第978回 ナイジェリア、トルコと対戦(3) 地元リヨン勢の活躍でトルコを破る

■2試合の間に行われたさまざまなイベント

 6月2日にサンテエチエンヌでナイジェリアに0-1と敗れたフランスは、5日にはリヨンでトルコとの戦いが待っている。試合の合間の2日間にはサッカーの普及のためのイベントが準備され、3日には一般公募で選ばれた23人との合同練習を行った。4日には8人の少年少女がジャーナリストに扮し、選手や監督に取材を行い、記者会見に参加するという企画が行われた。
 また、リヨンのジェルラン競技場ではフランス-トルコ戦の前座試合として、女子フランスチャレンジの決勝戦が行われた。この大会はフランスカップの女性版であり、昨年の11月に地区代表が出揃い、年明けの段階で2部リーグのチームが参戦し、2月に1部のチームが加わり、ようやく決勝を迎えた。当初は5月末に決勝を行う予定であったが、昨年、優勝したリヨンは、これまで最多の3回の優勝を誇るということもあり、このリヨンでのトルコ戦の前座試合として日程変更が行われた。そのリヨンは準決勝でモンペリエにPK戦で敗れ、決勝はルマンとモンペリエという顔合わせとなった。モンペリエは、初優勝を狙う2部のルマンを3-1と下し、2年ぶり3回目の優勝を飾り、優勝回数でリヨンと並んだ。

■システムを変えたレイモン・ドメネク監督

 さて、サンテエチエンヌ、リヨンというライバル関係にある都市において行われる連戦であるが、両都市のファンにとっては、それぞれの試合でどのような選手が出場するかが関心事である。
 リヨンでの試合、レイモン・ドメネク監督はシステムを変える。サンテエチエンヌの試合ではフランス代表は2トップというフランスらしからぬシステムで挑み、無得点に終わってしまう。このトルコ戦ではフランスが十八番とする4-2-3-1システムに戻す。
 そしてこの日の先発メンバーで、サンテエチエンヌでの試合にも先発したのはわずか2人であった。それがナイジェリア戦では2トップを務めたカリム・ベンゼマとニコラ・アネルカである。ベンゼマが1トップを務め、アネルカは右サイドの攻撃的MFである。その他攻撃的MFは中央にヨアン・グルクフ、左にフローラン・マルーダ、守備的MFはジェレミー・トゥーラランとラッサナ・ディアラ、そしてDF陣は右からバカリ・サーニャ、フィリップ・メクセス、ジャン・アラン・ブームソン、エリック・アビダルと並び、GKは地元のウーゴ・ロリスである。

■先発メンバーはリヨン勢が4人、リヨン出身者が2人

 この中で現在リヨンに所属している選手はGKのロリス、ブームソン、トゥーララン、ベンゼマの4人である。リヨンに所属する選手で唯一先発メンバーから外れているシドニー・ゴブーはベンチからのスタートとなる。そしてかつてリヨンに所属した選手はアビダル、マルーダの2人がいる。
 アビダルがこの試合主将を務め、初めてフランス代表のキャプテンマークを腕に巻くことになった。2年前にリヨンからバルセロナ(スペイン)へ移籍し、欧州チャンピオンになったアビダルは、故郷に錦を飾ることになったのである。

■リヨン勢が活躍、連覇を逃した悔しさを忘れさせる

 青いユニフォームのフランスが赤いユニフォームのトルコに対し、試合を押し気味に進める。37分にアネルカがペナルティエリアの中に攻め込み、これをトルコの左サイドが止めるためにファウルしてしまう。このプレーに対し、主審のマヌエル・グラフ氏(ドイツ)はレッドカードを掲げ、ペナルティスポットを指差す。このPKを地元のベンゼマが鮮やかに決める。リヨンのファンとしては8連覇を逃した悔しさを一瞬では忘れさせる一時であった。
 このベンゼマのゴールをフランスは守りきる。後半にはなかなか同点に追いつけないトルコのファンがピッチに向かって物を投げ入れ、試合が一時中断するというアクシデントもあったが、90分間、試合は行われた。ゴブーもピッチに登場し、代表2試合目となるロリスは、デビューしたウルグアイ戦に続き、シャットアウトし、180分間無失点である。また忘れてはならないのがかつてリヨンを指揮したドメネク監督である。リヨンのファンには満足な一夜となった。
 フランス代表のイレブンはこれでバカンスを迎える。バカンス明けの試合は8月19日のフェロー諸島とのワールドカップ予選である。(この項、終わり)

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