第398回 スタッド・ド・フランスの主役、ラグビー (4) 豪州を破り、最多連勝記録に並ぶ

■南半球の強豪を迎える秋のフランス代表

 春先の6か国対抗で5連勝、夏の北米遠征も連勝と、ワールドカップ以降の戦いで好調なフランス代表。秋には南半球の強豪が欧州を訪問する番である。フランスの試合日程は11月13日に豪州(スタッド・ド・フランス)、20日にアルゼンチン(マルセイユ)、27日にニュージーランド(スタッド・ド・フランス)を迎え撃つことになった。昨年のワールドカップでは南半球勢との戦いは3位決定戦のニュージーランド戦だけであったが、ベストメンバーではなくモチベーションも低かったため、あまり参考にならない。そういう点では一昨年以来に南アフリカ、ニュージーランドを迎えた時以来の「南半球の国とのテストマッチらしいテストマッチ」である。
 ここで1999年のワールドカップ以降に指揮を執るベルナール・ラポルト監督の秋の親善試合を振り返ってみよう。2000年秋には豪州と1試合、ニュージーランドと2試合行い、豪州とニュージーランドとの第1戦は負けたが、最終戦のニュージーランドとの第2戦で42-33と勝利している。2001年には南アフリカ、豪州、フィジーと1試合ずつ行い、3戦全勝しており、この余勢で2002年の6か国対抗では5戦全勝のグランドスラムを達成している。2002年の秋は南アフリカ、ニュージーランド、カナダと対戦、南アフリカ、カナダに勝利し、ニュージーランドと引き分けている。
 南半球の強豪相手とは言っても、シーズン中に地元で行う試合であるから、簡単に負けてしまうわけには行かない。ラポルト監督の秋の通算成績が6勝1分2敗というのは上々の成績であると評価できる。

■世界屈指のハーフ団に立ち向かうフランスのエリサルド-ミシャラク

 今年の初戦の相手は豪州、ラポルト体制になってから豪州には2001年11月の1度しか勝利はなく、また、豪州は昨年のワールドカップの決勝で敗れて以来負け無しという強敵である。その強豪を相手にフランスはベストメンバーで臨んだ。そして注目を集めたのはハーフ団である。昨年のワールドカップで代表でのスタンドオフの座を確実にしたトゥールーズのフレデリック・ミシャラク、そしてトゥールーズのチームメイトのジャン・バプティスト・エリサルドがスクラムハーフを務める。このエリサルド-ミシャラクのハーフ団は今までに2試合しかない。一方の豪州のハーフ団はスクラムハーフに主将で代表キャップ103試合のジョージ・グレガン、スタンドオフに74試合に出場しているスティーブ・ラーカムを配し、2人が豪州代表としてコンビを組んだ試合はこれまでに56試合に上る。ハーフ団のコンビとして世界最多記録である。

■前半は2トライで逆転、後半はペナルティゴールで得点を重ねる

 そのようなハーフ団の経験の差、これまでの相性もあり、豪州有利と言う声は少なくなかったが、スタッド・ド・フランスにはほぼ満員の7万3000人の観衆が集まった。試合は8分に豪州がペナルティゴールで先行、10分にフランスはニコラ・ブリュスクが逆転のトライ、その後、豪州はペナルティゴールで逆転し、38分にはスクラムハーフのグレガンがトライを上げて11-5とリードを広げる。しかし、前半終了間際にフランスのスタンドオフのミシャラクがトライを上げて1点差、ゴールをスクラムハーフのエリサルドが決めて12-11と逆転する。ハーフタイムの後、フランスは豪州にリードを許すことはなかった。5つのペナルティゴールをミシャラクが決め、後半は豪州をノートライ、ペナルティゴール1本に抑える。最終スコアはフランスが27-14で豪州から3年ぶりの勝利をあげたのである。

■史上3度目の8連勝、連勝記録に並ぶ

 そしてこれで6か国対抗から通算して8連勝となった。これはラグビーのフランス代表の最多連勝記録に並んだことになる。8連勝が最多記録というと、本連載でサッカーの記録が14連勝であることをご存知の読者の皆様は意外に思われるかもしれない。しかし、サッカーの場合はワールドカップや欧州選手権の予選で実力に相当さのあるチームと対戦すること、ラグビーの対戦相手はワールドカップの8強の常連国がほとんどであることを考えてみれば、偉業であろう。ちなみにこれまで8連勝は1998年、そして2001年から2002年にかけてそれぞれ記録している。9連勝という新記録をかけ、アルゼンチンと対戦するのである。(続く)

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