第1963回 四強が出そろったリーグカップ(2) ジェルランでのラストゲームを飾ったリヨン
5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■決勝トーナメント進出組対決はパリサンジェルマンが勝利
リーグカップもチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグに出場しているチームが参戦するとベスト8決定戦となるとファンの関心も高くなる。前回の本連載ではヨーロッパリーグのグループリーグで敗退したボルドーとモナコが対戦したことを紹介した。実はこのベスト8決定戦ではもう1つ欧州組同士の対戦があった。それはチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出したパリサンジェルマンとヨーロッパリーグの決勝トーナメントに進出したサンテチエンヌの対戦である。実にもったいないカードが2つも出現したわけであるが、ファンにとっては一足早いクリスマスプレゼントとなった。
この試合はパリサンジェルマンのホームゲーム、パルクデプランスで行われた。パルクデプランスでの年内最終戦である。リーグカップの試合とあってローラン・ブラン監督はリーグ戦ではGKのサルバトーレ・シリグのように出場機会の少ない選手を起用したが、ハビエル・パストーレはベンチにも入っていない。一方のサンテチエンヌはベストメンバー、試合は終盤まで両チームノーゴールが続く。このまま延長戦かと思われた86分、途中出場のアンヘル・ディマリアがエディンソン・カバーニからのパスを受けて見事にボレーシュートを決める。このディマリアの得点が決勝点となり、パリサンジェルマンは勢いに乗るサンテチエンヌという難敵を下したのである。
■他のタイトルはジェルランでのラストゲームで負け続けのリヨン
残る欧州組はリヨンとマルセイユであるが、リヨンにとってこのベスト8決定戦は記憶に残る試合となった。それはこの試合がリヨンにとってジェルランでのラストゲームとなるからである。これまでの本連載で紹介した通り、リヨンは2015年いっぱいでジェルラン競技場の使用を終え、2016年初めからは新スタジアムであるパルク・オランピック・リヨネを本拠地とする。UEFA主催の大会のジェルランでのラストゲームについては本連載第1952回で紹介した通り11月24日に行われたチャンピオンズリーグのグループリーグのゲンク(ベルギー)戦であったが、1-2で落としてしまう。また、リーグ戦については最終戦は12月5日の第17節のアンジェ戦、この試合も0-2と負けてしまう。ちなみに、今季はその時点では参戦していないフランスカップについては昨季はジェルランでの試合はなく、2季前の2014年2月13日のベスト8決定戦でRCランスにPK戦で敗れており、いずれの大会も最終戦は悔しい思い出となっている。
■クローディオ・ボービュの2ゴールで最終戦は勝利
そして最後の試合が12月16日のリーグカップとなり、有終の美を飾りたいところである。リヨンの相手は2部のトゥールである。ジェルランでの最終戦であるが、平日の夜、さらに相手が2部のチームということで観客はわずか1万6000人弱、さびしいスタンドとなった。
試合は38分にリヨンが先制、PKをクローディオ・ボービュが決める。その後もリヨンは好機があったが、追加点ならず、72分にトゥールに同点ゴールを許し追いつかれてしまう。このあたりが今季のリヨンを象徴していたが、決勝点を奪ったのはボービュであった。85分にボービュがゴールネットを揺らす。これがジェルランでの最後のゴールとなり、リヨンのジェルランでの各大会の最終戦がいずれも敗戦だったが、ようやく最後の試合で白星を記録し、ファンの胸の中に深く刻まれる記憶となったのである。
■4つのタイトルを追い続けるマルセイユとパリサンジェルマン
そしてヨーロッパリーグの決勝トーナメントに進むマルセイユはブール・アン・ブレス・ペロナでの試合となる。7,100人の満員のファンがマルセイユとの一戦に駆けつける。試合は前半にマルセイユが先制、後半にブール・アン・ブレス・ペロナがいったんは追いつくが、マルセイユが2点を奪い、最後のアディショナルタイムにブール・アン・ブレス・ペロナが1点を返すが、3-2とマルセイユが逃げ切った。マルセイユは2016年に国内リーグ、フランスカップ、リーグカップ、ヨーロッパカップという4つのタイトルを争う。このようにフランスで2016年に4つのタイトルを追いかけるのは、マルセイユとそのライバルのパリサンジェルマンだけなのである。(続く)