第1973回 リーグカップ、ファイナリスト決定(1) リール、ボルドーに大勝し初の決勝進出
5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■1月16日のリーグ戦の再戦となった準決勝2試合
前回までの本連載では1月18日の週に行われたフランスカップのベスト16決定戦の模様を紹介したが、その翌週にはリーグカップの準決勝が行われた。
準決勝は1月26日にリール-ボルドー戦、27日にパリサンジェルマン-トゥールーズ戦という組み合わせである。
パリサンジェルマンとトゥールーズについては1月16日のリーグ戦、1月19日に行われたフランスカップでも対戦し、1月に3回も対戦するということは本連載第1967回で紹介した通りである。一方、リールとボルドーは1月16日に行われたリーグ戦でも対戦しており、奇しくも両カードとも1月に複数回対戦することになった。
リーグ戦ではボルドーで試合が行われ、ボルドーがシェイク・ディアバテのゴールによって1-0と勝利している。パリサンジェルマンとトゥールーズの場合は第1戦のリーグ戦で勝利したパリサンジェルマンが3日後に行われたフランスカップでも連勝している。先勝したボルドーが優位であろう。さらにボルドーが有利であることを裏付けるのは年が明けてからの両チームの戦績である。
■CFAのトレサリックに敗れ、トロワに今季初白星を献上したリール
リールは前回の本連載で紹介した通り、前週に行われたフランスカップでは4部に相当するCFAのトレサリックにPK戦の末敗れている。フランスカップではここまで1部勢の4チームが2部以下のチームに敗れているが、CFA以下のチームに敗れたのはリールだけである。また、リールは直後のリーグ戦で最下位のトロワをホームに迎える。トロワは、ここまでリーグ戦では勝利がない。トロワ相手にリールは前半25分に先制点をあげ、このままリードして終盤を迎えたが、トロワに78分、80分、86分と立て続けにゴールを奪われ、1-3で敗れ、トロワに今季初白星を献上してしまう。リールは相当トレサリック戦の敗戦がショックだったのであろう。
結局、年が明けてからリールはリーグカップの準々決勝でギャンガンにPK戦で勝利した以外は1月3日のフランスカップのベスト32決定戦でナショナルリーグのアミアンに勝利しただけで、チームの状態はどん底と言える中でボルドーを迎える。
■ボルドー有利の予想を覆して大勝したリール
一方のボルドーはリールとは対照的であり、直前のリーグ戦でナントに引き分けるまでは年が明けてから5連勝、昨年12月2日にバスティアに敗れた以降は11戦連続無敗と好調である。
このように年が明けてからの両チームの戦績、そしてその中でも直接対決を制しているボルドーがアウエーゲームとはいえ有利であるとの見方が強かった。
しかし、厳寒のピエール・モーロワ競技場で行われたこの1戦は予想外の展開となる。まず先制点はリール、7分にヤシン・ベンジアがゴールを決める。しかし、ボルドーは33分にクレマン・シャントームのゴールで追いつく。先制しながら追いつかれたという展開は3日前のトロワ戦と同様である。スタジアムには嫌な雰囲気が流れたが、この試合でリールの選手たちはこれまでとは違う姿を見せた。果敢に攻撃を仕掛け、41分には左サイドから崩し、ボルドーのオウンゴールを誘い、勝ち越す。さらに前半のロスタイムにもアダマ・スーマオロが追加点をあげ、3-1とリードを広げて後半を迎える。
後半に入ってもリールの攻撃サッカーは止まらない。56分にエリック・ボーテアックが決めたゴールは試合を決定的なものにした。さらに後半のロスタイムにもソフィアン・ブファルが得点をあげ、リールは5-1と大勝し、決勝進出を決めた。
■4回目のリーグカップ決勝進出で初優勝を狙うフレデリック・アントネッティ監督
リールはリーグカップでは初めての決勝進出となるが、フレデリック・アントネッティ監督はこれが4回目のリーグカップの決勝となる。最初は1995年にバスティアの監督として臨み、パリサンジェルマンに敗れた。2006年にはニースの監督としてニースに敗れ、2013年にはレンヌの監督としてサンテチエンヌに敗れている。
アントネッティ監督の4回目の挑戦、その相手はどちらになるのであろうか。(続く)