第790回 2つの組み合わせ抽選会(1) フランスのシード順に大きな差
■1週間の間に2回の組み合わせ抽選会
11月下旬を最後に、年内には基本的に代表レベルの国際試合は開催されなくなる。この時期にバロンドール(欧州最優秀選手)の発表や、奇数年の場合はワールドカップや欧州選手権の予選や本大会の組み合わせ抽選会が注目を集める。
今年の場合、来年6月に欧州選手権本大会が開催され、9月からワールドカップ予選が開幕するため、ワールドカップ予選の組み合わせ抽選会が11月25日に南アフリカのダーバンで行われ、その1週間後の12月2日にはスイスのルツェルンで欧州選手権本大会の組み合わせ抽選会が行われた。1週間の間に2回の抽選会が行われたが、フランスには対照的な結果となった。
■フランスが第1シードに入ったワールドカップ予選
まず、53チームが欧州地区からエントリーしたワールドカップ予選は13チームが本大会に出場することができる。53チームを9つのグループに分け、ホームアンドアウエー方式で予選を戦う。各グループで首位となった9チームはそのまま本大会へのチケットを手にする。そして残る4枚のチケットは各グループ2位のチームの中で成績のよい8チームがプレーオフに進出、プレーオフの勝者4チームが南アフリカ行きとなる。なお、53チームを9つのグループに分けた場合、6チームのグループが8グループ、残りの1グループは5チームのグループとなる。したがって2位の座をめぐって公平に近づくように、プレーオフ進出の8チームを決める際は6チームのグループの2位チームについては、最下位(6位)チームとの対戦成績はカウントされないようにしている。
ワールドカップ予選では1つのグループが6チームもしくは5チームになることから、53チームを第1シードから第6シードまでにクラス分けすることになる。第1シードから第5シードまでは9チームずつ、そして第6シードは8チームとなる。このクラス分けの基となるのがFIFAのランキングである。欧州選手権本大会のクラス分けは過去2回の予選の試合だけが対象であるが、FIFAランキングは全ての試合が対象となる。したがって、欧州選手権本大会のシード順とワールドカップ予選のシード順には大きな差が生じるのである。最新のFIFAランキングは11月23日に発表されており、この最新ランキングではフランスは前回よりも3つ順位を落としてとはいえ、7位であり、欧州勢ではイタリア(3位)、スペイン(4位)、ドイツ(5位)、チェコ(6位)に次いで5番目のポジションになる。したがって、フランスもワールドカップ予選のシード分けでは第1シードにクラス分けされたのである。このほか、第1シードとなったのはポルトガル(8位)、オランダ(9位)、クロアチア(10位)、ギリシャ(11位)である。
■フランスが第4シードとなった欧州選手権
欧州選手権のシードについては本連載の第787回で紹介したとおり、参加16チームが4チームずつ第1シードから第4シードまでクラス分けされる。このクラス分けの基準は2004年欧州選手権予選と2006年ワールドカップ予選における1試合あたりの平均勝ち点である。また、開催国のスイスとオーストリア、前回優勝のギリシャは第1シードに組み込まれる。フランスは最終戦のウクライナ戦で引き分けてしまい、参加16チーム中14番目となり、第4シードにとどまってしまった。
このほか、欧州選手権シード順は第1シードがスイス、オーストリア、ギリシャ、オランダ、第2シードがクロアチア、イタリア、チェコ、スウェーデン、第3シードがルーマニア、ドイツ、ポルトガル、スペイン、第4シードがポーランド、フランス、トルコ、ロシアとなっている。
■両抽選会で対照的なフランスのシード順
ワールドカップ予選の第1シードの9か国の欧州選手権本大会でのシード順を比較すると非常に興味深いことがわかる。まず、欧州選手権の本大会にはこの9か国全てが出場するが、第1シードに入っているのはギリシャとオランダだけである。第2シードにはイタリア、チェコ、クロアチアの3か国、第3シードにはスペインとポルトガル、そしてフランスだけが第4シードとなり、ワールドカップ予選の第1シード9か国の中で、欧州選手権本大会においてはフランスが最も低い評価となっている。
このようにほぼ同時期に行われるワールドカップ予選と欧州選手権本大会の組み合わせ抽選であるが、そのシード順には違いがあり、最もその差が大きいのがフランスであろう。そして、フランスにとっては、その組み合わせ抽選の結果も対照的なものになったのである。(続く)