第874回 ボルドー、チャンピオンズトロフィーでリヨンの連覇をストップ
■1996年のオセールの二冠の際は開催されず
前回の本連載ではリーグ開幕前に行われる試合としてUEFAカップの予選に相当するインタートトを紹介したが、もう1つの試合が前年度のリーグチャンピオンとフランスカップの勝者がリーグ開幕の前週に対戦するチャンピオンズトロフィーである。
本連載の読者の皆様ならばよくご存知の通り、この数年、リーグチャンピオンはリヨンの指定席である。一方、フランスカップのチャンピオンは毎年のように変わるとともに、リーグチャンピオンのリヨンはフランスカップは無縁であったが、ようやく優勝をすることができた。フランスリーグとフランスカップの二冠は1996年のオセール以来12年ぶりのことである。このリーグチャンピオンとフランスカップ勝者のシーズン前の対戦は1949年から始まったが、行われない時期もあり、1995年にチャンピオンズトロフィーとして正式に復活した。オセールの二冠はこのチャンピオンズトロフィーが復活して2年目に当たるが、その時はチャンピオンズトロフィーは開催されなかった。今回のリヨンはそれ以来の二冠であるが、今回はリーグチャンピオンとリーグ2位のチームが対戦するということで開催された。
■リーグ2位のボルドーがリヨンに挑戦
昨季のリーグ2位はボルドーである。最終節を迎える段階で首位リヨンに勝ち点2差まで迫ったが、逆転することはできず、リヨンの7連覇を阻止することができなかった。そのボルドーはチャンピオンズトロフィーのタイトルを争うのは2回目のことであり、1998-99シーズンのリーグチャンピオンとしてフランスカップの勝者のナントと中立地のアミアンで対戦しているが、この時は0-1と敗れている。
今回はボルドーにとってチャンピオンズトロフィーに2回目の挑戦であり、開催地もボルドーのシャバン・デルマス競技場で開催されることになった。まもなくフランスの地に戻ってくるローラン・ルノーの帰国祝いも兼ねた開催地の選定であろう。
■チャンピオンズトロフィーで無類の強さを誇るリヨン
しかし、相手のリヨンは侮れないものがある。リーグ戦では無類の強さを誇るリヨンであるが、カップ戦となると、国内のフランスカップ、リーグカップでは振るわず、国際タイトルのチャンピオンズリーグでも決勝トーナメントの序盤で姿を消している。このようなリヨンは一発勝負のチャンピオンズトロフィーも苦手にしていそうであるが、実は全く逆でリーグ初制覇をしてこのタイトルに出場し始めてから6年連続で勝利しており、非常に相性のいいタイトルなのである。
さて、今季も8連覇を目指すリヨンと、そしてリヨンの8連覇をストップする一番手と見られているボルドーの対戦とあって、シャバン・デルマスはリーグ戦開幕前の試合としては異例の3万人の観衆で埋まった。そしてこれはボルドーを率いる1998年世代のローラン・ブラン監督に対する期待の現れであろう。代表監督の座を守ったレイモン・ドメネク監督もこの試合を視察に来ており、ブラン監督としてはドメネク監督の古巣のリヨンを倒して指揮官として有能なところを見せたいはずである。
■若い選手が活躍、PK戦でボルドーが勝利
両チームともシーズンオフの間に選手補強を行い、ほぼベストメンバーでシーズン開幕直前のこのタイトルを争う。ホームのボルドーがやや優勢に試合を展開する。ボルドーの目玉選手はイタリアのACミランからレンタルで獲得したヨアン・グルクフである。グルクフはフランス人でACミランの前はレンヌに所属しており、22歳になったばかりの若きタレントである。グルクフを起点に攻撃するボルドーであるが、得点することはできない。
一方のリヨンであるが、最前線で観客の注目を集めたのはカリム・ベンゼマである。両チームの攻撃の中心となり観客を沸かせたのは20歳を少し過ぎたばかりの若い選手なのである。
そして両チーム得点ないまま、試合は規定の90分を過ぎる。大会規定により、PK戦でタイトルが争われることになった。リヨンのGKはグレゴリー・クーペが移籍し、今季ニースから獲得した21歳のユーゴ・ロリス、ボルドーは35歳の元代表GKのウルリッヒ・ラメである。リヨンはPK戦でボルドーを追い込んだ。リヨンの5人目は一昨年のワールドカップでの記憶も鮮明なイタリア代表のファビオ・グロッソであるが、失敗してしまい、勝敗は6人目以降に委ねられた。そして決着がついたのは7人目、ボルドーが5-4で勝利する。この結果、リヨンのチャンピオンズトロフィー連覇は6でストップ、来週から始まるリーグ戦でボルドーがリヨンをストップできるかが楽しみである。(この項、終わり)