第977回 ナイジェリア、トルコと対戦(2) サンテエチエンヌで緑の軍団ナイジェリアに敗れる
■ルイ・ブライユの生誕200周年記念試合
サンテエチエンヌとリヨンで連戦するフランス代表、この連戦が、ルイ・ブライユの生誕200周年を記念して行われた。ブライユはパリ郊外の生まれで、幼少時に事故で失明するが、その後6点法の点字を開発し、今でも多くの目の見えない人の支えとなっている。前回の本連載では、合宿中にオフィシャルスーツの採寸を行ったことを紹介したが、この連戦ではユニフォームの背中の名前は点字で書かれている。サッカーの世界からもこのようなメッセージを発していこうということは、逆にサッカーの人気低迷に対する危機感の現れであろう。
■点字で名前の書かれたユニフォームに喪章をまいたフランス
ダービーマッチで熱くなるファンの注目はどちらの試合でお目当ての選手が出場するかであった。第1戦のサンテエチエンヌでのナイジェリア戦のメンバーはGKスティーブ・マンダンダ、DFはロッド・ファンニ、セバスチャン・スキラッチ、ジュリアン・エスクード、パトリス・エブラ、MFは主将のパトリック・ビエイラ、アルー・ディアラ、ロイック・レミ、フランク・リベリー、FWはカリム・ベンゼマとニコラ・アネルカである。バルセロナ(スペイン)で欧州チャンピオンとなったティエリー・アンリが、負傷によりメンバーから外れているが、サンテエチエンヌに仲間の激励に訪れた。そしてレミが代表にデビューした。
ルイ・ブライユの生誕200周年記念試合ということで、試合前には視覚障害者のチームの試合が行われ、フランスイレブンをエスコートしたのは盲学校の生徒たちであった。試合に先立ち、前日に起こったリオデジャネイロ発パリ行きの飛行機の墜落事件で犠牲となった228人を追悼して黙祷が捧げられる。そして点字の名前入りのユニフォームを着たフランス代表は黒い喪章を巻いてのキックオフとなった。
■緑のユニフォームのナイジェリアが混戦から先制点
相手のナイジェリアとはフランスは初めての対決となるが、ナイジェリアのユニフォームは緑、すなわちサンテエチエンヌのチームカラーであり、ナイジェリアは最もフランスで戦いやすい都市で戦うことになった。試合は序盤からフランスが攻勢に出る。6分には代表にデビューしたレミがリベリーからのパスをシュートしたがゴールならず、ビッグチャンスを逃す。そして意外なことに先制点はナイジェリア、32分にゴール前の混戦からナイジェリアが得点をあげたのである。通常であるならば緑のユニフォームが得点をあげれば歓喜するジェフロワ・ギシャール競技場であるが、この日ばかりは沈黙である。
■7年ぶりにアフリカのチームに敗れたフランス
後半開始の段階でフランスはFW2人を含む3人を入れ替える。ボルドーの優勝に貢献したヨアン・グルクフと24得点でリーグ得点王に輝いたアンドレ・ピエール・ギニャックを投入する。ギニャックは4月1日のリトアニア戦で代表にデビューし、この試合が2試合めである。リトアニア戦では決勝点となるリベリーのゴールをアシストしたが、この日は代表初ゴールを決めて、同点に追いつきたいところである。また、中盤にジェレミー・トゥーラランを投入し、ボール支配率をさらに向上させる。
後半に入ってまもなく、ナイジェリアは警告2回目による退場者を出し、フランスは数的優位に立つ。しかしながら、フランスにとってゴールは遠く、フランスはサンテエチエンヌで緑の軍団に敗れたのである。これまで5戦して4勝1分と相性の良かったサンテエチエンヌであるが、6試合目で黒星を喫したのである。フランスがアフリカのチームに敗れたのは2002年ワールドカップ開幕戦のセネガル戦以来2回目のことである。
フランスは2月11日にマルセイユで行われたアルゼンチン戦(0-2)に続き、親善試合で連敗となる。昨年11月19日のウルグアイ戦(0-0でドロー)を加えると、これでフランスは親善試合では3戦連続して勝利から見放され、ゴールも記録できないのである。(続く)