第2013回 パリサンジェルマン、リーグカップ3連覇(1) パリサンジェルマンとリールがファイナリスト

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■3連覇を目指すパリサンジェルマン

 前回までの本連載では国内三冠を狙うパリサンジェルマンについてフランスカップ準決勝の模様を紹介し、マルセイユとの決勝を戦うことになった。
 決勝進出を決めた週の土曜日に、パリサンジェルマンはリーグカップの決勝を戦い、リーグに次ぐ2つ目のタイトルに挑む。リーグカップについては本連載第1973回と第1974回で準決勝について紹介した通り、パリサンジェルマンとリールが決勝で顔を合わせることになった。
 パリサンジェルマンはこれまでサンテチエンヌ、リヨン、トゥールーズと決してやさしくはない相手を破っての決勝進出である。1995年に始まったリーグカップはパリサンジェルマンは初代王者になっただけではなく、これまでの21回のうち5回優勝している。しかも2014年、2015年と現在連覇中であり、3連覇を狙う。リーグカップでこれまで3連覇したチームは2010年から2012年にかけてのマルセイユ、フランスカップの決勝でも対戦することになるライバルチームに並びたいところである。

■昨年の準決勝でパリサンジェルマンに敗れたリール

 一方のリールは準決勝ではボルドーに5-1と大勝しているが、準々決勝ではギャンガンにPK戦で勝利している。これまでリーグカップでは準決勝が最高の成績であり、初の決勝進出である。昨季も準決勝に進出しているが、パリサンジェルマンに0-1と敗れている。今季のリーグ戦ではパリサンジェルマンはすでに優勝を決めているが、リールは6位である。

■1月末から好調なリール

 このようにパリサンジェルマン優位の数字が並んでいるが、リールが決して不利ではないことを表している数字もある。
 まず、この両チームの対戦成績はパリサンジェルマンから見て28勝24分29敗とほぼ五分である。またリールはこの10年間はリーグ戦では常に上位をキープしており、二桁順位は1回だけである。安定した成績を残している。また、リールは1月下旬のリーグカップの準決勝のボルドー戦で勝利して以来、リーグ戦では調子が良く、2月27日のリーグ戦のモンペリエ戦で負けただけであり、現在6連勝中である。
 また、パリサンジェルマンはカップ戦のスペシャリストとして数多くの優勝経験があるが、カップ戦の決勝戦では強く、2011年のフランスカップで敗れたのが最後である。その時の相手がこのリールである。カップ戦のスペシャリストであるパリサンジェルマンを最後に決勝戦で破ったチームがこのリールなのである。

■4回目の決勝進出となるフレデリック・アントネッティ監督

 このように国内三冠を狙うパリサンジェルマンにとっては決して油断のできない相手である。このリールを率いるのはフレデリック・アントネッティである。かつてガンバ大阪で1年間だけ指揮を執り、その存在を日本のファンであるならば今でも鮮明にご記憶されているである。実はアントネッティが国外のチームの監督になったのはこのガンバ大阪だけであり、それ以外はすべてフランスのクラブで監督となっている。この監督経験の中で1995年のバスティア、2006年のニース、2013年のレンヌと今まで3回、しかも違うチームを率いてリーグカップの決勝に進出している。しかしながら、いずれも敗れており、優勝経験はない。特に1995年はこのリーグカップの第1回大会であり、当時は決勝戦はパリサンジェルマンの本拠地でもあったパルク・デ・プランスでパリサンジェルマンと対戦し、0-2で敗れている。当時アントネッティはまだ34歳、自らが栄冠を獲得するのはそう遠いことではないと思っていたであろうが、無冠のまま齢を重ね、54歳になってしまった。パリサンジェルマンの3連覇、国内三冠を阻止することは自らにとっての初タイトルとなり、モチベーションは高い。
 初タイトルを狙うアントネッティ監督率いるリールは、パリサンジェルマンに対する恐れを抱いていないのである。(続く)

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