に立つのはナイジェリア代表のビンセント・エニェアマ、本連載第1808回で紹介した通りナイジェリアはアフリカ選手権の予選で敗退しているためエニェアマはリールに残る。このエニェアマの活躍にパリサンジェルマンは手を焼く。しかし、この試合唯一の得点を記録したのはマクスウェルであった。27分位右サイドのルーカスがクロスをあげ、逆サイドのマクスウェルがナイジェリア代表の守るゴールネットを揺らす。パリサンジェルマンは2年連続6回目の決勝進出を決めたのである。
■大型補強のモナコをPK戦で下したバスティア、20年ぶりの決勝進出
その翌日、モナコはバスティアを迎える。チャンピオンズリーグではグループリーグを首位で突破したモナコ、国内リーグは5位であるが、大型補強の成果を見せてタイトルが欲しいところである。バスティアはリーグ戦は16位と下位であるが、熱いサポーターで有名、この日もフェリーで海を渡り3000人がモナコの本拠地ルイ二世競技場を埋める。モナコはセキュリティレベルを最高にあげて、警備を敷く。
前半戦のリーグ戦ではバスティアで行われ、モナコが3-1と勝利したが、スタジアムの半分を埋めた青いファンの声援により、バスティアは劣勢の試合をよく持ちこたえる。90分経っても両チーム得点はなく、延長戦に入ってもノーゴールは続く。決着をPK戦で付けることになったが、これも両チームお互いに譲ることなく、6人目以降のサドンデスへと突入する。結局、9人目で決着がつき、バスティアが7-6で勝利した。
バスティアは実に20年ぶり2回目の決勝進出となった。20年前の相手はパリサンジェルマン、すなわち第1回大会の決勝に進出して以来2回目の決勝進出、決勝は4月11日、スタッド・ド・フランス、バスティアの20年ぶりのリベンジなるか、今から楽しみである。(この項、終わり)