第360回 リヨン3連覇、リール決勝進出、ナント準決勝で敗退

■リーグ開幕直前に公式戦を戦う4チーム

 いよいよフランスリーグが8月6日に開幕するが、開幕前に公式戦を戦わなくてはならないチームがある。まず、本連載の第357回と第358回で紹介したインタートトカップに参戦し、準決勝に勝ち残ったリールとナントは8月4日に第2戦を戦う。そして前年度のリーグチャンピオンのリヨンは前年度のフランスカップ勝者のパリサンジェルマンと7月31日にチャンピオンズトロフィーをかけて戦い、シーズン開幕を迎えるのである。

■明暗の分かれたインタートトカップ準決勝第2戦

 8月4日に行われたインタートトカップの準決勝はまず地元で3-0と圧勝したリールがクロアチアのスラベン・ベルポの本拠地に乗り込む。リールは序盤の5分に先制を許すが、余裕の試合運び。後半に入ってマンチェフのゴールによって同点に追いつき、1-1のドロー。通算スコア4-1で決勝に進出したリールはポルトガルのレイリアと対戦することになった。
 一方、ナントは第1戦でチェコのスロバン・リベレツにアウエーで0-1と敗れており、ホームで2点差以上の勝利で決勝進出を狙いたい。地元ボージョワールに2万人以上の観衆を集め、ファンの期待に応えたのはナントのジル・ヤピヤポであった。早々と5分に先制点をあげる。ところが20分に失点を許し、ナントはあと2得点が必要となる。前半終了間際の44分にヤピヤポが勝ち越しゴールをあげるが、後半45分は無得点、通算スコアは2-2であったが、アウエーゴール2倍ルールにカナリア軍団は泣いたのである。

■カンヌで開催されたチャンピオンズトロフィー

 時間は前後するが、チャンピオンズトロフィーは南仏カンヌで開催された。カンヌと言えば映画祭であるが、今年のカンヌ映画祭はアジア一色、中国からは王家衛監督の「2046」、張芸謀監督の「十面埋伏」と言った作品がノミネートされ、韓国の「オールド・ボーイ」が審査員特別賞を受賞、日本の柳楽優弥が主演男優賞を獲得した。会期中はカンヌの町は見渡す限りアジア人となる。近年サッカー人気の上昇しているアジアを観光都市カンヌが見逃すはずはなく、前年はリーグチャンピオンのホームスタジアムであるリヨンのジェルラン競技場で開催されたが、今年はカンヌのピエール・クーベルタン競技場で開催された。
 シーズン開幕を告げるリーグチャンピオンとカップウィナーの戦いはイングランドでは長い歴史があるが、フランスでは今年でまだ9回目、日本でスーパーカップが始まったことが影響しているのかもしれない。実は過去8回のタイトルは仲良く4チームが2度ずつ獲得している。1996年はオセールが二冠を獲得したため開催されなかったが、パリサンジェルマン(1995、1998)、モナコ(1997、2000)、リヨン(2002、2003)、ナント(1999、2001)と4チームが夏の王者となっている。今回の顔合わせは今まで2度王者となっているリヨンとパリサンジェルマン、どちらのチームが勝っても最多となる3度目の優勝となる。

■新戦力の両チーム、PK戦でリヨンが3年連続優勝

 昨年度のビッグタイトルを獲得したビッグクラブは大幅に戦力を入れ替えて新シーズンを迎える。リーグ3連覇を狙うリヨンからエリック・カリエール、エジミウソン、ペギー・リュインデュラらがチームを離れ、ピエール・アラン・フロー、エリック・アビダルらがチームに加わる。一方のパリサンジェルマンはシルバン・アルマン、エドゥアール・シセ、ジェローム・ロタンを補強する。開始早々からリヨンが試合を支配する。
 前半は両チーム無得点に終わったものの、後半に入って55分にリヨンのエウベルが先制ゴールを決める。先制されたパリサンジェルマンはここで無念のファイナリストとなったパウレタをピッチに送る。地元開催の欧州選手権では無得点に終わったポルトガル代表のエースが本領を発揮、71分にファブリス・フィオレズが71分に同点ゴール。試合はこのまま前後半終了、規定によりPK戦に突入する。PK戦は8人目までもつれ込み、結局リヨンが7-6で3年連続の夏の王者となる。試合内容も上々の両チームが長丁場のリーグ戦でも主役となるのだろうか。(この項、終わり)

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