第2481回 ストラスブール、3回目のリーグカップ制覇(1) ファイナリストのストラスブールとギャンガン

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■通常のリーグ戦の行われる週末に行われるリーグカップ決勝

 チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグでのフランス勢は姿を消し、フランスでのクラブレベルのサッカーシーンは国内のみとなった。リーグ戦ではパリサンジェルマンが2位のリールに勝ち点20の差をつけて独走状態である。その中で3月30日にリーグカップの決勝が行われた。この週末はリーグ戦の第30節が行われたが、土曜日の30日には試合は行われず、金曜日の29日に1試合、日曜日の31日に5試合、月曜日の4月1日に1試合、そしてリーグカップ決勝に進出したチームの2試合は水曜日の4月3日に行われた。

■5連覇中のパリサンジェルマンを止めたギャンガン、1部勢相手に4連勝したストラスブール

 このように通常のリーグ戦の開催日程に行われる決勝であるが、その決勝に進出したのは本連載第2445回から第2448回で紹介した通り、ストラスブールとギャンガンである。パリサンジェルマンが5連覇中であったが、今年は準々決勝でギャンガンに敗れた。ギャンガンは準決勝でもモナコに競り勝って決勝進出を果たす。
 もう一方の決勝進出チームのストラスブールはリーグカップには10月末に行われたベスト16決定戦から参戦、リール、マルセイユ、リヨン、ボルドーという実績のある1部リーグ勢に勝利して決勝進出を果たす。
 リーグカップで優勝すれば来季のヨーロッパリーグ出場への道が開ける。準決勝が行われたのは1月末、それから2か月後に決勝が行われるが、両チームの決勝進出決定後の足取りは対照的であった。準決勝が行われた時点では最下位だったギャンガンはリーグ戦でもその後3連敗したが、チームを立て直し、2勝1分4敗という成績で順位を18位に上げた。
 ストラスブールはこの2か月の間にリーグ戦で勝利することができず、3分4敗という成績で順位を5位から10位へと順位を落としてしまっている。

■優勝すればヨーロッパリーグの予備戦2回戦に参戦

 このように決勝進出決定後は対照的な成績の両チームであれば、優勝すれば来季のヨーロッパリーグの予備戦2回戦に参戦することができる。過去5季はパリサンジェルマンが優勝していたが、パリサンジェルマンはリーグ戦の成績でチャンピオンズリーグの出場権を獲得していたため、リーグカップの優勝チームに与えられるヨーロッパリーグの出場枠はリーグ戦の上位チームに割り当てられていた。リーグカップのチャンピオンとしてフランス勢が最後にヨーロッパリーグに出場したのは2013-14シーズンのサンテチエンヌである。この時は予備戦の3回戦から出場、モルドバのミルサミ・オルヘイにホーム、アウエーとも勝利したが、本戦出場をかけたプレーオフでデンマークのエスビャウに今度は2戦とも敗れ、本大会出場を阻まれている。
 今回は予備戦2回戦からの参戦となるが、7月25日から始まる予定である。来季のリーグ戦は8月10日から始まるため、他のチームよりも2週間早く公式戦を戦うことになる。選手にとってはシーズンオフが短くなる。昨季のリーグ6位のボルドーが今季は同じように、ヨーロッパリーグの予備戦2回戦から参戦した。ボルドーは国内リーグ戦開幕前にヨーロッパリーグの予備戦を3試合戦い、夏場の試合が多くなり、その疲労の蓄積か、リーグ戦は連敗スタート、現在の順位も13位にとどまっている。

■決勝戦を楽しみにする両チームのファン

 このように欧州での戦いは必ずしも望ましいものではないが、タイトルを期待するファンの願望は強い。ジャン・マルク・ビーレーに代表される熱心なファンの多いストラスブールは2005年のリーグカップ決勝には3万人のファンがスタッド・ド・フランスに結集し、今回も2万5000人が決勝戦に集まると予想されている。
 一方のギャンガンは人口が8000人に満たない小都市であるが、その2倍の1万5000人がクラブ史上初めてのリーグカップの決勝戦に向かうと予想されている。
 そして両チームのファンが集うのはスタッド・ド・フランスではなく、リールのピエール・モーロワ競技場なのである。(続く)

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