第2157回 リーグカップ、パリサンジェルマンが4連覇 (1) リーグ戦で首位を争う2チームが決勝進出
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■4連覇を目指すパリサンジェルマン
フランスの国内三大タイトルの中で例年最初に優勝が決まるのがリーグカップである。今年は4月1日に決勝が行われた。この時点でリーグ戦は38節のうち30節まで消化されており、まだまだ優勝の行方は分からない。また、フランスカップはまだ準々決勝以下を残している。一方、欧州に目を転じても、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグともべスト8が出そろった段階であり、国内外で優勝が決まるのがこのリーグカップである。
リーグカップはリーグ、カップに比べて第三のタイトルという位置づけにあるため、決勝戦の時期を早めるとともに、地上波で数多くテレビ中継をするなど工夫を凝らしているが、今年の決勝は例年になく注目を集めることとなった。
まず、決勝戦にパリサンジェルマンが進出してきたことである。パリサンジェルマンは現在3連覇中であり、4連覇を目指す。これまでリーグカップで3連覇は2010年から2012年にかけてマルセイユが記録しており、ライバルを振り切って連続優勝記録で単独首位に立ちたいところである。
■リーグ首位のモナコと2位のパリサンジェルマンが対戦
しかし、パリサンジェルマンの4連覇に立ちはだかるのがモナコである。この時点でリーグ戦の首位を走るモナコと、勝ち点3差で追うパリサンジェルマンが決勝戦で対戦することから注目のカードとなった。リーグ戦の上位チームは当然カップ戦でも上位に進出する確率が高いが、実際にリーグ戦の首位と2位が順当に決勝で戦うということはそれほど多くはない。昨年までパリサンジェルマンの3連覇の相手はリヨン、バスティア、リールであり、この中で翌季のチャンピオンズリーグに出場したチームはない。フランスカップについてもパリサンジェルマンは連覇しているが、一昨季の決勝の相手のオセールは2部、昨季のファイナリストのマルセイユは13位に終わっている。このような意味では久しぶりの横綱同士の対決となったのである。
さらにモナコとパリサンジェルマンはフランスから今季のチャンピオンズリーグで決勝トーナメントに進出した2チームである。すでに本連載で紹介している通り、モナコは1回戦を勝ち抜き、パリサンジェルマンは1回戦で敗れており、国内のリーグ、国外のチャンピオンズリーグでモナコの後塵を拝している。そういう意味では連覇中の東の横綱のパリサンジェルマンは西の横綱のモナコにリードされているという状況であり、タイトル連取にストップがかかる可能性が強いということが言えるであろう。
■決勝戦のみ行われる延長戦
そして、トーナメント制のリーグカップは今季から90分間の戦いで同点の場合は延長戦を行わずにPK戦で上位進出を決めることになり、モナコは準々決勝でソショーをPK戦で下している。しかし、決勝だけは同点の場合は前後半15分ずつの延長戦を行い、それでも決着がつかない場合にPKが行われることになっている。過密日程で選手の負担を少なくするために準決勝までは延長戦を行わず、これが功を奏したのか、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグでフランス勢は好成績を残してきた。そして、決勝戦は同点の場合は延長戦を行うにふさわしい顔合わせとなったのである。
■フランスサッカー史上初の地方開催となる決勝戦
そしてこの決勝戦が注目を集める理由はファイナリストの顔ぶれだけではない。決勝戦がスタッド・ド・フランスではなくリヨンのパルク・オランピック・リヨネで開催される。これまでフランスカップならびにリーグカップはパリ並びにパリ近郊で決勝戦が行われてきた。現在はスタッド・ド・フランス、そして1997年まではパルク・デ・プランスで開催され、歴史の古いフランスカップはかつてはコロンブのイブ・デュ・マノワールでも開催されていた。いずれも首都パリならびにその近郊での開催であり、記念すべき初の地方開催となるのである。(続く)