第638回 本年最終戦ギリシャ戦(2) 18歳コンビがメンバーから外れ、負傷者相次ぐ

■ゴンサロ・イグアインの父親からのファクス

 本年最後の親善試合で18歳のゴンサロ・イグアインとカリム・ベンゼマをメンバーとして発表した翌日、レイモン・ドメネク監督にとって、そして多くのフランスのサッカーファンにとって信じたくないできごとが起こった。
 まず、前回の連載でも紹介したブエノスアイレスのイグアインの父親からフランスサッカー協会に届いたスペイン語でかかれたファクスである。イグアインのフランス代表入り辞退を伝えるものであり、南米からの代表入りは見送りとなった。ドメネク監督はショックは隠せないものの、それでも自分はイグアインのフランス代表入りを待つという声明を発表した。一方のイグアイン家側であるが、フランス代表を選ぶかアルゼンチン代表を選ぶかということよりも、現在はスペインのレアル・マドリッドへの移籍が最大の関心事である、と伝えている。レアル・マドリッドへ移籍すれば、来年から国内組だけで代表を組織しようとするアルゼンチン代表入りの可能性は薄くなるものの、隣国とはいえスペイン語圏であることからフランス代表入りの可能性も大きくなるわけではない。グアインの獲得についてはマルセイユも名乗り出ていたが、獲得を断念している。マルセイユにかつてのベルナール・タピのような大物会長がいれば、イグアインをフランスに帰国させることに成功したであろう。

■カリム・ベンゼマも負傷で離脱

 さて、もう1人の18歳、ベンゼマであるが、所属チームのリヨンは他のチームより1日早く金曜日の10日の夜にリーグ戦を戦った。試合が一日早まったのは翌日の土曜日にジェルラン競技場でラグビーのテストマッチのフランス-ニュージーランド戦があるからである。来年のワールドカップを控え、リヨンの街はラグビー一色となった中でリヨンはバランシエンヌを迎えた。ベンゼマもCFとして出場、先発メンバーでベンゼマ以外の10人は全員現役の代表選手である。そのような黄金メンバーの最前列を任され、ファンからも期待されての出場となったが、16分、左ひざを負傷し、戦列を離れ、シルバン・ビルトールと交代したのである。診断の結果、ギリシャとの親善試合には間に合わず、一夜にしてフランス代表は18歳のコンビを失ったのである。

■オールブラックスの訪問と同じくして真っ黒になったリヨン

 さらにこのリヨン-バランシエンヌ戦は逆転勝ちしたものの、シドニー・ゴブーも負傷し、フランス代表のメンバーから外れてしまったのである。リヨンからは大量9人の選手が代表に選出されたが、うち2人が負傷で離脱、オールブラックスの訪問と同じくして起こった選手の負傷でリヨンの町は真っ黒になってしまったのである。追加招集としてリヨンのセバスチャン・スキラッチが日曜日にメンバーに追加されたが、土曜日のラグビーのテストマッチでフランスは3-47とノートライに抑えられて大敗、強豪リヨンも選手の負傷とラグビーには勝てないのである。

■サンリスでの合宿でも2人が負傷リタイア

 今回のギリシャ戦にむけてフランス代表は試合の前々日から合宿に入っているが、通常のクレールフォンテーヌが改修工事のため使用できなくなり、別の合宿所を探さなくてはならなくなった。クレールフォンテーヌの前に利用していたのはジュイアンジョザスであるが、ちょうどこの時期ピエール・イブ・カルパンティエが主宰するイベントが行われる。来年の大統領選挙に向けてフランスの財界の動きも活発である。フランス財界の重鎮が相手ではフランス代表も譲らざるを得ない。フランス代表を受け入れることができず、フランスはパリ北部のサンリスで合宿を張ることになった。
 8年前のワールドカップでイタリア代表が合宿を行ったサンリスで悲報が重なった。イグアインの辞退、ベンゼマとゴブーの負傷に加えて、試合の前日にはフランク・リベリーが負傷のため戦線を離脱、さらにフィリップ・メクセスも負傷し、追加招集はスキラッチだけで24人の招集メンバーは20人になってしまったのである。(続く)

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