第1060回 2010年アフリカ選手権(1) トーゴは銃撃事件で不出場、南アフリカは予選落ち
■初めてアフリカでワールドカップが行われる年のアフリカ選手権
フランスにおける新年のサッカーシーンといえば、これまで紹介してきたフランスカップとリーグカップであるが、今年は偶数年と言うこともあり、1月下旬から2月上旬にわたって行われるアフリカ選手権も忘れてはならない。本連載でも2002年大会(第26回から第31回)、2004年大会(第288回から第293回)、2006年大会(第517回から第523回)、2008年大会(第809回から第816回)と取り上げてきた。今年は南アフリカでワールドカップが開催される。初めてアフリカでワールドカップが行われる年のアフリカ選手権の模様を紹介していこう。
■ポルトガルから独立した国での初めての開催
27回目となる今年の大会はアンゴラで開催される。アンゴラは1975年にポルトガルから独立した国である。アフリカの中でポルトガルから独立した国はアンゴラのほかにモザンビーク、カーボベルデなどがあるが、アンゴラが最大の国である。アフリカ選手権はこれまでフランスや英国から独立した国で行われることが多かったが、27回目にして初めてポルトガルから独立した国での開催となった。
■大会直前の銃撃事件でトーゴが不出場
大会は16チームが参加し、4チームずつのグループリーグを行い、各グループ上位2チームが決勝トーナメントに進む。しかし、大会直前の1月8日にアンゴラの飛び地領であるカビンダでトーゴ選手団を乗せたバスを反政府勢力が銃撃し、選手、スタッフに死傷者が出る事件が起こった。トーゴ代表は大会をボイコットし、大会は1チーム少ない15チームで行われることになった。
15チームの顔ぶれであるが、グループAはアンゴラ、アルジェリア、マラウイ、マリ、グループBはコートジボワール、ガーナ、ブルキナファソ、そして出場辞退したトーゴ、グループCはエジプト、ナイジェリア、ベナン、モザンビーク、グループDはザンビア、カメルーン、チュニジア、ガボンである。
■ワールドカップ開催国の南アフリカは予選落ち
ワールドカップイヤーと言うことでどうしてもワールドカップ出場国が気になるが、コートジボワール、ガーナ、アルジェリア、ナイジェリア、カメルーンの名前はあるが、開催国の南アフリカだけが出場しない。南アフリカは予選で敗退してしまったのである。
ところで、今大会の予選はワールドカップ南アフリカ大会の予選を兼ねていたのである。51チームが出場したこの予選は12のグループに分け、ホームアンドアウエー方式の総当りのリーグ戦形式で行われる1次予選で最終予選に進出するチームを20に絞り込む。
そして最終予選は4チームずつ5つのグループに分かれ、ホームアンドアウエー方式の総当りのリーグ戦を行う。各グループのトップの5チームがワールドカップへの出場権を獲得し、上位3チームまでがアフリカ選手権出場となる。
南アフリカは1次予選でナイジェリアに次ぐ2位となったものの、最終予選に進出することができなかった。
前回のワールドカップイヤーである2008年もアフリカ選手権の予選はワールドカップ予選と兼ねて行われているが、南アフリカは珍しい記録を2つも作ってしまったことになる。まず、ワールドカップの開催国でありながら、ワールドカップ予選に出場したと言うことである。そしてアフリカの国で亜ワールドカップに出場するにもかかわらず、その年のアフリカ選手権に出場しないと言うことである。
南アフリカとしては、ワールドカップイヤーの初めにアフリカ選手権を経験することによって代表チームの強化のチャンスを逃したことになるのである。逆に今回のアフリカ選手権の経験が6月から始まるワールドカップでいかすことができるのが、コートジボワール、ガーナ、アルジェリア、ナイジェリア、カメルーンという予選突破組である。
このワールドカップ出場5チームがどのように戦うか、そしてそれ以外の国がどのようにこの5チームに立ち向かうかが、大会の注目ポイントとなったのである。(続く)