第821回 強豪スペインと親善試合(3) 久しぶりに実力伯仲の相手と対戦するフランス

■ワールドカップでフランスのベストゲームとなったスペイン戦

 A'代表の試合の前日、フル代表の試合の前々日に35人のメンバーはコンゴ民主共和国と戦うA'代表のメンバー16人とスペインと戦うフル代表の19人に振り分けられた。
 A'代表は青いユニフォームでコンゴ民主共和国と0-0で引き分けたことは前々回の本連載で紹介した。そしてフル代表は48年ぶりの赤いユニフォームでスペインと対戦する。
 スペインとの過去の対戦成績はフランスが11勝6分11敗と五分の成績である。フランスが対戦成績を五分に持ち込んだ形になり、これは2006年のドイツ、ハノーバーでのワールドカップ決勝トーナメント1回戦の3-1の勝利によるものである。この試合はフランスのワールドカップドイツ大会でのベストゲームとして高く評価されている。

■タイトルマッチで圧倒的に優勢なフランス

 近年、フランスとスペインは公式戦で対戦する機会が多く、2000年欧州選手権の準々決勝(ベルギー、ブルージュ)で2-1とフランスが勝利、1996年の欧州選手権のグループリーグ(イングランド、リーズ)で1-1のドロー、1991年の欧州選手権予選ではホーム(パリ)で3-1、アウエー(セビリア)で2-1といずれもフランスが勝利している。また、1984年の欧州選手権はパリでの決勝で顔を合わせ、フランスが2-0と勝利し、初めてのタイトルを獲得している。それまでにも多くの対戦をしてきたフランスとスペインであるが、実はこの欧州選手権での対戦は両国の20回目の対戦にして初めて親善試合以外での対戦となったのである。1984年以降は両国の対戦はタイトルマッチで6試合、親善試合で3試合あり、フランスがタイトルマッチで5勝1分、親善試合で2勝1敗と勝ち越してこのマラガでの戦いにいたっているのである。

■マラガに初登場のフランスの布陣

 マラガはスペイン人でありながらパリで活躍したパブロ・ピカソの出身地として有名である。フランスがこのマラガで試合を行うのは初めてのことである。ラロサレーダ競技場には3万5000人の観衆が集まった。
 フランスのメンバーはGKにグレゴリー・クーペ、右サイドにビリー・サニョル、左サイドにエリック・アビダル、中央にウィリアム・ギャラスとリリアン・テュラムというDFライン、中盤は守備的な位置にラッサナ・ディアラとパトリック・ビエイラが控え、攻撃的な中盤はワイドに開き、右サイドにジェレミー・トゥーララン、左サイドにフローラン・マルーダ、そして2トップは右にニコラ・アネルカ、左にティエリー・アンリという布陣である。

■久々の強敵と対戦でベンチスタートの選手にも注目

 負傷していたクーペは昨年6月2日のウクライナ戦以来の出場となり、今季初めてフランス代表の試合に登場するが、すでに所属チームのリヨンでは復帰しており、不安はない。ベンチにはクーペの不在中にゴールを守り、欧州選手権出場に貢献したGKのミカエル・ランドロー、フィールドプレーヤーではではフランソワ・クレルク、パトリス・エブラ、ジュリアン・エスクード、クロード・マケレレ、カリム・ベンゼマ、ハテム・ベンアルファと元々フル代表に振り分けられたメンバーがベンチでのスタートとなった。当初はA'代表に振り分けられながら、前日のコンゴ民主共和国戦で出場の機会がなかったセバスチャン・スキラッチとアブー・ディアビーもフル代表に合流したが、スキラッチだけがベンチ入りした。一方、シドニー・ゴブーは前日の練習で負傷し、ベンチ入りせず、結局ベンチスタートは8人となった。
 フランスは昨年の9月のイタリア、スコットランドと欧州選手権予選で戦って以来、10月にはフェロー諸島とリトアニア(ともに欧州選手権予選)、11月にはモロッコ(親善試合)とウクライナ(欧州選手権予選)と対戦してきたが、最後のウクライナ戦はすでに本大会出場が決まったチームと本大会出場ができなかったチームの消化試合であり、これといった相手と対戦していない。そういう点で今回のスペイン戦は久しぶりに実力が伯仲した相手との試合であり、選手を試す良い機会であり、両国の取り決めで選手交代は6人までになった。ユニフォームの色だけではなく、ベンチの選手の起用も楽しみな試合になったのである。(続く)

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