第151回 レキップ紙の選んだフランスのベストイレブン(1) GK、DF編
■世界のベストイレブンは国外のクラブに所属
前回の連載ではレキップ紙の選んだ世界のベストイレブンに言及したので、今回からフランスリーグのベストイレブンについて紹介しよう。
まず、世界のベストイレブンにフランス人選手がパトリック・ビエイラ(アーセナル)、クロード・マケレレ(レアル・マドリッド)、ジネディーヌ・ジダン(レアル・マドリッド)、ティエリー・アンリ(アーセナル)と4人選出されたが、いずれも国外のクラブに所属している選手ばかりである。
また、残りの7人の外国勢も当然のことながらフランスリーグには所属していない。過去5年間フランスリーグに所属する選手がこのレキップ紙の世界のベストイレブンに選出されたのは2000年の夏までモナコに所属していたファビアン・バルテスが1998年、1999年、2000年と3年連続で選出されたのと、1998年にマルセイユに所属していたローラン・ブランだけであり、ほとんどの選手が国外のクラブで活躍している。
■有力選手がひしめくフランスリーグのGK
このような昨今の人材流出は残念なことであるが、12月23日に発表されたフランスリーグのベストイレブンは興味深い結果を残している。この選出も世界のベストイレブン同様、レキップ紙の記者投票によるものであり、昨年の途中に国外から移籍してきた、あるいは移籍していった選手も対象となる。
選手の国外流出の著しいフランスリーグであるが、GKはバルテスこそマンチェスター・ユナイテッドに移籍しているものの、それ以外の有力選手はフランスリーグに残っている。GK部門の上位はフランス代表でベンチに控えているメンバーが上位を占めた。その中で支持を集めたのが昨シーズンのリーグ優勝を果たしたリヨンのグレゴリー・クーペであり、2位のミカエル・ランドロー(ナント)、3位のリオネル・レティジ(パリサンジェルマン)の約2倍のポイントを獲得して初選出された。この3人はフランス代表入りするものの、バルテスをしのぐところまで至っていない。フランスに好GKがいない、と言われたのは1980年代までのこと、1990年代にはドイツのアンドレアス・ケプケがマルセイユに所属し、最近ではパラグアイのホセ・ルイス・チラベルトがストラスブールに所属するなど、ワールドクラスの外国人選手をかかえるポジションである。高いレベルの戦いからこの3人のうち誰かがバルテスをしのぐ存在となってもらいたいものである。
■フランスの若手選手の評価が低い両サイドバック
続いてフランス代表選手がほとんどいない守備陣。右のサイドバックは票が割れた。しかも1位と2位は同じセネガル代表の選手が争った。トップはソショーのオマール・ダフ、僅差での2位にはランスのフェルディナン・コリーが入った。ワールドカップではコリーが右サイドバック、ダフが左サイドバックを務めていたが、ダフは所属チームのソショーでは不動の右サイドバック。2部時代も2年連続してベストイレブンに選出されており、所属クラブでの活躍はダフに軍配が上がったようである。3位にはジャック・サンティーニ監督の第1戦となるチュニジア戦のフランス代表メンバーに選出されたアントニー・レベイエール(レンヌ)が入っている。レベイエールはチュニジア戦には出場せず、その後もサンティーニ監督から声がかからないが、成長して欲しい選手である。
一方、左サイドバックはパリサンジェルマンのアルゼンチン選手であるガブリエル・ハインツが選出された。城彰二のバジャドリード時代のチームメートであることから日本の皆様もよくご存知であろう。2位にはナントのシルバン・アルマン、22歳の若手選手である。ところが昨年2位に入り、フランス代表でも活躍を始めリヨンのジェレミー・ブレッシュは6位と評価が低かったのが残念である。
■人材の宝庫のストッパーはオセールの若手2人
さて、バックスラインの最後は2人のストッパー。このポジションも伝統的に人材の宝庫で、アルゼンチン代表のマウリシオ・ポチェッティーノ(パリサンジェルマン)、フランス代表のフランク・ルブッフ(マルセイユ)というワールドカップでもおなじみの選手に加え、カメルーンのリゴベール・ソング(1FCケルンからランスに移籍)、リールからアーセナルに移籍して守備陣の要となったパスカル・シガンなど半シーズンだけではあるが大活躍した選手も目白押しである。ビッグネームがひしめく中、選出されたのは1位フィリップ・メクセス、2位ジャン・アラン・ブームソンというオセールの2人の若手選手であった。20歳のメクセスはフランス代表守備陣の新しい顔となりつつあり、ブームソンはカメルーン出身の23歳、昨年はフランスU-23代表に選出されている。若い2人がビッグネームを押しのけて選出されたことを評価したい。(続く)