第2695回 パリサンジェルマン、国内三冠制覇(2) 再開前に調子を上げてきたリヨン
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■欧州カップ連続出場を止めたくないリヨン
今年で最後となるリーグカップの決勝に残ったリヨンにとって、このタイトルは自らが更新中の欧州カップ連続出場記録をストップしないためにも重要である。リヨンはリヨンは1997-98シーズンから欧州カップに23年連続で出場しているが、2001-02シーズンから2007-08シーズンまではリーグ7連覇している。1989年に2部から1部に復帰、それ以来1部の座をキープしており、まさに平成とともに栄光を享受しているチームであり、令和になったからと言って欧州の舞台から引き下がるわけにはいかない。
実質的にシーズン開幕となるのが、7月31日に行われるリーグカップ決勝であるが、その翌週にはチャンピオンズリーグの1回戦の残り試合があり、これを勝ち抜けば、ポルトガルで準々決勝以降を戦うことになる。
■リヨン創業の企業がスポンサーとなったヴェオリア杯
平成の初めの頃は、マルセイユ、パリサンジェルマンと比較すると競技面だけではなく、予算規模でも小さなクラブであったが、ジャン・ミッシェル・オラス会長のリーダーシップの下、リーグ7連覇もあり、ビッグクラブの仲間入りをすることになった。
ビッグクラブが開催するのが国外の著名クラブを招いたプレシーズンのトーナメントである。リヨンはこの夏初めて「ヴェオリア杯」という大会を開催した。ヴェオリアについては水分野、エネルギー分野などのインフラ事業を営み、日本でも事業展開していることから日本の読者の皆様はよくご存じであろう。ただ、この会社がフランス企業であること、そして誕生したのがリヨンであることまでご存じの方はそう多くなないであろう。フランスでは民間企業が水道事業を営み、ジェネラル・デゾーという名でリヨンで誕生したのが1853年のことである。以後、ジェネラル・デゾー社は国内だけではなく国外にも事業展開する。また水道管というインフラを有していたことから通信業にも進出する。ジェネラル・デゾー社はその後、インフラ業を行うヴェオリアとメディア業を行うビバンディに分かれる。ビバンディ社については本連載第2688回でも登場しているが、このジェネラル・デゾーをルーツとする会社なのである。
■スコットランドの強豪相手に1勝1敗だったリヨン
コロナ禍の中で行われた第1回のヴェオリア杯に出場するチームは、ホストのリヨンのほか、フランス国内からはニース、国外からはスコットランドのグラスゴーの両雄、セルチックとレンジャーズを招いた。7月16日に第1戦、18日に第2戦が行われ、フランスのチームがスコットランドのチームとたすき掛けで対戦することになる。16日にレンジャーズと対戦したリヨンは今季使用するホーム用の新ユニフォームお披露目となった。しかし、試合内容は振るわず、0-3で敗れてしまい、この夏の準備試合で初の黒星となってしまった。18日のリヨンはアウエー用の新ユニフォームでセルチックと対戦する。この試合はムーサ・ダンベレなどの活躍で2-1で勝利する。記念すべき第1回大会はニースにも勝利して2勝したレンジャーズが優勝、リヨンは2位に終わった。
■再開直前のベルギー遠征では連勝し、パリサンジェルマン戦を待つリヨン
ヴェオリア杯の翌日、リヨンはベルギー遠征を発表する。22日にゲンク、24日にアントワープと対戦する。これは明らかにポルトガルで短期決戦で行われるチャンピオンズリーグの決勝トーナメントを意識したものであろう。このベルギー遠征には負傷している左サイドDFのユスフ・コネを帯同させなかった。これはリーグカップ決勝だけではなく、その後のチャンピオンズリーグまで見据えての選手起用である。ゲンク戦は全体のプレスがよく効き、3-2と競り勝つ。再開前最後の試合となったベルギーリーグで昨季4位のアントワープ戦、リヨンは一時は3-0とリードし、終盤に2点を失ったが、これも3-2と制する。シーズン前6試合の戦績は5勝1敗、いよいよパリサンジェルマンとの対戦を迎えるのである。(続く)