第263回 フランス代表、2003年の成績(1) ワインとフランス代表の当たり年

■記録的な猛暑でワインの当たり年に

 記録的な猛暑が欧州を襲った2003年。猛暑のため、多くの犠牲者が出たことは非常に残念であるが、逆にこの猛暑のおかげで2003年はワインの当たり年と言われている。例年、ぶどうの摘み取りは8月下旬のほぼ10日間。朝食をとってから1日かけて行うが、今年は猛暑のため朝6時半からぶどう農家の人々は農園にでかけ、気温が高くなる昼食前には農園から退散しなくてはならなかった。したがって、労働時間が制限され、ぶどうそのものの収穫量は例年よりも少なかった。しかも、猛暑の影響により太陽が強く、焼けてしまって干しぶどうのようになってしまったものも多く、さらに春先にひょうが降ったため、ワイン製造には不合格となるぶどうも少なくなかった。収穫量は例年以下であるが、猛暑をくぐりぬけたぶどうは濃く、濃密なワインに変身したのである。11月20日に解禁となったボージョレ・ヌーボーは前評判どおり色が濃く、濃厚であるが、本当のお楽しみは来年あるいは再来年以降に出回ることになるであろうそれ以外のワインである。

■年間13勝1敗という堂々の戦績

 さて、今年はワインの当たり年だけではなかった。フランス代表サッカーチームも素晴らしい成績を残した。本連載でフランス代表の戦いについてはその都度紹介しているが、2月12日のチェコとの親善試合に始まり、春は欧州選手権予選を戦い、初夏には地元開催のコンフェデレーションズカップに参加し、秋口に再び欧州選手権予選を戦い、最後は11月15日のドイツとの親善試合で締めくくった。今年最初のチェコとの親善試合こそ、地元スタッド・ド・フランスで0-2と完敗を喫したが、それ以外の試合は全勝、実に年間成績は13勝1敗と言う素晴らしい成績である。

■欧州選手権予選突破、コンフェデレーションズカップ連覇

 今年のフランス代表は欧州選手権予選を突破、そしてコンフェデレーションズカップ優勝と、2つの目標を達成している。しかも、この2大目標達成の内容が素晴らしい。まず、昨年3連勝でスタートした欧州選手権予選は今年は5戦5勝でグランドスラムを達成する。5試合で得点18、失点1という数字は力の違いを感じさせる。そして地元開催となったコンフェデレーションズカップでもグループリーグはメンバーを落とした試合もあったが、コロンビア、日本、ニュージーランドに3連勝、準決勝ではトルコを破り、決勝ではマルク・ビビアン・フォエを失ったカメルーンを延長ゴールデンゴールで下し、5連勝と言う完璧な成績で連覇を飾っている。ベストメンバーが揃わなくとも確実に勝ち星を重ねていくところがこのチームの強さであろう。そして親善試合を4試合行い、チェコには敗れたものの、エジプト、スイス、ドイツに勝っている。特にスイス、ドイツとはアウエーでの勝利であり、親善試合とは言っても敵地で完封勝ちをしたことは高く評価されるべきであろう。

■年間最多勝、最多連勝の新記録を樹立

 今年のフランス代表は2つの新記録を樹立している。まず、年間13勝という数字はフランス代表にとっては年間最多勝である。これまでの年間最多勝は欧州選手権で優勝した1984年の12勝である。1984年の成績は12勝0敗と負けも引き分けもない成績であったが、1984年の成績は27得点、4失点であるのに対し、今年の成績は40得点、6失点と得点力には注目すべきである。結局、14試合でリードを許したのは唯一の敗戦となったチェコ戦以外では4月2日のパレルモでのイスラエル戦の序盤だけであり、年間で1267分間試合を行ったうちフランスがリードされていた時間はわずか104分間だけである。
 そしてもうひとつの新記録は最多連勝記録である。1984年は12連勝したが、前年の最後の試合と翌年の最初の試合はいずれも引き分けであり、12連勝が今までのフランス代表の最多連勝記録であった。その記録を破ったのが11月15日のドイツ戦であり、この13連勝という記録は今後更新される可能性が大きく、来年2月18日のベルギー戦が楽しみである。(続く)

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