第880回 再出発を期すスウェーデン戦(2) 過去39年間の10試合は負けなしのフランス
■1992年欧州選手権本大会、1994年ワールドカップ予選での対戦
大幅に選手を入れ替えたレイモン・ドメネク監督率いるフランス代表の再起第1戦の相手は北欧の古豪スウェーデンである。スウェーデンは今回の欧州選手権にスペイン、ロシア、ギリシャと同じグループに入り、決勝トーナメント進出をかけた最終戦のロシア戦で敗れ、グループリーグで敗退している。ワールドカップやオリンピックでは華々しい活躍をしているが、欧州選手権は自国開催の1992年大会が本大会初出場である。この1992年欧州選手権のグループリーグ、そしてその後に行われた1994年ワールドカップ米国大会予選でフランスはスウェーデンと対戦しており、スウェーデンとの対戦成績は1勝2分とフランスが優勢であった。しかし、最終的な成績はスウェーデンに軍配が上がっており、欧州選手権ではグループリーグを勝ち抜いてベスト4進出(フランスはグループリーグで敗退)、ワールドカップでは予選を勝ち抜き、本大会でも3位(フランスは予選敗退)と好成績を残している。
■2000年以降は国際大会の本大会の常連に
この後スウェーデンは、1996年欧州選手権、1998年ワールドカップと予選敗退が続き、国際舞台から一旦は姿を消すが、2000年の欧州選手権で復帰、その後は今回までワールドカップを含め5大会連続して本大会に出場し、常連となっている。
この国際大会の常連となったスウェーデンであるが、本連載第872回でも紹介したとおり、1999年に就任したラーシュ・ラガーベック監督は予選を確実に突破しており、欧州において5大会連続で予選突破をしている監督も珍しいであろう。今回の欧州選手権ではグループリーグで敗退したが、続投が決定している。
■フランス同様、世代交代を図るスウェーデン
前回の本連載では同じくグループリーグで敗退したフランスのレイモン・ドメネク監督の選手選考について紹介したが、ここではスウェーデンがこのフランス戦に向けて選出したメンバーについて欧州選手権時との変化に着目してみよう。スウェーデンもフランス同様この試合のために20人のメンバーを発表した。この20人のうち、欧州選手権のメンバーに登録されていたのは13人であり、フランスの11人と比較するとやや多い。
これはグループリーグ敗退のダメージがフランスほど大きくなかったことを意味しているが、欧州選手権時に34歳以上だった選手が3人いたが、その3人とも今回のメンバーから外れており、フランス同様ベテラン選手から若手への移行が進んでいる。この3人の中には代表歴が100試合を超えているニクラス・アレクサンデルションとヘンリック・ラーションという攻守の中心選手も含まれている。一方、欧州選手権では不発だったズラタン・イブラヒモビッチはリストに残り、次のワールドカップでの雪辱を期す。また20人の選手のうち17人が国外のクラブに所属しているのもスウェーデン代表の特徴である。フランスのクラブの選手としては、リヨンでは欠かせない選手となったキム・カールストローム、インタートトを勝ち抜き、UEFAカップでの活躍が期待されるレンヌのピーター・ハンションの名前がある。一方、欧州選手権時にはメンバー入りしていたトゥールーズのヨハン・エルマンデルの名前は消えてしまっている。
■過去の対戦成績はフランス優勢、過去10試合は負けなし
さて、スウェーデンとフランスの過去の対戦成績については、直接対決ではフランスが勝りながら最終成績はスウェーデンのほうが勝っていたというケースを冒頭で紹介したが、7勝5分4敗とフランスが勝ち越している。さらに過去10試合の戦績はフランスが5勝5分と負けなしである。スウェーデンが最後にフランスに勝利したのは今から約40年前の1969年10月15日のワールドカップ予選のことである。スウェーデンのソーニャでスウェーデンが2-0と勝利し、フランスはこの敗戦により翌年ブラジルで行われるワールドカップへの出場権を失ってしまったが、その2週間後のパリでの対戦ではフランスが3-0と勝利しており、1990年代と同じ現象が起こっている。
直接の対戦成績では相性のいいスウェーデンとの対戦で、フランスは再浮上へのきっかけをつかみたいところである。(続く)